エリアLOVEWalker総合研究所リポートXトレンド解析 Vol.16

コレクターやマニアも急増中! 注目の「ダム」TOP50を発表!!

文●渡久地香緒里(エリアLOVEWalker総合研究所)

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 X(旧Twitter)トレンド解析システムによる解析リポートを公表していく、エリアLOVEWalker総合研究所リポート。第16弾のテーマは「ダム」。今回は2023年1月1日から2023年12月31日の1年間において、X上で言及された日本国内のダム名ベスト50を発表する。

順位 スポット名(都道府県名) 話題流通量
投稿数/
アカウント数
男性:
女性比
ポジ:
ネガ比
主な共起語
(その共起語がXでの投稿全体に占める比率)
1 黒部ダム
(富山県)
29,914
69%
31%
27.1%
5.8%
観光(17%)、富山県(13%)、立山黒部アルペンルート(8%)、ダムカレー(8%)
2 八ッ場ダム
(群馬県)
8,835
78%
22%
21.9%
6.8%
川原湯温泉(13%)、コロナ禍(10% )、首都圏外郭放水路(6%)、大雨(6%)、春日部市(6%)
3 池原ダム
(奈良県)
7,188
63%
37%
4.3%
83.8%
バス釣り(2%)、 奈良県(2%)、動画(2%)、下北山村(2%)、社長(1%)
4 小河内ダム
(東京都)
5,837
85%
15%
20.5%
5.1%
シン・仮面ライダー(47%)、仮面ライダー(34%)、庵野秀明(26%)、iPhone(22%)、 アクション(19%)
5 石木ダム
(長崎県)
5,833
85%
15%
16.6%
15.7%
長崎県(35%)、佐世保市(10%)、行政(8%)、坂本龍一(8%)、パタゴニア(4%)
6 大山ダム
(大分県)
5,753
52%
48%
6.1%
0.7%
進撃の巨人(83%)、アルミン・アルレルト(71%)、トークショー(68%)、 梶裕貴(67%)、諫山先生(65%)
7 有間ダム
(埼玉県)
5,427
90%
10%
27.6%
6.5%
飯能市(15%)、バイク(15%)、ポイ捨て(12%)、不法投棄(11% )、ツーリング(11%)
8 宮ヶ瀬ダム
(神奈川県)
5,240
76%
24%
29.4%
4%
観光(23%)、公園(8%)、神奈川県(7%)、バイク(6%)、オギノパン(4%)
9 早明浦ダム
(高知県)
3,515
81%
19%
25%
5.8%
高知(23%)、緊急放流(17%)、無料(10%)、ファイナル(10%)、四国(10%)
10 田代ダム
(静岡県)
3,256
95%
5%
4.9%
3.3%
JR東海(72%)、川勝知事(48%)、静岡県(46%)、痛烈批判(33%)、SBSテレビ(23%)

「ダム」言及数ランキング、TOP10の表。右端の「共起語」とは、調査対象キーワード(今回は「ダム名」)と一緒につぶやかれていたキーワードのことで、どんな話題が投稿されていたのか判断することができる。ポジ/ネガ判定は、Xトレンド解析システムで独自に投稿の感情分析を行った結果だ。

 近年、注目を集めている「ダム」。壮大なたたずまい、多岐にわたる建築様式や用途の多彩さが多くの愛好家の心をくすぐるほか、ダム湖で楽しむアクティビティや「ダムカード」、「ダムカレー」など観光客が楽しむための工夫も注目を集めている。今回は日本全国のダムを対象にX上での言及数をランキング化した。

 都道府県別で最もランクインが多かったのは兵庫県と群馬県の4件、次いで静岡県と埼玉県、岐阜県、京都府の3件となっている。また、地方別では11件ランクインした関東地方と関西地方が最多。次いで東海地方の10件が続く結果となっている。

