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ソフトバンクとの戦略提携を開始、ソフトバンク/ワイモバイル/LINEMOでPro版が1年間無料

「検索エンジンではなくアンサー(回答)エンジン」Perplexityが日本に本格上陸

2024年06月18日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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発表会に出席したソフトバンク 専務執行役員 コンシューマ事業推進統括の寺尾洋幸氏(左端)、Perplexity 共同創業者兼CEOのアラビンド・スリニバス(Aravind Srinivas)氏(右端)。ゲストとしてヒコロヒーさん、カズレーザーさんも登場

 ソフトバンクは2024年6月17日、生成AIとWeb検索の技術を組み合わせた新時代の対話型AI検索エンジンを提供するPerplexity(パープレキシティ)との戦略的提携を発表した。ソフトバンク/ワイモバイル/LINEMOユーザーを対象に、有料版サービス「Perplexity Pro」(通常価格:月額2950円から)の1年間無料トライアルを提供する。申し込み受付は6月19日から。

 2022年にPerplexityを共同創業し、現在はCEOを務めるアラビンド・スリニバス氏は、Perplexityのサービスは「サーチエンジン(検索エンジン)ではなく“アンサーエンジン(回答エンジン)”だ」と表現。これまで20年間にわたって大きな進化のなかった検索エンジンに代わり、インターネット上の情報を使って「最速で正確な回答を得ることができる」新たなユーザー体験を実現すると強調した。

Perplexity 共同創業者兼CEOのアラビンド・スリニバス氏

Perplexityの情報検索は「新しいアプローチ」、学びを深めることも

 Perplexityは、自然な言葉づかい(自然言語)で質問すれば、インターネット上の情報に基づいた回答が文章として得られる、生成AIを活用したAI検索エンジンサービスだ。無料版と有料版があり、PCブラウザやモバイルアプリから利用できる。

 現在、世界で人気が高まっており、月間の検索クエリ数は2.3億件に達する。また、Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏やNVIDIAなどからの投資も受け、累計の調達額は257億円に及ぶという。

Perplexityを使った質問と回答の例。自動的に表示される関連質問をたどることで、学びをより深めることもできる

 スリニバス氏は、従来型のWeb検索エンジンと“アンサーエンジン”のPerplexityは「根本的にアプローチが違う」と語る。

 ユーザーの質問に対して、従来の検索エンジンは回答が書かれたWebページのリンク一覧を示すだけだった。一方でPerplexityは、質問に対して複数のWebページから情報を集約し、構造化されたわかりやすい文章に整理したうえで回答する。そのため、ユーザーの情報検索作業が大幅に効率化される。スリニバス氏はその違いを「従来の検索エンジンを自動車とするならば、Perplexityは新幹線くらい速い」と表現する。

 「われわれ人間にとって最も貴重な資源は『時間』だ。たとえばNVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏は“Perplexityのファンでありユーザー”だと自称しているが、彼のような億万長者であっても1日は24時間しかない。問いに対する答えが早く見つかれば、そのぶんほかのことに時間を多く割き、より有意義な1日を過ごせる。それだけでなく、皆さんがもっと学び、さらに問いかけをする環境を提供することで、より好奇心を持って人生を過ごすことができるだろう」(スリニバス氏)

 Perplexityを提供するうえでは、特に「情報の正確さ」と「ユーザー体験」を重視しているという。情報の正確さについては、回答の中で必ず情報ソースを明示することで内容を検証可能にしているほか、参考にする情報源を精査する技術も持つという。また、リアルタイムのWeb検索を組み合わせているため、最新ニュースなどの情報も使って回答できる。

Perplexityの特徴として「情報の正確さ」と「ユーザー体験」の重視を挙げた

 基本的な機能は無料版でも使えるが、有料版のPerplexity Proでは、利用目的に合わせて「GPT-4o」や「Claude 3」といった複数の大規模言語モデル(LLM)を選択できるほか、アップロードしたファイル(PDFや画像など)に基づく質問(ファイル数無制限)、画像生成、音声による質問と回答、API経由でのアクセスといった機能も使えるようになる。

有料版「Perplexity Pro」の特徴

 日常生活からビジネスまで、あらゆる場面で活用できることも特徴に挙げた。スリニバス氏は、Perplexityにはすでに多様なビジネスユースケースが存在すると述べた。今年4月には、Perplexity Proのデータセキュリティやデータガバナンス、プライバシー要件などを強化したエンタープライズ版「Perplexity Enterprise Pro」をリリースし、たとえばZoom、Snowflake、Databricks、HP、Stripeなど、現在すでに1000社ほどで利用されているという。

“Convenience Store=コンビニ”“Super Market=スーパー”など、日本では身近に浸透したものが省略されて呼ばれることにちなみ、「皆さんには、すべての情報と知識の未来として“Perplexity=パープレ”を覚えてほしい」と語った

「AI革命」を幅広いユーザーに体感してもらいたい

 冒頭で触れたとおり、ソフトバンクではソフトバンク/ワイモバイル/LINEMOユーザーを対象に、Perplexity Proの1年間無料トライアルサービスを提供する。ソフトバンクの寺尾氏は、このキャンペーンを通じて日本の幅広いユーザーにPerplexityを使ってもらい、AIのもたらすメリット、ベネフィットを体感してもらいたいと語った。

ソフトバンクでは「情報革命で人々を幸せにする」という社是を掲げ、インターネット革命(Yahoo! JAPAN)、ブロードバンド革命(Yahoo! BB)、モバイルインターネット革命(iPhoneの販売)をリードしてきた。今回のPerplexityとの戦略提携を通じて「AI革命」もリードしていきたいと述べる

 なお、ソフトバンクからの法人向け販売などについては「まだ検討中」の段階だと述べた。ただし、スリニバス氏が紹介したとおり海外ではビジネスユースケースも広まっていることから「われわれにとっても(法人向けビジネスは)メリットがあることだと思う」とコメントし、Perplexityと連携しながら進めていく方針を示した。

 またソフトバンクでは今月、子会社のSB Intuitionsが、日本語能力の高い独自のLLMを構築したことを発表しているが、このLLMをPerplexityに組み込むことについては「まだこれからの協議にはなるが、活用いただきたいと考えている」(寺尾氏)と述べた。スリニバス氏も、テキストだけでなく音声認識の側面からも、日本語に特化したLLMを組み込むことには前向きな姿勢を示した。

 そのほか寺尾氏は、今回の発表はユーザー向けの無料トライアルキャンペーンのみだが、今後はソフトバンクのさまざまなサービスにPerplexityの技術を取り込んでいくことも考えていると述べた。

ゲストのヒコロヒーさん、カズレーザーさんは、Perplexityでお互いについての情報を検索。AIと会話するように直感的に使え、楽しいと評価した

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