第5回 チームワークマネジメントがビジネスを変える

チームワークマネジメントを成功させるのはツールだけじゃない

課題だらけの日本企業がチームワークマネジメントに進む理由とは?

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: ヌーラボ

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 「Backlog」を手がけるヌーラボとASCIIのコラボでお届けする特設サイト「チームワークマネジメント総研」がいよいよ始まる。ここではチームワークマネジメントについてブログで発信しているヌーラボ ビジネスグロース部 部長 原田 泰裕氏に、チームワークマネジメントが必要になった背景や具体例について聞いてみた。(以下、敬称略 インタビュアー ASCII編集部 大谷イビサ)

異なるチームが共通の目標に向かうためのチームワークマネジメント

 「チームワークマネジメント」とは、所属が異なる人たちでチームを形成し、そのメンバーが効率的かつ効果的に目標を達成するためのプロセスや手法を指す。異なる組織やチームに所属しながら、1つの目標に向かってワンチームとなり、よりよく働くことを実現する。チームや部門の壁を越えて協働できる組織作りが可能になる。

 従来のワークマネジメントは日常業務の管理にフォーカスが当てられ、人と人との協力を促すことで、高いパフォーマンスを実現する仕組みだった。基本的にはタスクと進捗の見える化を実現し、目標達成を確実にするための重要な手法と言われている。

 一方、チームワークマネジメントは、よりチームでの仕事の進め方にフォーカスした考え方で、特にバックグラウンドが異なるチームやメンバーとの協働を前提とする。これを実現するためには「目的を設定する」「役割を明確にする」「リーダーシップを発揮する」という3つの要素が前提となる。

「この3つがチームワークマネジメントの『チームワーク』を作る上での基盤と考えていて、ここにワークマネジメントが連携することで仕事がうまく回ります。いくらチームがうまく連携していてもメンバーの仕事が管理されていなければ、結果的に遅延や混乱が生じます。 なので、チームワークとワークマネジメント、この2つがしっかりと連携していくことで、チーム全体のパフォーマンスが最大化されると思っています」(原田氏)

ヌーラボ ビジネスグロース部 部長 原田 泰裕氏

「ルーティンワーク」から「非定型のプロジェクト型業務へ」

 では、なぜチームワークマネジメントの概念が必要になったのか? これは現在の組織においては、チームがダイナミックに変化してしまうからにほかならない。固定のメンバーで定型業務を淡々進めていくのではなく、フェーズに合わせてチームメンバーを変更させ、新しいビジネスに取り組むというワークスタイルがどんどん増えているからだ。

「働き方は確実に変わってきています。1つの会社に所属して、上司の指示で淡々と仕事をこなすというより、複数の部門やプロジェクトに所属したり、別の会社のプロジェクトに入って、仕事するケースが明らかに増えています。そういう意味では、ルーティンワークではなく、プロジェクト型での仕事をこなしていく必要性は今までよりも高くなっていますね」(原田)

 この背景にあるのは、日本の社会的な課題である「少子高齢化」と「労働人口の減少」だ。特に若手層が流出する地方では、新卒の採用が難しくなる。今後はU/Iターンやテレワーク前提の採用が増え、多様な価値観を持つ社員が増え、外部のパートナーとの連携も不可避になる。そのためには同じ組織に属さない人たちと協働で仕事を進めなければならない。

「副業や業務委託のような形で、複数の会社に所属する人も多い。会社もそうしていかないと人手不足の課題を解消できない。外部の人や会社を巻き込んでいかないと、業務が回らなくなっている。逆にそこに課題感を感じない会社は生き残っていけないと思います」(原田)

チームワークマネジメントで重要なツール

 あるミッションや目的を遂げるために必要な人材が集められ、プロジェクトが終了すると、別の組織に移動するといった働き方が当たり前になる時代が間近に迫っている。しかし、新しいことを始めるたびに、ミーティングのメンバーが異なると、当然ながらメンバー間の連携は難しくなる。同じチームで仕事をしていると、共通言語が暗黙知になってしまう。でも、暗黙知前提だと、新しい人が入ってきても、同じ言葉で話しても全然通じない。

「課題はコミュニケーションですね。コミュニケーションが不足すると、リテラシの差を生み、リテラシの違いはゴールの違いを生みます。AさんとBさんでゴールの考え方が違う。信頼感も醸成できていません。だから、お互いでコンセンサスがとれるよう、新しく入った人には、最初にすごい量のコミュニケーションをとらなければなりません」(原田)

