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キリンの新しい缶チューハイ「華よい」は、“低アルコールでも、お酒を飲んでいる感は欲しい”需要を狙う

2024年09月10日 18時00分更新

文● モーダル小嶋 編集●ASCII

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キリン 華よい

健康志向で強い度数は避けたい
それでもお酒を楽しみたい

 キリンビールから新ブランド「キリン 華よい」が登場。「キリン 華よい 檸檬スパークリング」「キリン 華よい 白桃スパークリング」「キリン 華よい 葡萄スパークリング」(350ml缶)が9月24日から発売されます。市場想定価格は170円前後。

 栓を開けてそのまま飲めるアルコール飲料、いわゆるRTD(Ready to Drink)。缶チューハイなどがそれにあたり、日本だけでなく世界でもブームの兆しを見せているとか。

 もっとも、キリンビールの調査によれば暮らし方や働き方の多様化による価値観の変化や適正飲酒への関心の高まりから、「お酒は飲めるものの、普段、家ではRTDをあまり飲まない人」は市場におよそ3000万人もいるんだそうです。

 なぜRTDを“あまり”飲まないのか? 数年前は、アルコール度数が高い、いわゆる“ストロング系”のチューハイが一斉を風靡していました。

 しかし、健康志向の高まりもあり、消費者側が度数の高い飲料や大量の飲酒などを控えるようになったのだとか。それを受けて、飲料メーカー側もアルコール度数が高い飲料を積極的に展開しなくなっています。

 もっとも、飲みすぎないように気をつけている人もいる一方で、「お酒を楽しみたい」という人もいるはず。キリン 華よいというブランドは、そのような背景から生まれたアルコール飲料なのだそうです。

 特徴としては、凍結した果実をお酒の中で粉砕し果汁などと漬け込むことで、果実の香りやうまみを余すところなく閉じ込めた「果実浸漬酒」を隠し味として使用しています。

 この“隠し”果実浸漬酒を使用することで、果実とベースとなるお酒の味がまとまり、アルコール度数が3%でありながら、豊かな果実味とほどよいお酒感が楽しめる味わいが実現したとします。

実際に飲んでみると
「苦みも含めた果実感」がわかる

 発売前に試飲する機会があったので、さっそく飲んでみました。

檸檬スパークリング

レモンピールの味わいが際立つ檸檬スパークリング

 まず、檸檬スパークリング。これを飲んでみると、華よいのコンセプトが理解しやすいかと思います。

 3%なので、アルコール感はそれほど強いわけではない。でも、レモンピールの苦みのようなものをきちんと残しています。このあたりに、ブランドが目指す「豊かな果実味とほどよいお酒感が楽しめる味わい」を感じることができましょう。

白桃スパークリング

桃の甘さやとろみを感じさせる白桃スパークリング

 白桃スパークリングは、低アルコール飲料らしく、白桃の甘さやとろみが際立っています。いかにも我々がイメージする「RTD」の味わいのように思えます。

 しかし、そのあとにアルコールのグッとくる刺激がちゃんと残しているのですね。果実浸漬酒を入れることで、果汁の味わいと“お酒感”がまとまっています。このあたりのバランスはブランド特有のものです。

葡萄スパークリング

「果皮」の風味を残した葡萄スパークリング

 葡萄スパークリングもおもしろいです。低アルコールとはいいつつも、甘いだけではない。ブドウの果皮特有の渋みや苦みがほのかに感じられるのですね。

 そのため、「お酒を飲んでいる」と思わせる口当たりや喉越しが、しっかりとある。低アルコールながら、そのあたりの充実感がおもしろいところ。

 3種類を飲んでわかったのは、しっかりと「苦みも含めた果実感」や「アルコール感」などを感じさせる作りにしていることです。

 よく低アルコール度数の飲料は「ジュースみたい」と揶揄されることがありますが、キリン 華よいシリーズは、あえて甘味以外の果実感を際立たせることや、アルコール感を消しすぎないことなどで、「ジュースとは違うんだぞ、お酒だぞ」という個性を出しているように感じます。

 このあたりに、「アルコール度数が高いものではなく、低くてもしっかり『お酒を飲んだ』という感覚を味わってほしい」というキリンの姿勢が伝ってくるように思いました。

 「低アルコールでも、お酒を飲んでる感は欲しい」という層に、新たな選択肢を提案するキリン 華よいシリーズ。どのように市場に受け入れられていくのか注目です。

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