AIミュージシャンが楽曲制作を支援する「Session Players」
最初に「Session Players」を紹介します。iPadのためのLogic Proにはさまざまな楽器の音源やビートパターンが収録されています。iPadとLogic Proの組み合わせは、デジタルワークステーションでありながら同時に、デジタル楽器としてもクリエイターを支援するほかに類をみないツールです。ディスプレイのマルチタッチ操作にも対応しているので、例えばiPadの画面にソフトウェアキーボードを表示して左右の手でピアノを弾くこともできます。
Session Playersは、Logic Proの「Drummer」というAIでビートを生成するバーチャルプレーヤー機能の発展型です。新たにキーボードとベースのバーチャルプレーヤーが追加されました。SessionPlayerでバックトラックを固めてからメロディを作曲したり、あらかじめ録音したボーカルトラックに、Session Playersを使ってバックバンドを肉付けしながら編曲を仕上げるといった使い方ができます。
Keyboard PlayerとBass Playerは、一流の音楽プレーヤーがLogic Proの開発のために提供した演奏を元に、トレーニングを重ねてつくられた独自の機械学習アルゴリズムを搭載しています。ユーザーは音色や演奏パターンを選び、それぞれにメインパネルのオプションから演奏の「複雑さ」や「強さ」などもカスタマイズして、思い通りの演奏にアレンジを重ねていくことができます。
筆者はデジタル音楽制作に関しては詳しくありませんが、Logic Proによって自動生成されるKeyboard PlayerとBass Playerの演奏がとても自然で「AIくささ」がないと感じます。オプションから「ヒューマナイズ」の数値を変更すると、演奏のテンポに抑揚の強弱を付けたりしながら、さらに「人間らしさ」を加えることができます。
筆者がLogic Pro 2のSession Playersで演奏した楽曲。AIっぽくない自然なキーボード、ベース、ドラムスの音源に注目しながら参考にしてください
Session Playersにドラムス、キーボード、ベースが揃ったことで、ロック、ポップスにジャズをはじめ、多くのジャンルの音楽制作はiPadとLogic Proがあればバンド演奏の土台がつくれそうです。iPad Proにはスタジオ品質のマイクも内蔵されているので、ボーカルやギターの生演奏を録音、追加して、本格的なデモ音源の作成にも使えます。Session Playersで作成したバックトラックを、iPad Proのスピーカーでループ再生すれば楽器の練習にも最適でした。