非常の備えは常時にあり
内蔵バッテリーが寿命となれば、電動ポンプもゴミ箱行きです。最近の自転車の電装品は、そんな後先考えないエコでも何でもないものばかりで困ったものですが、そもそもが非常用。常用しないのが当たり前。それが長持ちさせる秘訣です。はい、失礼しました。
そこで私は2点、新たに買い物をしました。
ひとつはポンプヘッドの「airbone ZT-A15」。自動車の米式バルブと、自転車の仏式バルブを切り替えられる仕様で、着脱操作はシンプルかつ確実。バルブを差し込み、バルブヘッド外周のスリーブをクルクル回して固定。そしてスリーブを引き上げるとスパッと外れます。
差し込むとバルブのネジ山に合わせた爪が出てくる仕組みで、プロ用エアゲージのゲージボタルでおなじみ旭産業のソケットチャックと似たような仕組みですな。
これをマキタ純正のポンプヘッドと差し替えました。おかげで仏式バルブアダプターは不要となり、自動車のポンプとしても今まで通り使える。Amazonで2370円。革新とコスパの台湾製。ありがとう。
ふたつ目の買い物は伝統的フロアポンプ「SILCA」のガスケット。私はSILCAのポンプに、スピルバーグのE.T.でお馴染みクワハラバイクワークスのヒラメヘッドという、超ド定番の組み合わせで四半世紀ほど前から使っていました。
このガスケットはハンドルを押し下げる方向には気密性を保ち、持ち上げる方向には解放弁として働くという、優れたアイデアを単純な形にまとめたもの。このガスケットが天然のレザーで、放っておくと硬化してしまうんですな。電動化の煽りでしばらく使っていなかったため、押し込んでもスカッと抜けて空振り。それで交換です。今はSILCAの本社もアメリカに移ったようですが、いまだイタリア時代の補修部品を切らしていないのが偉い。型番は「SILCA 731 LEATHER WASHER 28」で、Amazonで1714円。安い。
もちろん交換したら元通りの性能に。ワンタッチで着脱できる仏式最強のヒラメも無問題。「SILCAとヒラメは一生物」という人の噂は今のところ間違っておりません。これでなんらかの災害で長期間の停電に陥っても自転車を走らせることはできる。伝統のイタリア製と信頼の日本製。ありがとう。
このスーパーエコなポンプを日々のちょい足しに、タイヤ交換やMTBにはマキタを使うことにして、携帯用電動ポンプはバッグに忍ばせてゆく所存です。それではまた。
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