X上で言及された日本のダムTOP5を分析

 では、Xでの投稿数でTOP5に入ったダムランキングをみてみよう。Xはリアルタイムで投稿がポストされていくので、話題となったイベントやコンテンツによってバズを起こすことが、ランキングに大きく影響する。

 1位を獲得したのは富山県に位置する「黒部ダム」。黒部の雄大な大自然の中に造られ、高さ186mと日本一を誇る巨大ダムとして抜群の知名度を誇る。言及数は2万9,914件と2位以下に大差をつけて1位に輝いた。

 中でも注目を集めているのは、6月26日〜10月15日の夏季に行われる迫力抜群の観光放水。また、4~6月に見ることができる雪の大谷が見どころの立山黒部アルペンルートの中間地点としても広く知られている。

 そのほか、『ホワイトアウト』など多くの映画・ドラマなどにもロケ地として登場し、注目されている。 

6~10月限定で行われる、黒部ダムの観光放水。黒部峡谷の景観維持を目的に行われており、運がよければ虹を見ることができる。(写真:Qurren CC BY-SA 3.0

 

多くの観光客でにぎわう、立山黒部アルペンルート「雪の大谷」。(写真:タチヤマカムイ CC BY-SA 4.0) 

 2位は群馬県の「八ッ場ダム」で、投稿数は8,835件。

 ダムにほど近い川原湯温泉にある旅館主による「八ッ場ダムの湖畔にある割には全然知られてないし、何なら沈んで無くなったと思われてるし…」というポストが拡散された。

 なお、川湯原温泉は元々の温泉街があった場所は八ッ場ダム建設時に水底に沈んでおり、現在の川湯原温泉は旧温泉街より南側に移転して新設されたもの。

 また、八ッ場ダムは水害から東京および利根川流域を守ること等を目的として作られており、首都圏を豪雨や台風が襲った際、特に2019年の豪雨時に首都圏外郭放水路と八ッ場ダムが利根川水系や荒川水系の河川決壊を防ぐ役割を果たしたと評価する声が多数投稿されている。

八ッ場ダム。多目的ダムとして建設され、洪水調節や水道及び工業用水の補給のほか、水力発電の機能も併せ持つ(写真:Qurren CC BY-SA 4.0

 3位は奈良県の「池原ダム」。投稿数は7,188件。

 害獣除けに設置されたオブジェ「モンスターウルフ」が怖すぎると話題。警告音を発する様子を記録した動画が8000RP以上のバズを起こしてランクインを果たした。

 また、ダムによって形成される人造湖、池原貯水池(池原湖)は近畿地方最大の人造湖であり、バス釣りの名所としても広く知られている。そのため、多くの愛好家がX上で釣果を投稿している。

アーチダムとしては国内最大の総貯水容量と湛水面積を誇る池原ダム。(写真:Qurren CC BY-SA 3.0) 

 4位は東京都の「小河内ダム」で、投稿数は5,837件。このダムは『仮面ライダー』をはじめとする多くの特撮作品のロケ地として使用されている。算出期間中には映画『シン・仮面ライダー 』のロケ地として使用したことを同作の監督、庵野秀明氏がX上に投稿して注目を集めた。

小河内ダムの外観。(写真:在原ヶ谷戸 CC BY-SA 3.0) 

 5位は長崎県に建設予定の「石木ダム」で、投稿数は5,833件。

 このダムは2026年完成予定で、洪水の調整と水道水の確保を目的として建造される。

 なお、建設計画が立案されたのは50年以上前だが、 「水道水の確保」と 「洪水の防止」が客観的根拠に乏しい、建設費が莫大である、生態系の破壊につながるなどの理由から現在に至るまで住民による反対運動が起こっており、アウトドア用品メーカー「パタゴニア」が反対運動の支援をしたことも大きな注目が集まっている。

石木ダムの完成予想図(長崎県公式ホームページより) 

