53歳で住み慣れた東京を離れ、生まれ故郷の石川県へと戻ったイラストレーター・漫画家のなとみみわさん。9/26には50代から〝老後のお金〟に真剣に向き合い、支出の見直し、年金の整理、NISAによる資産運用…と、奮闘する姿を綴る、最新のコミックエッセイ「老後のお金が不安です! おひとり様マンガ家50代からの資金計画」(扶桑社)が発売されたばかり。さらに現在は、かねてからの夢でもあったキッチンカーの「BBキッチン」を実現すべく、一人息子のブルースくんと日々、奮闘中だ。連載第2回となる今回は、初めてのチャレンジキッチンカー体験での反省点を生かし、試行錯誤する日々などについて聞いてみた。
- 第1回の記事はこちらから「イラストレーターと二足の草鞋! 移住×キッチンカー開業というダブルのライフシフト
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初のチャレンジキッチンカーでの経験を踏まえて、時短メニューを開発することに!
オリジナルキッチンカー製作会社が主宰するマルシェでのチャレンジキッチンカーに、「BBキッチン」として3種類の生パスタで挑んだ、なとみみわさんとブルースくん。初めてのキッチンカー営業は、頭で思い描いていたことと、実際にやってみることでは天地ほどの差があり、2人ともかなりのパニック状態に。客として来てくれていた友人の助けもあり、用意した30食は完売したものの、なとみさん曰く「途中で3度ほど記憶が飛びそうになった」ほどの混乱ぶりだったとか。
「やはり生パスタは工程が多くて(笑)。まず大鍋にお湯を沸かす、茹でる、3種類のメニューがあったので、それを区別してソースに絡める、必要なら最後はチーズをかけると…。いずれも注文を受けてからしか調理できないので、とにかく現場でやることが多すぎて。本来の目的である、お客さんとのおしゃべりもまったくできない状態でした」
そこで、注文を受けてから提供までの時間短縮を目指して、再度メニューを考えることに。そこには、今後の本格的なキッチンカー営業を見据えてのこともあった。
「私はイラストの仕事もあるし、愛犬が14歳とシニアなので、一緒に出動できない日も出てくるはず。だから、息子が一人でも出店できるようにしたいと思いまして、そうなるとやはり丼かカレーかな?と。最初はキューバサンドという案も出ていて、息子がパンにはさむ豚肉を焼いたり蒸したり、タレに漬け込んだりと、いろいろアレンジして作っていたんです。それがとてもおいしくて、この豚肉を丼にしたらいいんじゃないか?というところから、豚丼を作ってみることにしました」
豚丼と聞くと、北海道・帯広の炭火で炙って甘辛く味付けしたものを想像するが、「BBキッチン」のものはひと味もふた味も違う仕上がりになっているそう。
「豚丼はピリ辛油淋鶏ソースと塩だれの2種類。油淋鶏が好きな息子が、この味で豚丼を作ったら今までにないオリジナルな豚丼にできるかもと考案。さっそく試してみたら、これがとてもおいしくて。実は私、豚肉ってあまり得意じゃないんですけど、これはペロッと完食できたんですよね。でも、おいしんだけど、もっとコクを出したい、肉にタレを絡ませたいと少し悩み…。そんな時に試食してくれた友人からアドバイスをもらって、豚肉に片栗粉を付けて油で揚げてから、タレにくぐらせてみたんです。結果的に豚肉の甘味も増し、油淋鶏の甘酸っぱいタレもよく絡んで、理想に近づきました。ただ、今後もキッチンカーに立ちながら、自分たちも豚丼もアップデートしていくという感じです」
なとみみわさんがキッチンカーを始めるきっかけの一つには、2024年1月の大地震で甚大な被害を受けた地元・能登を応援したいという気持ちもあった。
「石川県能登出身ということで、能登のブランド豚である能登豚、能登のお米、能登の海洋深層水と、オール能登で作っていきたいというのが希望です。ただ、最近、お肉やお米が値上がりしちゃっているので…まずは無理せず、その時の価格と相談しながら、能登産も使用していきたいと思っています。食品を扱うって、こんなに原材料の価格に影響されるんだ…飲食業って怖い…と、実感する今日このごろです(笑)」
新メニューのオリジナル豚丼を引っ提げて、チャレンジキッチンカーにリベンジ!
そして、親子そろってパニックに陥ってしまった1回目から約2か月後、再びチャレンジキッチンカーに出店する。
「2回目となった埼玉県・美女木(びじょぎ)でのプチマルシェは、〝とにかくお客様を待たせない〟〝提供時間を短くする!〟を目標に挑みました。キッチンカーの中はできる限り整理整頓を心がけ、どこに何があると、瞬時にわかるように。箸やスプーン、ストロー、おしぼりと、すべて商品の受け取り口に並べ、セルフでとってもらうことにしました。開店前から豚丼のお肉を揚げておいて準備も万端。注文を受けたら盛るだけと工程も少なく、作り置きもできたので心に余裕も生まれました。2度目ということもあったと思いますが、おかげお客様ともお話しできたし、ほかのキッチンカーの方とも交流できて、本当に楽しかったし、勉強になりました」
今回はナイトマルシェかつお盆期間だったこともあり、1回目に比べたら来場者が少なかったが、それでも持っていった40食は完売。マルシェを主催するキッチンカー製作会社社長からも「本当においしい!」と褒められ、自信にもつながったという。
「前回の反省を生かし、いろいろな面を改善できたのも、心の余裕に繋がったんだと思います。やはり回数をこなして経験値を積むしかないんですね。でも、今回は心が折れて魂がどっかに行くとかなくて、マルシェ自体をちゃんと楽しめました(笑)」
今後のメニューとして豚丼はほぼ確定だが、高齢の方などに向けてもう少し軽めのメニューや、ランチ後のおやつ、軽食的なメニューも考案する予定だとか。そして、ついに地元・能登でのキッチンカー「BBキッチン」でのデビューも決定。その意気込みも聞いてみた。
「いや〜、地元なので、多少のドジっ子は許されるんじゃないかと(笑)。とはいえ、初めての本格的な営業ですから、ビビりまくりです。能登豚は発注済み、お米不足で能登のお米がなかったんですが、金沢のコシヒカリが買えたので、なんとかなりました。あとは段取りですね!多少のハプニングも楽しんで、最後に笑えればなと思います。とにかく消毒!手洗いも忘れずに!ここをしっかりしていれば…大丈夫かなと(笑)」
いよいよ完成した「BBキッチン」のキッチンカーのお披露目や、地元でのマルシェデビューの様子などは第3回をお楽しみに!
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