最新パーツ性能チェック 第444回
低発熱&低消費電力でも性能が向上した「Ryzen 7 9700X」「Ryzen 5 9600X」のアプリ&AI処理性能に驚いた
2024年08月07日 22時00分更新
メモリーの定格最大クロックがDDR5-5600に引き上げられた
CPUの構造は前世代のRyzenと同様に最大8基のCPUコアを収容する「CCD(Core Complex Die)」と、メモリーコントローラー/PCI Expressなどのインターフェース/内蔵GPUなどの足回りをまとめる「IOD(I/O Die)」の組み合わせで構成される。今回Zen 5アーキテクチャー採用にあたってCCDは前世代と完全に別モノなのに対し、IODはRyzen 7000シリーズと同じものが使われている。ただしメモリーの定格最大クロックはDDR5-5200がDDR5-5600に少々引き上げられている。
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Ryzen 9000シリーズの内部(レンダリング画像)。Ryzen 9000シリーズも最大2基のCCDに1基のIODを組み合わせるという設計を採用。IODは既存のものと同じものを使っているが、パッケージングの経験値を積んだためか、メモリーの定格クロックの上限が少し上昇している
![](/img/2024/08/07/3777329/l/76d1021b8cacda44.jpg)
今回の検証ではMicron製のXMP/ EXPO両対応のDDR5-5600モジュール(CP2K16G56C46U5)を利用した。Ryzen 9000シリーズを組み込んだ状態では「特にEXPOプロファイルを選択しない状態でも」DDR5-5600として認識された
またAMDによると、Ryzen 9000シリーズはmclkとuclk、すなわちメモリークロックとメモリーコントローラーのクロックがDDR5-6400でも1:1で動作する“可能性がある”という。ただ公式な仕様としてはmclkとuclkが1:1動作になるのはDDR5-6000までで、それ以上は1:2になるという点は同じだが、9000シリーズでは手動で設定することで1:1動作できる“可能性が高い”。OCと同様にメモリーチューニングに興味がある人には朗報かもしれない。
そして内蔵GPUに関してはIODが据え置きな関係で性能的に変化はない。RDNA 2ベースのRadeon GraphicsだがCU(Compute Unit)数が2基と少ないため、ゲーム目的なら別途ビデオカードが必要だ。
Ryzen 9000シリーズ特有の機能としてはEXPOプロファイルの切り替えがRyzen Master上で実行できる「メモリーOC OTF(On The Fly)」と、CPUのコア電圧を調整するCurve Optimizerを補強する「Curve Shaper」がある。
Curve Shaperについての解説はAMD Tech Dayレポートにある通り、Curve OptimizerがV-Fカーブの形状を保ったままカーブ全体を上げ・下げ(=電圧上げ・下げ)するものなのに対し、Curve Shaperはカーブの形状(Shape)を変える。CPUのクロック5段階、CPU温度3段階の都合15のドメインごとに電圧を上げ・下げする設定ができる一方で、CPU全体にしか適用できない(Curve OptimizerはコアやCCD単位で設定できる)。
Curve Shaperで設定した値はCurve Optimizerと合算されるため、Curve Optimizerをさらにファインチューニングするための機能と言えるだろう。Curve Shaper/ Optimizerで電圧を下げることで熱的な余裕が生まれ、さらに性能が上がる可能性を秘めている(実施は自己責任で……)。
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Curve Shaperの設定① Ryzen 9000シリーズと、AGESA 1.2.0.0A以降のBIOSが搭載されたマザーでは、BIOSのAMD Overclocking→Precision Boost Overdrive内にCurve Shaperの項目が出現する。BIOSがあってもCPUがRyzen 7000シリーズではこの項目は非表示となる
![](/img/2024/08/07/3777292/l/e8084cf24e4e5ef3.jpg)
Curve Shaperの設定② Curve ShaperではCPU温度がLow/ Med/ Highの3区分、CPUクロックがMin/ Low/ Med/ High/ Maxの5区分に分割されており、これらを合わせた15のドメインごとに電圧の調整幅を設定していく
![](/img/blank.gif)
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