最新パーツ性能チェック 第449回
Ryzen 9000シリーズの成長を見守る その2
Ryzen 9000シリーズの性能にWindows 11の分岐予測改善コードはどう影響するか?
2024年09月20日 10時00分更新
CGレンダリングや動画エンコードでも性能はわずかに上昇
いつも通り「CINEBENCH 2024」から検証をスタートしよう。CINEBENCHのようなCGレンダリング処理でどの程度分岐処理が発生するか思いを馳せることはなかったが、なんにせよスコアーが上がればいいのだ。10分余熱した後にスコアーを算出するモードで計測している。
KB5041587導入後はマルチスレッドもシングルスレッド性能もともに向上。スコアー増分は小さいものの、Ryzen 7 9700Xの場合2%上昇。さらにRyzen 7 7700Xも1%弱ではあるがマルチスレッドのスコアーが上昇。誤差とも言えるほどの差でしかないためこの結果に飛びついてはいけない。Zen 5世代より前のRyzenにも少しは効くかもしれないが、少なくとも遅くはならなそう、程度の認識にとどめておきたい。
次は「Handbrake」を利用した動画のエンコード時間をチェックしよう。4K@60fps、再生時間約3分の動画を用意し、Handbrakeプリセットの“Super HQ 1080p30 Surround”を利用してMP4動画に出力する時間を計測した。
Ryzen 7 9700Xの方がRyzen 7 7700Xよりも処理時間が微妙に長くなっているが、これは筆者のこれまでの検証でも観測された傾向と一致している。ただこの処理においてはKB5041587の導入前・導入後で差はまったく出なかった。
CGレンダリングと動画エンコードでは処理の仕方が異なるのは当然だが、KB5041587に含まれる(とされる)分岐予測改善のコードは、Handbrakeが利用する動画エンコード処理にはまったく効いていない、ということだ。
ではHandbrakeにおいてH.264のエンコード処理中、システム全体およびCPUの消費電力がいかほどのものなのかをHWBusters「Powenetics v2」を利用して観測したのが次のグラフだ。システム全体の消費電力はATXメインパワー/ EPS12V/ PCIe 8ピン/ PCIe x16スロットに流れる電力の実測値、CPUの消費電力とあるものはそこからEPS12Vケーブルに流れる電力の実測値となる。
また、グラフ中の高負荷時(つまりエンコード時)平均値・99パーセンタイル点(99%ileと表記)・最大値をそれぞれ比較している。また、アイドル時は文字通りアイドル状態だが3分間計測した平均値だけを見ている。
まずCPUの消費電力のアイドル時の消費電力に注目。どちらのCPUにおいても平均で3~4W上昇している。計測誤差では片付けられない大きさだし、似たようなスペックのCPUが似たような傾向で変化しているという点から、誤差とバッサリ切り捨てることはできない。
またシステム全体の消費電力はどちらも3W上昇している。この数値を取得するときに動いていたHandbrakeの処理時間に差はないので、仕事量が増えたので消費電力が増えたという仮説は筋がよろしくない。分岐予測改善が入ったおかげでPC全体の処理効率が上がり、結果ほんの少しだけ消費電力が増えたというシナリオが考えられるが、これを裏付けるだけの情報はない。
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