 チームワークマネジメントで課題となるコミュニケーション。この課題を解消するのが、ビジネスチャットやタスク管理ツールなどだ。非定型のプロジェクト型業務が増えたら、ミーティングを行なって、そこで決まったタスクをツールに起票をしていくのだ。

「ツールはコミュニケーションを円滑にし、業務を見える化し、信頼関係を醸成するために必要です。過去の職歴でもチャットやタスク管理ツールは必ず使っていましたし、タスクをベースにコミュニケーションをとるということはやっていました」(原田)

Backlogのサービスサイト

 コミュニケーションというとチャットツールというイメージが強いが、原田氏の過去の経験からすると、タスク管理ツールとしてBacklogを組み合わせたパターンが多かったという。

「Slackでやりとりが増えると、相手のことがわかってくるので、信頼関係が醸成されます。一方、Backlogは業務の可視化です。チームは目的があって仕事をしているので、その目的に対して仕事が進んでいるかの進捗管理ができます。特に期限日を守らないのは、約束を守らないと同じなので、管理が必要になります」(原田)

ツールの価値を最大限に引き出すと「バックログスイーパー」とは?

 これらツールと同じレベルで重要なのが、「バックログスイーパー」という役割だ。タスクの起票という、もっとも高いハードルを超えるには、バックログスイーパーの存在が不可欠になってくるという。

「みなさん業務を管理すること自体が、1つ仕事を増やしてしまうと思ってしまうんですよね。タスクを起票することが負担になってしまう。やること増えるのをいやがって、やらないという方が圧倒的に多いです」(原田)

 こうした課題に対応するための仕組みがバックログスイーパーになる。バックログスイーパーはチーム全体のタスク管理を担当し、起票、進捗管理、処理済までサポートする。ツールのみでなく、リーダーやバックログスイーパーによって円滑なチームワークマネジメントが実現するわけだ。

「バックログスイーパーが定期的にタスクのクリーンアップを行なうことで、無駄な作業が削減され、チームは本当に重要なタスクに集中できます。その結果、全体の作業効率が飛躍的に向上します。また、タスクの整理を行なうことでチーム内外のコミュニケーションがスムーズになり、プロジェクトの進捗状況や課題が一目瞭然となります。これにより、組織全体が同じ目標に向かって一体となって動くことが可能になります。その結果「業務効率の向上」、「組織全体の透明性の確保」が現実のものとなり「組織の成長」へとつながっていきます」(原田)

バックログスイーパーの役割

チームワークマネジメント導入の障壁とは?

 今後の組織運営に必要となるチームワークマネジメント。ここまで読んでもらえば、必要性は感じてもらえたかと思う。しかし、多くの企業ではチームワークマネジメントどころか、業務を管理したり、チームワークという概念すらない会社も多いという。経営者や社員の頭の中ですべて管理している会社は、タスクの可視化やチームワークの概念自体がないため、当然ながらツールも使っていない。

「手帳で個人の業務を管理する方は多いんですけど、営業さんは自分の担当を持っていて、自分で業務を管理しているので、チームのために情報を登録させるのがとても大変です。そもそもタスクを管理しようと思っていないとか、スケジュールに入れるだけでタスク管理していると考えている会社も多い」(原田)

 ツールを導入したり、タスクを管理できたら、なにがなくなって、なにがうれしいのかもまだまだ浸透していない。メリットを腹落ちしてもらうのが重要だ。タスク管理の考え方はあったり、ツールは導入しているけど、前述したチームワークについての配慮が欠けているが故に、うまく使いこなせていない会社も多い。

「親会社と子会社で使っているツールも違ったり、アクセスできる情報も違う。組織をまたいだプロジェクトだと、組織ごとに目標が違うこともあります。チームと目標が一致しないと、ツールを使ってもうまくいかないだろうなあと感じたことはあります」(原田)

 やるべきことはわかっているけど、なんだか難しそうなチームワークマネジメント。そんなユーザーのためのテーマサイトがこの「チームワークマネジメント総研」になる。タスクの回し方に長けたバックログスイーパーや、ユーザーの利用を拡大されたリーダーに話を聞いたり、成功事例やベストプラクティスを追うことで、「チームワークマネジメントにまつわるモヤモヤ」を解消していくので、楽しみにしてもらいたい。

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