有機EL搭載&真のプロ仕様になったiPad Proに、Apple PencilもProに進化! 春のiPad祭り特集 第21回
【レビュー】Macよりも先にM4搭載「iPad Pro 13インチ」はアップル最高密度のモデルだ!
2024年07月15日 12時00分更新
11インチモデルにも搭載された超ハイコントラストディスプレイ
M4の採用と合わせて、今回のiPad Proのもう1つの大きな特徴は、iPadとして初めてタンデムOLEDを採用した「Ultra Retina XDRディスプレイ」を搭載していること。用途によっては、M4の採用よりも、こちらの方が意味が大きいと感じるユーザーも多いかもしれない。
「タンデムOLED」自体は、ディスプレイ方式として特に目新しいものではない。その名の通りOLEDを2段重ねにしたもので、発光効率の高さと長い寿命を狙った方式だ。最悪、直射日光が当たるような戸外で使うデバイスや車載用ディスプレイなど、特に明るい場所で使うのに適している。今回のiPad Proでは、従来のミニLEDを採用した「Liquid Retina XDR」に対して、「リキッド」が「ウルトラ」になり、「Ultra Retina XDR」ディスプレイとして採用している。
スペックを比べてみると、SDRコンテンツの最大輝度はミニLED方式の600ニトから1000ニトへと、60%以上も向上している。XDR最大輝度はフルスクリーンで1000ニト、ピーク輝度は1600と変わらないが、コントラスト比はミニLEDの100万対1から200万対1へと向上している。100万対1でも人間の目には十分すぎるほどだと感じていたが、200万対1となるともはや想像を絶するコントラストのように思える。
しかも、ミニLED方式とは異なり、原理的に1ピクセル単位で制御可能なコントラストを実現している。ミニLEDは、液晶のバックライトをディスプレイ全体で2596分割し、その分割単位ごとにLEDの照度を調整するというもの。12.9インチモデルの全体のピクセル数は、2732×2048で559万5136だったから、単純計算で1つのミニLEDあたり約2155ピクセルをカバーすることになる。つまりミニLED方式で得られる最大のコントラストは、2155ピクセル単位ということになる。コントラスト比が2倍になったことよりも、1ピクセル単位で最大のコントラストが得られるようになったことの方が意義が非常に大きい。
iPad ProのM4モデルをこれまでのモデルと比較して、もう1つの重大な違いは、この超高コントラストのUltra Retina XDRディスプレイが13インチモデルだけでなく、11インチモデルにも採用されたこと。これまでの11インチモデルは、iPad Airとも同じ方式のLiquid Retinaディスプレイを採用し、XDR表示には対応していなかった。
ディスプレイサイズの差以上に、12.9インチモデルには大きな差をつけられていたわけだ。今やiPadとしても小さく感じられる11インチのディスプレイで、これだけの高品質表示を実現したことは、性能面でも13インチモデルに引けを取らないことと合わせて、画期的といえる。
見た目以上に進化しているApple Pencil Pro
新しいiPad Pro M4モデルは、対応するApple Pencilも進化している。M1以降のiPad Proは第2世代と、USB-C充電ポートを備えたものという2種類のApple Pencilに対応していたが、M4搭載のiPad Proは従来のUSB-Cタイプと新しいApple Pencil Proに対応する。このあたりの事情は新しいM2モデルのiPad Airとまったく同じだ。フロントカメラの位置が、ディスプレイのベゼルの長辺の中央に移動したことで磁気コネクタの仕様が変更となり、それに完全に対応するためにApple Pencil Proが開発された。したがって、USB-CタイプのApple Pencilの場合、「使えなくはないといった程度の対応」であり、iPad本体に吸着しての充電やペアリングはできない。
この新しいApple Pencil Proは、見た目はこれまでのApple Pencilとほとんど変わらないが、中身は大きく進化している。たとえば、指先に力を入れてペンシルを強くつまむようにすることでツールパレットを表示してツールを簡単に撰ぶことができるようになった。
また、ジャイロスコープの搭載によりペンシルの回転も検知するので、描画部分が円形ではないツールの場合、ペンシルを回転させることでツールの向きも変わる。
さらにペンシルを近づけた画面には影のようなものが表示されるが、これは実際に外部から光が当たってできた影ではなく、ツールの形状や向きを反映して映像としてiPadが表示する擬似的なもの。こうした視覚的なフィードバックに加えて、触覚エンジンによって操作に対する感触的なフィードバックも得られるなど、まさに新たな「体験」と呼べる操作感覚を実現している。
これらのメリットは、従来のApple Pencilが使えないというデメリットを大きく補って余りあるものだ。価格も第2世代のものと同じ2万1800円に抑えられていて、かなりお買い得な感じのする価格設定だ。
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