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ハイパースケーラーと連携してメインフレーム・クラウドのマイグレーションも

「Kyndryl Bridge」で日本のITモダナイゼーションを推進 ― キンドリルが事業戦略説明

2024年06月14日 09時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 キンドリルジャパンは、2024年6月12日、2025年度の事業戦略に関する記者説明会を開催した。

 2025年度に同社が注力するのが、AIや自動化によりIT運用を最適化する「Kyndryl Bridge」を中核としたITモダナイゼーションだ。

 2024年4月1日付けで代表取締役社長に就任したジョナサン・イングラム氏は、Kyndryl Bridgeについて、「実用的なインサイトの提供や品質の高いサービスの維持、インシデントに対する予測を提供する。また、“自動化の出発点”にもなり、コンプライアンスの遵守や手作業の軽減に寄与する」と説明した。

キンドリルジャパン 代表取締役社長 ジョナサン・イングラム氏

2025年度の3つの重点項目:ITモダナイゼーションの鍵は、xOps系サービスを統合した「Kyndryl Bridge」

 イングラム氏は、2024年度を「加速と達成の年」と振り返る。グローバルでの売上高は約161億ドルを計上し、その中で日本の売上高は約23億ドル。キンドリルにとって世界で2番目の市場となった。

 キンドリルジャパンは、更なる成長を遂げるための2025年度の3つの重点項目として、「ITモダナイゼーション」「インドの人材を活用したマネージドサービス」「社会成長の生命線を掲げる企業としての社会貢献」を挙げている。

2025年度の3つの重点項目

 「ITモダナイゼーション」の中核となるのが、「Kyndryl Bridge」だ。2024年3月末時点でグローバルのユーザー数は1200社にまで拡大。インシデント回避や定期メンテナンスの削減によって、年間約20億ドル相当の生産性向上効果をユーザー企業にもたらしているという。同サービスで「キンドリルのミッションクリティカルなITサービスにおける地位が確立された」とイングラム氏は強調する。

 国内ユーザーとしては三菱自動車工業が、Kyndryl Bridgeでアーキテクチャーや運用モデル、オペレーションを変革。オペレーター工数を月次で447時間削減し、2022年10月に3200件あったインシデントが、2024年3月には1100件に減るという成果が得られている。

 Kyndryl Bridgeは、AIを活用した“オブザーバビリティ”と“自動化”で、IT運用を最適化するところからサービスを始めた。運用に関わるデータを集約して、データレイクに貯め、AIによるインサイトを提供。さらに、キンドリルが保有する運用の知見実装されており、障害からの効率的な復旧を自動化で支援する。

 現在では、このコアとなる可観測性と自動化に、アプリケーション開発における「DevOps」から、複数クラウドの一元管理とIaC実装を推進する「CloudOps」、コスト最適化である「FinOps」、電力を可視化する「SustainabilityOps」、コンプライアンスやセキュリティを可視化する「CompSecOps」まで、対象領域を広げてきた。これらの“xOps”系のサービスは、単一のダッシュボード上で一元管理できる。

Kyndryl Bridgeの概要

 Kyndryl Bridgeのもうひとつのポイントは、マーケットプレイスの機能も備えていることだ。キンドリルが持つ各サービスの見積や注文、契約などを行なえる、“セールスのインターフェイス”としての役割も担う。マーケットプレイスは、xOps系サービスを一元化するダッシュボードを提供するKyndryl Bridgeのポータルと直接つながっている。

Kyndryl Bridgeのポータル

メインフレーム・クラウドのモダナイゼーションもハイパースケーラーと推進

 メインフレームのモダナイゼーションも推進していく。AWSとの協業によって、COBOLをJavaに変換するツールである「Blu Age」を活用。リファクタリングでの脱メインフレームを促していく。実際にキンドリルジャパンは、Blu Ageの資格保有者数が、日本で最多だという。

 クラウドマイグレーションにおいても、国内外でハイパースケーラーと協業を進め、体制を整えていく。現在、AWS環境の設計・構築・運用を包括的に支援する新ソリューションを準備中であり、企業のビジネスアジリティの加速やセキュリティ統制の構築を支援していくという。

 新サービスの特徴は3つある。ひとつは、PCI DSSやGDPR、HIPAAといった規制に対応した、セキュリティ統制がなされたクラウド環境を整備すること。2つ目は、事前定義済みパイプラインを含むCI/CD環境を構築して、アプリケーション開発を支援すること。3つ目は、事前定義済みのテンプレートを用いて、設計を含めたシステムの標準化を促進することだ。

 AWS環境内のDevOpsポータルからキンドリルが開発したテンプレートを選択することで、インフラ環境の自動構築ができる。CI/CDパイプラインを含むアプリケーション開発環境を設計することなく構築でき、本番ワークロードとしてのアプリケーション稼働環境も、規制に準拠した形で構築される。これらの環境の運用監視についても、Kyndryl Bridgeを用いたマネージドサービスをオプションで用意する。

AWS環境の設計、構築、運用を包括的に支援する新サービス

サービス概要

ライセンス変更に直面しているVMwareユーザーへの支援は?

 

 残る重点項目のうち「インドの人材を活用したマネージドサービス」は、日本の労働人口の減少を視野に入れた施策となる。インドのグルグラムに構えるデリバリー拠点を拡張して、マネージドサービスの一部を段階的に移行していく。「労働力不足の対策のひとつは、業務をスキルのある国へ移すこと。インドはITプロフェッショナルの宝庫」とイングラム氏。

 重点項目の3つ目は、「社会成長の生命線を掲げる企業としての社会貢献」となり、キンドリル財団での社会支援と社内外でのID&E(インクルージョン、ダイバーシティー&エクイティー)を推進していく。

 同社は、非営利団体であるキンドリル財団を運営しており、日本では現在、セキュリティ・IT人材の育成に注力するNPO団体を助成している。また、これまで同様にID&Eを推進し、従業員がパフォーマンスを最大限に発揮できる環境構築に注力していく。「キンドリルは形のある製品を持たないため、人が価値を持つ企業。従業員のひとりひとりを尊重し、ウェルビーイングを重要視している」とイングラム氏は強調した。

 質疑応答では、ブロードコムの買収に伴うライセンス変更に直面している“VMwareユーザー”に対する機会を、どう捉えているかという質問も挙がった。

 キンドリルジャパンの執行役員 クラウド事業本部長である橋本寛人氏は、「VMwareとは、アライアンスパートナーを継続しているが、実際に色々な相談をいただいている。移行先の選択肢を共に考えるアドバイザリーサービスから、新しい環境への移行、その後の運用までのエンドツーエンドな支援を提供するのが我々のスタンス」と説明した。

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