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猛獣Zen 5のIPCが16%向上したのは実行ユニットに餌を与え続けた成果 AMD Tech Dayレポート

2024年07月17日 13時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

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Zen 5でIPCが16%向上したのは
実行・リタイアの寄与率が非常に大きい

 ここまで解説したZen 5アーキテクチャーの改変において、どの部分がどの程度貢献しているのだろうか? 今回は具体的な数値までは出てこなかったが、資料に出ていた円グラフの角度からパーセンテージを割り出すと、以下のような数値が得られた。

  • フェッチ・分岐予測 13%
  • デコード・Opキャッシュ 27%
  • 実行・リタイア 33%
  • データ帯域 27%

 Zen 3→Zen 4の時はフロントエンド(分岐予測含む)とロード&ストアの強化がIPC向上に大きく寄与していたが、Zen 4→Zen 5では実行・リタイアの寄与率が非常に大きく、3割程度を占めている。

AMDがZen 5アーキテクチャーにおける性能向上を機能ごとに分解したグラフ。デュアルパイプ化されたデコード・Opキャッシュならびに実行・リタイアの比率だけで60%程度を占める

ちなみにZen 4の時はこんな感じだった。フロントエンドならびに分岐予測の貢献度が非常に大きい一方で、実行ユニットはあまり改善されていない(=あまり変わっていない)

 このような改善を積み重ねた結果、Zen 5はシングルスレッド性能でZen 4を大きく越えるものになったとAMDはアピールする。「Geekbench」を使用した機械学習のベンチマークでは32%のスコアー向上、AES XTSのベンチマークでは35%の向上と謳う。AVX512や浮動小数点演算をゴリゴリに使うようなベンチマークの結果であるため鵜呑みにするのは危険だが、性能はしっかり伸びているようだ。

Geekbenchを使った「シングルコア」のベンチでは、Zen 5は30%以上の性能向上を果たす。ただシングルコア性能を見るといってもテスト機構成はRyzen 9 9950XとRyzen 7 7700Xという非対称な構成なので、参考程度にとどめておきたい

Zen 5は3nmプロセスでも展開される

 以上でZen 5アーキテクチャーの解説は終了だ。次回はRDNA 3.5やXDNA 2等の話題も交えつつ、AMD Tech Dayの目玉であるRyzen AI 300シリーズ(Strix Point)を解説する。

【関連サイト】

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