Zen 5でIPCが16%向上したのは
実行・リタイアの寄与率が非常に大きい
ここまで解説したZen 5アーキテクチャーの改変において、どの部分がどの程度貢献しているのだろうか? 今回は具体的な数値までは出てこなかったが、資料に出ていた円グラフの角度からパーセンテージを割り出すと、以下のような数値が得られた。
- フェッチ・分岐予測 13%
- デコード・Opキャッシュ 27%
- 実行・リタイア 33%
- データ帯域 27%
Zen 3→Zen 4の時はフロントエンド(分岐予測含む)とロード&ストアの強化がIPC向上に大きく寄与していたが、Zen 4→Zen 5では実行・リタイアの寄与率が非常に大きく、3割程度を占めている。
このような改善を積み重ねた結果、Zen 5はシングルスレッド性能でZen 4を大きく越えるものになったとAMDはアピールする。「Geekbench」を使用した機械学習のベンチマークでは32%のスコアー向上、AES XTSのベンチマークでは35%の向上と謳う。AVX512や浮動小数点演算をゴリゴリに使うようなベンチマークの結果であるため鵜呑みにするのは危険だが、性能はしっかり伸びているようだ。
Zen 5は3nmプロセスでも展開される
以上でZen 5アーキテクチャーの解説は終了だ。次回はRDNA 3.5やXDNA 2等の話題も交えつつ、AMD Tech Dayの目玉であるRyzen AI 300シリーズ(Strix Point)を解説する。