AI向け大規模GPUクラスタ、顧客/パートナー専用リージョンなど他社にない特徴をアピール、2025年度事業戦略
「Oracle Cloudは先行他社と違う進化を遂げ始めた」日本オラクル 三澤社長
2024年07月12日 08時00分更新
最も注力する取り組みは「基幹システムの進化(モダナイゼーション)」
今年度、最も注力していく取り組みとして「日本企業を支える基幹システムの進化」を挙げた三澤氏は、レガシーモダナイゼーションを通じて基幹システムの「レジリエンス向上」を図っていく必要があると述べた。レガシーモダナイゼーションについては、日本政府も重点計画に掲げ、デジタル庁や経産省などの省庁横断での取り組みを進めようとしている。
三澤氏は、レジリエンス向上をはばむ日本の基幹システムの問題として、セキュリティパッチやアップグレードができない“塩漬け”問題を指摘する。これを解決する手段としてOCIへの移行を紹介し、多くの企業事例があることを示した。
またBroadcomによる買収をきっかけにVMware環境のクラウド移行を考える顧客に対しては、OCI上でのマネージドVMware環境である「Oracle Cloud VMware Solution」の用意があることを紹介した。VMware環境の管理権限を顧客/パートナーが持てること、複数年にわたる価格固定を保証していること、無償の移行支援サービス/ツールを提供していることなどを特徴とする。今後さらにパートナーとの協業を強化して、クラウド移行を推進するとしている。
本格的な実装が今年度末から始まる政府自治体のガバメントクラウド移行については、地方自治体向けパッケージを提供するISVパートナーを支援するかたちで、OCIの活用を促すとした。今年7月には和歌山市が、OCIを利用して基幹業務システムのガバメントクラウド移行を開始したことを発表している。
* * *
クラウドERPであるFusion Apps、NetSuiteについても、多数の国内事例を紹介した。三澤氏は、SaaSのエリアでは競合他社よりもずっと早く“クラウドネイティブSaaS”への切り替えに取り組んで来たこと、OCIをインフラとしてシングルベンダーで開発、提供していることの強みをアピールした。
レガシーモダナイゼーションや基幹システムのレジリエンス強化の必要性を訴えていく相手は誰か、という質問に対して、三澤氏は「レジリエンス強化は『経営課題』だと考えている」と述べたうえで、次のように答えた。
「(顧客企業のトップに対しては)DX、DXと言うのもよいのだけど、いま現在皆さんのビジネスを支えている仕組みは何ですか、と。基幹システムは、いまもお客さまのビジネスの9割を支えている。それならば基幹システムの強化は必須ですよね。――こうしたことは経営者に言うべきテーマだと思う。IT部門の方々にも、経営層にも訴えていきたい」