車やバイク、自転車はもちろん、模型用のエンジン、ラジコン、基板のスペーサーなど、ボルトやナットが使われている機器は多数あります。厄介なのは、同じ機器でも複数サイズのボルトやナットが使われていること。これは、使用する場所によって必要な締め付けの強さ、強度などが違ってくるためです。
こういった機器を分解/組み立てるのであれば、使うレンチも必要なサイズぶんだけ用意しなくてはなりません。1つずつ揃えるのは大変ですから、よく使うサイズがひと通り揃った、セット工具を購入している人も多いでしょう。
使いたいサイズをすぐ手に取れるというのがセットの魅力ですが、しばらくすると「このサイズ……使ってないよな」といったことに気づきます。
また、よく使うサイズだけ取り出しやすい場所に置いた結果、使わないサイズが棚の奥の方で肥やしになっている、なんてことも。そしていざ使う番が来た時には、どこに置いたかわからなくなっていたりもします。
少ない工具で確実につかめる工具
1つの工具で多数のサイズに対応させたいなら、サイズ可変なモンキーレンチを選ぶのもアリです。ただし、構造上どうしても遊びが出てしまうため、ガッチリつかめません。遊びが大きいとボルトの角に力が集中し、角が凹んで空回りする可能性もあります。また、先端が厚いことが多いので、小さいボルトやナットには不向きです。
セットで揃えるには無駄が多いし、かといって、モンキーレンチはいまいち信用できない……。そんな人にオススメしたいのが、KNIPEXのプライヤーレンチです。中でもコンパクトな、「ミニ・プライヤーレンチ 86 03 125」(実売価格8110円)を借りて試してみました。
見た目はまるでプライヤー
パッと見は普通のプライヤーと同じに見えますが、よく見ていくと全く別物。まず気づくのが、くわえ部が平らで歯がないことです。
歯がないということは、滑りやすいということ。そのため、管状のものや板をつかむのには向いていません。その代わり、つかむ対象を傷付けないため、ボルトやナットに向いているといえるでしょう。
また、小型モデルということもあって、先端は約3mmとかなり薄め。このおかげで、とくに小さな対象がつかみやすくなっています。
特徴的なのが、開き幅の調整するスライド機構。中央のボタンを押しながらスライドさせる方法で、全11段階で調整できます。一般的なプライヤーだと穴をずらすだけの2段階ですから、全く違いますね。
また、開閉部のギミックも特殊。くわえ部とハンドルは直結しておらず、カムのような構造で開閉するようになっています。これにより、軽く握っただけでも強い力でしっかりつかめるわけです。
もうひとつ、ハンドルと別部品とすることで、くわえ部が常に平行のまま動くのもいいところ。つまり、ハンドルの開き角に関係なく常に平行になるため、ボルトやナットがズレたり、滑ったりすることがありません。
この平行だという特徴を活かし、曲がった針金の先を伸ばす、なんてこともできそうです。
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