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「質問の繰り返しでユーザーが理解を深めること」に力点、最高ビジネス責任者インタビュー

注目の生成AI検索 Perplexity、ビジネスモデルや企業向けサービスの実績を聞く

2024年07月04日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

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 今年6月、ソフトバンクとの戦略提携を発表して日本への本格上陸を開始した、次世代の検索エンジン「Perplexity(パープレキシティ)」。生成AI技術を活用し、ユーザーの質問に対してWeb検索の結果をふまえた自然な文章で回答する、新しい形の検索サービスだ。海外では大手企業での導入も相次いでいるという。

 サービスとしての特徴はすでにお伝えしたが、今回はあらためて、企業としてのビジョン、従来の検索エンジンとは異なるビジネスモデル、企業向けサービスにおける成果や今後の機能強化方針などを、CBO(最高ビジネス責任者)を務めるドミトリー・シェブレンコ氏に聞いた。

Perplexity CBO(最高ビジネス責任者)のドミトリー・シェブレンコ(Dmitry Shevelenko)氏

ユーザーに「より多くの質問」を促し、理解を深めてもらうことが目標

――ソフトバンクとの戦略提携発表会で強く印象に残ったのが、「Perplexityは検索エンジンではなく“アンサーエンジン(回答エンジン)”だ」というCEOの言葉でした。Perplexityが提供する、新しい検索体験をよく表していると思います。

シェブレンコ氏:ありがとう。ただし「アンサーエンジン」というコンセプトそのものは新しいものではなく、以前からずっと存在していた。たとえば「Ask Jeeves」というQ&Aサイト(キーワードではなく自然文でも質問できる)が人気を集めたのを覚えているだろうか? その回答は必ずしも十分なものではなかったが、あれもアンサーエンジンのひとつだったと言える。

 ただし、強力なアンサーエンジンを実現するうえで真のブレイクスルーになったのは、やはりLLM(大規模言語モデル)の登場だ。具体的にはOpenAIの「GPT-3.5」が2022年11月に登場したことで、ユーザーが自然な言葉で質問し、自然な言葉で回答が得られるアンサーエンジンが成立するようになった。

 われわれは2022年8月に創業し、その年の12月にPerplexityのサービスを開始した。テクノロジー企業にとってはそうしたタイミングも大切だ。

Perplexityでの質問応答例。自然言語での質問、構造が整理された応答、Web上の情報ソースの明示などが特徴

――生成AIを使ってはいますが、Perplexityの回答もWeb上の情報を基にしたものです。従来の検索エンジンと比べた場合の、Perplexity最大のメリットは。

シェブレンコ氏:間違いなくそれは「時間の節約」だ。従来の検索エンジンで15分、30分かかってやっと得られていた情報が、わずか15秒で得られるのはすばらしい体験だ。

 従来の検索エンジンでは、何かの疑問があれば適切なキーワードを並べて検索しなければならず、検索結果も(具体的に回答する文章ではなく)外部のWebページのリンクが並ぶだけだった。その背景には、彼らのビジネスモデルがユーザーのクリック数(広告のクリック数)に依存しているという事実がある。彼らはユーザーに「より多くクリックしてほしい」のだ。

 一方でPerplexityは、そうした過去の検索エンジンとはまるで違う。Perplexityでは、好奇心と探究心を持ったユーザーに「より多くの質問をしてほしい」と考えている。より多くの質問をして、より良い情報を得てもらうことが目標だ。

 たとえばPerplexityで何か質問をすると、回答文の最後には「探索を続ける」として、いくつかの関連質問がリスト表示されるようになっている。ここから質問を繰り返すことで、ユーザーは自然と理解を深めることができるわけだ。

――たしかに、Perplexityを使っていると「探索を続ける」に出てくる質問を自然とクリックしてしまいますね。最初に自分が持っていた疑問を解決するだけでなく、もっと深い理解につながっていくという実感があります。

Perplexityの回答の最後には、必ず関連する質問案のリストが表示される。ここから質問を繰り返すことでユーザーの理解が深まるという仕掛けだ

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