謎うなぎ、思った以上に「大豆たん白加工品」という感じ:
「日清謎うなぎ丼」(うなぎ不使用)、うなぎっぽくないけど……うな丼っぽくないけど……面白いからOKかな!
2024年07月17日 18時00分更新
「日清謎うなぎ丼」
日清食品
7月15日発売(関東甲信越、中部、近畿地区限定)
369円(税抜)
https://www.nissin.com/jp/news/12617/
貴重な「謎うなぎ」が手軽に食べられる
子どもの頃に読んだSF作品で、科学的に合成して作られた動物の肉(っぽい食品)を食べながら「昔の人間は本当に動物の肉を食べていたんだぜ」みたいなことを言う……みたいなシーンがあった記憶があります。作品名を失念してしまったのですが。
最近では、フードテクノロジーでさまざまな「代替食品」が作られています。それらの一部は(主にビジュアルの面で)「ディストピア飯」などと揶揄されることもありますが、限りある資源を持続させていく上では、重要な試みでしょう。
さてさて、日清食品は「日清謎うなぎ丼」を7月15日から関東甲信越、中部、近畿地区限定で発売しています。価格は369円(税別)。
日清食品は2023年に、最新フードテクノロジーを駆使し、動物由来原料を一切使用していない「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」(冷凍品)を発売。
本物のうなぎの蒲焼に近い食感と見た目、風味を再現したという“うなぎ様食品”でしたが、開始からわずか1分で1000セットが完売するほどの人気だったとのこと。
今年も発売されましたが、公式オンラインストアであっさり完売。もはや本当のうなぎよりこちらのほうが貴重ではないか、という気持ちになりそうです。
日清謎うなぎ丼は、そんなプラントベースうなぎ 謎うなぎを「カップメシ」の具材として楽しめる商品。
しょうゆをベースに白身魚の旨みを加えたスープが染み込んだごはんと、ほんのりと山椒の風味をきかせた謎うなぎに、甘辛く濃厚な味わいの特製甘辛たれをかけて仕上げれば“うなぎ丼を食べているかのような”風味と食感を楽しめるといいます。
フードテクノロジーを活用した独特の具材「謎〇〇」といえば、日清食品のお家芸。「カップヌードル」に入っている加工肉「謎肉」(ダイスミンチ、味付豚ミンチ)の他にも、鶏肉と野菜を使った「白い謎肉」などを世に問うてきました。
その謎〇〇の新作が、謎うなぎ。とにかく「うなぎ不使用」というのがそそられます。申し訳程度にうなぎのエキスを入れるなんてことは、日清食品はやらないのです。じゃあ、どれだけうなぎに近いのか? 気になってくるではありませんあk。
お湯を入れて甘辛たれを加えて混ぜるだけ
実際問題、謎うなぎはどういうものか。フタを開けてみると、確かにうなぎの蒲焼を細かく刻んだような具材が見えます。うーん、確かにうなぎに見えるような、見えないような……。
これにお湯を入れれば、うなぎの蒲焼っぽい食感の具材になるはずです。日清食品を信じれば、ですが。
お湯を入れて5分待ったら、甘辛たれを入れてよく混ぜます。ここがポイントで、混ぜないとお米が水分を十分に吸わないのか、ちょっとシャバシャバした感じになるんですよね。かなり丁寧に混ぜることをオススメします。
そして完成……まあ、いわゆる「うな丼」のようには見えません。これはうな丼ではなくて「謎うなぎ丼」なので、当然といえば当然かな。
謎うなぎは……豆腐っぽい感じです
肝心の謎うなぎの食感と味ですが、思った以上に「大豆たん白加工品」という感じです。簡単に言えば、豆腐っぽいんですよね。干し豆腐っぽいというか……。うなぎの蒲焼特有のジューシー感が感じられないせいかしら。
一応、山椒の風味はありますし、蒲焼っぽい焦げ目もあるため、雰囲気はなくもないんですけど……。食感といい、味わいといい、やっぱり「大豆たん白加工品」という風情です。
全体の味わいとしては、うな丼(というか、うな丼のたれ)っぽい味になっています。甘辛いたれも変にしょっぱくありませんし、なかなかバランス良くできている。
ただ、日清食品のカップメシシリーズはお湯を入れて混ぜて仕上げるので、どうしても汁気が多くなるんですよね。だから「うな丼を模したもの」というよりは、「うな丼っぽい雰囲気の雑炊」みたいな感じです。
変な味ではないし、まとまってはいる。だけれども、食べている間、ずっと「うなぎっぽくしようとしているのはわかるんだけど……」と、ちょっと首を傾げたくなります。そこも含めて、おもしろい商品とはいえるかも。
というわけで、この商品に何を求めているかどうかで、日清謎うなぎ丼の評価はかなり変わるように思います。
もし、「うな丼に近ければ近いほど評価が高い」とするのであれば、残念ながら日清謎うなぎ丼はいまいちかもしれません。謎うなぎの食感は、やはりうなぎと違います。また、味はともかく、どうしても汁気が多いため、うな丼に近いかと言われると悩ましい。
一方、「お湯を入れて5分で、“謎うなぎ”が入ったおもしろインスタント食品が食べられまーす!」みたいなテンションで食べられる人にはかなり注目というか、ユニークな商品でしょう。なんだったら、ちょっとSF感もありますし。
謎うなぎ自体が独自すぎるだけでなく、そもそも「お湯を入れてすぐに食べられる、うな丼っぽい味の食品」ってそうそうないんですよね。そういう意味では、かなり貴重な存在だと思います。
インスタント食品として考えれば、そこは日清食品、手堅くまとまった味になってはいます。うなぎっぽくないけど……うな丼っぽくもないけど……まあ、面白いからOKかな! そんな感じでした。
「気になるから食べてみる」みたいな考えで挑戦しても、損はしないクオリティーではあるでしょう。「うわあ、本当にうなぎみたいだ!」と思えるかどうかは、また別の話ですが……。
モーダル小嶋
1986年生まれ。「アスキーグルメ」担当だが、それ以外も担当することがそれなりにある。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。よろしくお願いします。
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