●ラウンジ利用だけでなくその他サービスにも制限が
楽天プレミアムカードがほぼ業界最安だったため、旅人にとって、回数無制限のプライオリティ・パスを発行するためのコスパは当然、悪くなりました。それに加えて、最近発表されたのが、一部のクレジットカード会社で発表された”空港ラウンジ以外のレストランやリフレッシュサービスでの利用を不可”とする制限です。
ひとつはJCBで、2024年10月31日以降、国内の非ラウンジ施設は対象外になります(海外はラウンジ以外も引き続き利用可能)。もうひとつは三菱UFJニコスで、こちらは2024年10月1日以降、国内外すべてラウンジ以外の施設は対象外となります。ちなみにアメックスが発行するプライオリティ・パスは、2019年からすでに利用はラウンジのみと制限されています。
●利用者が増加しすぎてカード会社がギブアップ!?
なぜこのようなサービス改訂になってしまったのか。
三菱UFJニコスは今回の改訂に関して、「昨今、空港における飲食店舗やリフレッシュ施設等でのプライオリティ・パスのご利用が大変増加しております。それに伴い、本サービスに関連するコストが増加しており、本サービス自体のご提供を続けることができなくなるおそれがございます。」と説明しています。
プライオリティ・パスとクレジットカード会社、それぞれ個別の契約内容まではわかりませんが、基本的にクレジットカード発行のプライオリティ・パスをユーザーが使うと、クレジットカード会社は利用料をプライオリティ・パスへと払うことになります。
「コストが増加して提供が続けられない」ということは、つまり、プライオリティ・パスの利用者が増えすぎてもうサービスできないということでしょう。
たとえばセントレア(中部国際空港)には、プライオリティ・パスで利用できるレストランは隣接するFlight of Dreams Buildingも含めて3ヵ所あり、加えて温浴施設医のくつろぎ処もあります。つまり、朝から空港に行って、空港内のレストランを3ヵ所はしごしつつ、温浴施設でリフレッシュし、ラウンジで飲食をしながら夜遅めの搭乗を待つ・・・・・・ここまでがすべて無料でできてしまうわけです。
ちなみに大きい空港だと利用できるラウンジが複数あり、ラウンジをはしごして使う「ラウンジホッピング」をして楽しむ人もいます。あまりにもお得に使えてしまうからです。
もちろん利用する側としてはルール内で活用しているだけなので何の問題もありませんが、SNSやYouTubeではこの手の「プライオリティ・パス活用術」は人気コンテンツとなっており、プライオリティ・パスを最大限活用している人が年々、増加し続けている状況です。その結果、利用料をプライオリティ・パスに支払っているクレジットカード会社が負担に耐えかねてギブアップし、サービス改悪が続いてしまっている、というわけです。
●もうちょっと円高になってくれたらな……
自分も楽天プレミアムカードで発行したプライオリティ・パスのヘビーユーザーですので、来年以降はどうするか悩みどころ。クレジットカード会社発行のプライオリティ・パスは、急なサービス改訂があるので、そのたびに一喜一憂するのは性に合いません。ガンガン使うならいっそプライオリティ・パスのプレステージを直接契約したほうがいいかな……とも考えています。もうちょっと円高になってくれれば契約しやすいんですけどね。
この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)
世界60ヵ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。
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