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このスマホ、ホントに買い? 話題のスマホ徹底レビュー 第504回

山根博士のグロスマレビュー

唯一無二の3つ折りスマホ「HUAWEI Mate XT Ultimate Design」を早くも触った! 40万円の価値アリ!

2024年10月04日 12時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

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HUAWEI Mate XT Ultimate Design

 ファーウェイから世界初となる3つ折りスマートフォン「HUAWEI Mate XT Ultimate Design」が中国市場で発売になった。現在市販されている折りたたみスマートフォンは1つのヒンジを搭載した2つ折りスタイルがメインだが、Mate XT Ultimate Designはヒンジをもう1つ増やした3つ折りスタイルだ。たためば普通のスマートフォンサイズ、ひらけば本格的なタブレットサイズに変形する最初の製品となった。中国のファーウェイストアで展示されている実機を触ってきたので、簡単なレビューをお届けする。

Z型に折りたたむヒンジ構造が衝撃的!

 Mate XT Ultimate Designは閉じた状態で6.4型ディスプレーのスマートフォンとして使える3つ折りスタイルの製品だ。この形状でのディスプレー解像度は2388×1008ドット、アスペクト比は19.9:9なのでスマートフォンとしての使い勝手も悪くはない。本体サイズも縦横が約73.5×156.7mmで、スマートフォンとして一般的な大きさだ。

正面から見ると一般的なスマートフォンと大きさは変わらない

 背面は革風の仕上げでカラバリはレッドとブラックの2色があり、フレームやカメラ台座の縁などはゴールドに仕上げられている。高級感のあるデザインで、定価19999元(約40万7000円)のモデルにふさわしい外観となっている。カメラは広角が5000万画素でf/1.4からf/4.0の可変絞りを搭載。超広角は1200万画素、5.5倍望遠1200万画素を加えたトリプルカメラ構成となる。

トリプルカメラを搭載

 本体を横から見ると、3つ折り構造がよくわかる。まずは右側を見ると、上側の2/3ほどの部分に折り曲げられたディスプレーが見え、その下に1/3ほどディスプレーの端の部分が見える。Mate XT Ultimate DesignのディスプレーはZ型に折り込まれており、ヒンジの「山折り」部分と「谷折り」部分が重なっているのだ。

本体を右から見る

 左側の外観は右側とは大きく異なる。背面側の側面にはヒンジのカバーが見え、これは一般的な2つ折りスマートフォンと同様の構造だ。そしてその上にもう1枚、ディスプレーが重なっている。

本体を左側から見る

 底面側から見るとZ型の折りたたみ構造がよりよくわかる。本体の厚みは12.8mmで、一般的なスマートフォンよりは厚いものの、サムスンの1年前の2つ折りモデル「Galaxy Z Fold5」の13.4mmよりも薄い。わずか1年で2つ折りよりも薄い3つ折りモデルが登場するほど技術革新が進んだのだ。

Z字に折れ曲がるディスプレー構造

 3つ折り型構造のMate XT Ultimate Designだが、ディスプレーは2段階に開くことができる。まずは閉じた状態の右側から本体を左に開くと、一般的な2つ折りスマートフォンと同じ形状となる。この時のディスプレーサイズは7.9型、解像度は2232×2048ドットで、横折りの折りたたみスマートフォンと同じ使い勝手となるわけだ。

ディスプレーを一段階開くと、正方形スタイルになる

 この状態で背面を見ると、折りたたまれていた部分のディスプレーが2つ折りスマートフォンのアウトディスプレーと同じ役割を果たす。メインカメラで人物撮影をするときに、このディスプレーを使えば被写体が自分の表情を見ながら写真を撮ってもらうこともできるわけだ。自撮りをするときもこのスタイルは使いやすい。

2つ折りスタイルで裏返すと、折りたたまれた部分がアウトディスプレーとして使える

 この形状の時の本体サイズは約156.7×143.0×7.45mm。2つ折りスマートフォンと同等の大きさである。

2つ折りスタイルを上部側から見る

本体を完全に開けば10.2型タブレットに変形
このサイズを小さくして持ち運べるのは便利すぎ!