気になるX全量データが選んだダムTOP50

 ダム湖ではブラックバスやヘラブナなどを放流していることが多く、9位「早明浦ダム」18位「高山ダム」など多くのスポットが「釣り」とともにポストされている。また、ダム周辺には桜などの植樹がされており、12位「草木ダム」や13位「佐久間ダム」など、花見の名所として広く知られている場所も多い。そのほか、25位「浦山ダム」や31位「下久保ダム」は「仮面ライダー」シリーズをはじめとする特撮作品のロケ地としても知られている。

順位 スポット名(都道府県名) 投稿数 アカウント数
11 徳山ダム
(岐阜県)
2,797
12 草木ダム
(群馬県)
2,312
13 佐久間ダム
(千葉県)
1,910
14 滝沢ダム
(埼玉県)
1,779
15 矢木沢ダム
(群馬県)
1,555
16 丸山ダム
(岐阜県)
1,548
17 三春ダム
(福島県)
1,504
18 高山ダム
(京都府)
1,492
19 一庫ダム
(兵庫県)
1,456
20 長島ダム
(静岡県)
1,396
21 天ヶ瀬ダム
(京都府)
1,351
22 呑吐ダム
(兵庫県)
1,342
23 矢作ダム
(愛知県)
1,330
24 日吉ダム
(京都府)
1,267
25 浦山ダム
(埼玉県)
1,222
26 豊平峡ダム
(北海道)
1,121
27 青野ダム
(兵庫県)
1,116
28 鳴子ダム
(宮城県)
1,102
29 奥只見ダム
(新潟県)
1,075
30 川治ダム
(栃木県)
1,047
31 下久保ダム
(群馬県)
1,038
32 四十四田ダム
(岩手県)
1,036
33 白川ダム
(山形県)
953
34 七色ダム
(三重県)
896
35 滝畑ダム
(大阪府)
887
36 生野ダム
(兵庫県)
873
37 下原ダム
(岐阜県)
862
38 瀬戸石ダム
(熊本県)
851
39 設楽ダム
(愛知県)
848
40 嘉瀬川ダム
(佐賀県)
821
41 川辺川ダム
(熊本県)
810
42 胆沢ダム
(岩手県)
767
43 津軽ダム
(青森県)
747
44 温井ダム
(広島県)
747
45 摺上川ダム
(福島県)
743
46 小渋ダム
(長野県)
740
47 井川ダム
(静岡県)
732
48 安威川ダム
(大阪府)
703
49 室生ダム
(奈良県)
688
50 金山ダム
(北海道)
680
 

 角川アスキー総合研究所は2015年に、東京大学生産技術研究所喜連川・豊田研究室と、アジア圏で唯一ツイートデータの全量を取り扱うことができるNTTデータ、そしてTwitter Japanと共同で「Twitterトレンド解析システム」を開発した。それ以来、当社が持つエンターテインメント用語辞書(200万語以上)に収録されたワードをもとに、日本国内でのエンターテインメント分野に関するツイートを対象にした解析を行っている。

 解析内容としてはツイート内でのワード出現傾向の分析に加えて、ツイートテキストを対象にした投稿者の推定属性情報(NTTデータ提供)や、各種統計データなどを組み合わせた分析などを行っており、報道機関や、企業・自治体等に幅広く活用されている。なお、「X(旧Twitter)トレンド解析システム」によるXのリアルタイムな集計結果は、「ついラン」(https://tsuiran.jp/)でも見ることができる。

データ詳細
今回の集計の詳細は以下のとおり。
集計期間:2023年1月1日~2023年12月31日
解析対象:日本国内のダム名を含むX(旧Twitter)上の投稿
抽出件数:126,942件(上位50位までの総ポスト数)
*上記集計期間中、「Xトレンド解析システム」にて取得した投稿数56億3,949万1,429件の中から、上記調査対象ワードを含む投稿12万6,942件を抽出し、言及数順にて50位までのランキングを作成した。