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Ryzen 9000シリーズに追加された「メモリーOC OTF」と「Curve Shaper」でOCが楽しくなる AMD Tech Dayレポート

2024年07月16日 13時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

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 本稿は7月10日から11日にかけ、AMDが開催した報道関係者やアナリスト向けのイベント「AMD Tech Day」で筆者が実際に見聞きしたことをまとめたものである。Tech Day全体としてはAMDの最新技術を結集した最新モバイル向けCPU「Ryzen AI 300シリーズ」推しだったが、Ryzen 9000シリーズにも言及はあった。

 今回はTech Dayレポート2回目ということで、Ryzen 9000シリーズに追加された新オーバークロック(OC)機能「メモリーOC OTF」と「Curve Shaper」について見聞きした内容を解説するものである。

Ryzen 9 9950XとX670Eマザー(GIGABYTE製“X670E AORUS Master”)、さらにTeam製のDDR5-6000(EXPO)モジュールで構成されたデモマシン。メモリーモジュールが1枚しかないのは、起動時に発生するメモリーのトレーニング時間を減らし、限られた時間で報道陣に何回もデモをするため、と説明していた

EXPOのプロファイルをその場で変更できる

 Ryzen 9000シリーズの「定格」メモリーについては、前回解説した通りDDR5-5600に引き上げられ、より高クロックなメモリー設定にする際にはメモリーモジュールに記録されているEXPOないしXMPのプロファイルを利用することになる。

 EXPOのプロファイルの方がよりRyzenに最適化させられるため、DDR5-8000のような超高クロック設定を狙うにはEXPOが推奨されるのはこれまでと変わらない。ただEXPOのプロファイルを使う・使わない(JEDECのプロファイルを使う)の切り替えにはBIOSに入って設定する必要があった。

 Ryzen 9000シリーズに実装される「メモリーOC OTF(On-The-Fly)」では、Windows上で動作する「Ryzen Master」を利用し、マウスクリックだけでメモリーのプロファイル切り替えが可能になる。EXPOプロファイルがキツめと緩めのものを複数パターン持っているモジュールの場合も、Ryzen Master上から選択が可能だ。

 メモリーOC OTFはとりあえず安定なJEDECのプロファイルで起動し、後からEXPOプロファイルに切り替えて高スコアーを狙う、といったシーンでの活用が期待できる。特にCPUをOCしており高クロックメモリー設定では起動が安定しない時に使えるかもしれない。

Ryzen 9000シリーズに対応したRyzen Master。中段やや下にあるEXPO Modeに「OFF」「Persistent」「On The Fly」の3種類の選択があり、さらにその下に「EXPO 1」「EXPO 2」のボタンがある。選択してActivateボタンを押すという簡潔なインターフェースになっている

まずEXPOではなくJEDECのDDR5-5600設定で「AIDA64」のCache & Memory Benchmarkを実行、メモリーのレイテンシーを計測。すると87.4nsと出た。AIDA64自体がまだRyzen 9000シリーズに最適化されていないため、実際のテスト結果とは異なる可能性もある

ここでRyzen MasterでEXPO1を選択しActivateボタンをクリック。ツールチップに「現在EXPOプロファイルは無効、クリックして有効化」とある

改めてAIDA64で検証すると、メモリーのレイテンシーが74.7nsに短縮されている。デモを実施したAMDのスタッフによれば、まだ詰め切れてない部分がある(つまり、スタッフの想定よりもレイテンシーが十分に低くならなかった)ようだ

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