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REGZAの2024年フラッグシップ機、有機ELの「X9900N」とMini LEDバックライト液晶の「Z970N」

2024年06月20日 11時00分更新

文● ASCII

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AIを活用したシーン認識

 自社開発の新世代レグザエンジンが持つ「AIシーン高画質PRO」は、AI技術を用いてコンテンツのジャンルだけでなくシーンを認識し、それに最適化した高画質化処理を加える技術。CESに合わせて発表された通り、夜景や花火の先鋭感、リング競技の立体感などに違いが出る。

REGZA X9900NとZ970N

AIシーン高画質PRO

 例えば、夜景では“色のついた”部分の輝き(写真では観覧車など)に注目。一方で暗部は引き締め、白のピークは輝度を増すことで、映像を先鋭化する処理を加える。現実世界は鮮やかなのでそれを表現したいという意図だそうだ。また、花火のシーンでは夜景とは異なり煙が舞う。この煙はノイズになるので処理に配慮が必要だ。処理を加えると、色が鮮やかになり、黒が引き締まる。コントラスト処理を向上させて、先鋭感や透明感を増す処理が加えられている。最後にリング競技のシーンでは、光のダイナミックレンジが上がる。会場では選手にまぶしいぐらいのスポットライトが当たっている。肉眼で見るとクリアだが、これをカメラで撮ると、人が白く浮いてしまうことがある。背景も空気がかすんだような表現になる。しかし、処理をオンにすると、選手の立体感や背景のくすみが減少して臨場感やリアリティーが増す。二次元的な画に奥行きや立体感が出てくる。このようにシーンをAIで認識することで、的確な映像信号処理が可能となるわけだ。

 さらに、新モデルでは有機ELを含め、パネル駆動にもメスを入れているという。有機ELテレビでポイントになるのは、暗部階調の表現。黒が引き締まると言われる有機ELだが、暗部の情報が再現しにくいと批判される場合もある。X9900Nでは暗部高階調技術として、ディザリングアルゴリズムを改良している。ディザリングというのは、画像の信号に特定のパターンを重ねることで疑似的に階調表現を高める技術だ。つぶれがちな暗部のグラデーションが滑らかになる。また、白く輝く被写体は白ピーク伸長によって輝きを向上させ、鮮やかな色で輝いている部分は色ピーク伸長によって色鮮やかな再現にする。その前提となるのが、しっかりとした映像解析。映像のどの部分のピークを上げていいかの判断をする。

 一方、Mini LEDバックライトでは、LEDコントローラーのハード自体を改良している。映像のコントラストを高めるために用いる“バックライトのエリア制御”で、PWMによってバックライトの明滅を制御するだけでなく、電流制御も入れている。PWMはバックライトの点灯時間を制御することで明るさを調節するもので、点灯時間が長ければ(ずっとつけていれば)明るく、短ければ(点滅で間引けば)暗くなる。従来はこの制御のみだったが、新モデルでは黒を締めたいエリアでは、流す電流そのものを絞る制御も入れているという。PWMだけを使った制御でピーク輝度を伸ばそうとすると、暗部の輝度も全体的に上がってしまう(輝度を上げるためには明るくする頻度を増やす必要があるためどうしても限界が出る)。黒浮きを防ぐため、全体の制御のバランスを取ると、明部を落とさざるを得ないという側面があったという。

REGZA X9900NとZ970N

背景にバンディングが発生している映像

REGZA X9900NとZ970N

滑らかなグラデーションにできる

REGZA X9900NとZ970N

顔認識することで人物であることが認識されている

REGZA X9900NとZ970N

被写体と背景を区別することで人は繊細に、背景は滑らかになる処理を加える

 また、グラデーションの階調が不足することによって生じるバンディングは、強い圧縮処理を加えるネット動画で発生しやすいが、レグザは「ネット動画高画質」として、その影響を軽減する「ネット動画バンディングスムーザーPRO」を搭載している。さらにフラッグシップ機ならではのバンディング処理として、より高い効果を得られるようにしている。背景は滑らかにしても、その前に立っている人の精細感はむしろ高く表現できるという。その理由は映像の顔認識、被写体認識が高度にできるため。人の顔に加えて、被写体全体を明確に発見したうえで、バンディングを滑らかにする処理を加える。Z870Mではここまでの処理は加えていないという。

REGZA X9900NとZ970N

意図的に色かぶりをさせた人物の映像、黄色味が強い

REGZA X9900NとZ970N

自然で健康的な人肌の再現ができている

 このほかにも豊富な高画質化技術を搭載。クラウド上の番組データベースと照合し、エンジニアの人力で番組ごとの画質調整をする、「クラウドAI高画質テクノロジー」もレグザならではの取り組みだ。美肌高画質を実現する「ナチュラルフェイストーンPRO」も進化し、カラーシフトした人肌を自然で美しい色合いに再現。展示会場では、敢えてカラーシフトした映像をスタジオで収録し、黄色みが出ていた人の顔の色が、健康的で自然な色に変わるデモも示された。

 音質面では、X9900Mが「重低音立体音響システム XIS」として総合180W(10ch/5デバイス)、18個のスピーカー、Z970Mが「重低音立体音響システム ZIS」として総合122W、11個のスピーカーを制御してDolby Atmosの5.1.2ch再生を実現。本体の設定でトップ・サイドスピーカーのオン/オフを切り替えられるが、オンにするとその効果の高さが分かる。加えて、「レグザイマーシブサウンド360 PRO」や「オーディオキャリブレーション PRO」などの補正技術を利用して、周波数特性に加えて到達時間もスピーカーごとに調整し、臨場感あふれる再生が可能となっている。

REGZA X9900NとZ970N

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