 続いてディスプレーを完全に開いてみる。構造がわかりやすいようにZ型に開いていくと、2つのヒンジ部分でディスプレーがそれぞれ逆側に曲げられていることがよくわかる。ファーウェイは山折り型(写真でディスプレーの左側)スタイルのスマートフォンとして「Mate X」シリーズを、谷折り型(ディスプレー右側)のスマートフォン「Mate X(数字型番)」シリーズを出してきており、3つ折りスマートフォンはこれら2つのモデルのディスプレーを1枚につなげたような構造になっているのだ。

Z字に開いていく

 ディスプレーを完全に開くと横長デザインのタブレットとなる。サイズは10.2型で解像度は3184×2232ドット、アスペクト比は16:11だ。この形状は一般的なタブレットと変わらず、正方形になる2つ折りスマートフォンよりも使いやすいと感じられる。

10.2型タブレットに変形

 背面を見ると2つのヒンジ部分が並んで見える。ヒンジはぐらつきもなく、開いたまま片手で持ってもディスプレーが自然と曲がってしまうこともない。本体重量は298gでスマートフォンとしてはやや重量があるが、タブレットとして考えるとかなり軽量だ。

背面から見る。298gはタブレットとしては十分軽い

 完全に展開したときの縦横サイズは156.7×219.0mm、そして厚さは3.6mmと極薄だ。もちろんディスプレーがたわむこともなく十分な強度を持っている。またバッテリーは5600mAhを内蔵し、66Wの有線と50Wの無線の急速充電にも対応している。

最薄部は3.6mmとかなり薄い

 チップセットは非公開だが、子会社ハイシリコンの「Kirin 9010」と言われている。7nmプロセスのモデルで2世代前以上の設計ではあるものの、全体の操作感は良好だ。またディスプレーサイズに対して本体重量が軽量のため、大きな画面も快適に操作できる。

操作性は悪くない

 本体を縦向きにして使うことももちろん可能。折りたたみスマートフォンであることを忘れ、タブレットとして違和感なく使うことができた。既存の折りたたみスマートフォンは縦横比がほぼ正方形であり、Mate XT Ultimate Designのような縦長スタイルで使うことはできない。

縦向きにして画面を有効利用することも可能だ

 2つ折りスマートフォンとの大きな違いはオフィス系アプリを使った時にも感じられた。スプレッドシートなら横手いっぱいに表示でき、その使い勝手はPCと変わらない。ワイヤレスキーボードを接続すればPC代わりにも十分使うことができる。また動画を視聴するときも画面いっぱいに表示が可能だ。

スプレッドシートもPCのような表示が可能

 2つのアプリの利用も「正方形(2つ折りスマートフォンの開いたサイズ)」+「長方形(一般的なスマートフォンの画面サイズ)」で表示できる。この組み合わせならマルチウィンドウも十分実用的だ。他にも2つのアプリ+ポップアップ画面、といった表示もできる。複数アプリの使いやすさは2つ折りスマートフォンを大きく凌駕している。

複数アプリも見やすく表示可能

 なお、本体をカバーするケースは背面に装着するものが用意されている。開いたときの保護は考えておらず、完全に閉じたときに背面と側面のディスプレーがむき出しの部分をカバーする構造になっている。

純正ケースは背面と側面をカバー

装着すると右側のディスプレーがむき出しになる部分を保護

実用性のある折りたたみスマートフォンがようやく登場

 世界初の折りたたみスマートフォンはRoyoleが2018年10月に発表した「FlexPai」だった。だが同モデルはヒンジのカーブが大きく、完全に閉じることはできずにプロトタイプの域を脱していなかった。

 翌年2月にサムスンが「Galaxy Fold」、ファーウェイが「Mate X」を発表し、本格的な折りたたみ時代を迎えることになった。それから5年が過ぎ、今ではグーグルまでもが折りたたみスマートフォンを手掛けるようになり、また各社は薄型軽量化にも取り組んでいる。

 ファーウェイはアメリカ政府による制裁の影響を受け、折りたたみスマートフォンのグローバル展開は失速し、サムスンの後塵を拝していた。その一方で、中国の折りたたみ市場で圧倒的な強さを誇り、毎年新モデルを次々と送り出している。

40万円の価値を感じさせる製品だった

 その集大成として投入されたMate XT Ultimate Designは折りたたみスマートフォンでサムスンを名実ともに抜き去り、スマートフォンの次の進化を感じさせるエポックメーキングな製品と言えるだろう。日本円で40万円は高価だが、その価値は十分あると言える。

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