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マイクロソフト、AzureでAMDのAIチップを提供へ Hugging Faceがさっそく採用

2024年05月23日 13時00分更新

文● 田口和裕

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 マイクロソフトは5月21日(現地時間)、開発者向けイベント「Microsoft Build 2024」の基調講演で、AMD社製のAI特化チップ「AMD Instinct MI300X(以下MI300X)」を搭載した新しい仮想マシン(VM)シリーズ「ND MI300X V5」を、同社のクラウドコンピューティングサービス「Microsoft Azure」で正式に提供開始すると発表した。

NVIDIAの牙城を崩せるか

 MI300Xは、現在業界標準となっているNVIDIAの「A100」と比較し、1.6倍から3.2倍となる128GBのHBM(ハイバンド幅メモリー)、1.6倍から2倍となる3.2TB/sのメモリー帯域幅、1.3倍となる400TFLOPSの理論演算性能をもったAI特化チップ。

 ソフトウェア面でも、AMDのオープンソースソフトウェアプラットフォーム「ROCm」を採用。「TensorFlow」や「PyTorch」といった一般的なフレームワークに加え、マイクロソフト独自のAIアクセラレーションライブラリもサポートしており「OpenAIやオープンソースのモデルに対し、最高のコストパフォーマンスを提供する」と強調している。

 すでにパートナー企業であるAIプラットフォーム「Hugging Face」と協力し、同社のオープンソースLLMをND MI300X V5に移植。コード変更なしで、旧世代比2~3倍の性能向上を達成したという。

 ND MI300X V5は、5月21日よりカナダ中部とスウェーデン中部の2つのリージョンで提供が開始されるが、他のリージョンにも順次展開されていくものと予想されている。

 これまでNVIDIAの「H100」が圧倒的なシェアを誇っていたAIチップ市場だが、今回AMDがマイクロソフトと手を組み、Azure上で強力なAIインフラを提供開始したことは大きな意味を持つだろう。

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