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SaaS・デバイス管理を手がける2社が情シスの現状を本音トーク

情シスが向き合うSaaSとデバイス管理の課題 ジョーシスとマネーフォワードiが語り合った

2024年05月22日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

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御用聞きに甘んじる情シス クリエイティブな情シスとは?

大谷:情シスの人たちって自らの業務をどう捉えているんですかね。

高山:大企業だとITやりたい人が情シスにいるわけではない。数百人規模の情シスのメンバーに聞いたら、ITやりたい人は1桁だったという話もあります。本当はマーケティングやりたかったとか、DXやるにしろ、「ノーミスでつつがなくやりたい」という人が多かったわけです。

一方、中小企業の情シスはITをやりたくて入る人が多い気がします。今井さんのお話ししているような御用聞きは現場に喜ばれるし、得意なので手放さない。とはいえ、経営者の意向は違っていたりします。ノンコア業務なので、本当はもっと攻めのIT、今で言うDXを担当してほしい、でも一人しかいないからなかなか外せないと思ったりします。

大谷:なるほど。守りの業務にモチベーションを感じる方も多いわけですね。

高山:現場のリクエストに応える御用聞きは楽な仕事という見方もあります。でも、私はこの対談を通じて訴えたいのは、この人手不足の中、ノンコア業務に注力していていいのか、という疑問です。

大谷:クラウドにしろ、AIにしろ、面倒な作業はシステムに任せ、人間は本来やるべきクリエイティブな業務に専念できるというのが、一般的なベンダーのメッセージです。その点、情シスにおけるクリエイティブな業務ってなんなんでしょうか?

高山:昔の情シスって、サーバーの搬入・ラッキングとか、物理的な作業が多かったんです。でも、クラウドの時代になって、こうした物理的な作業は減ってはいます。無線LAN APの設置や入退社にひも付く設定みたいな作業がメインじゃないでしょうか。

だから、空いている時間をサポートに当てるみたいな情シスが多いんですが、こうした御用聞き的な仕事はどんどんなくなっていくと思います。じゃあ、今までの情シスにDX的な攻めの業務ができるかというと、リスクも多いし、事業部ほどの業務の解像度を持っていません。こうしたジレンマにさいなまれているのが現状だと思います。

大谷:同じITと言っても、リスキリングみたいなことが必要というわけですね。

今井:クリエイティブな業務になるかはわからないのですが、「従業員によい環境を提供したい」と考えている情シスの方は多いなと思います。ITはもちろん、オフィス含めて、生産性を上げる環境を構築したいという声ですね。

あと、最近はAIの活用ですね。AIを業務にうまく活用したいんだけど、なかなか難しいというのはどの会社も似通っています。AIに関しては従業員の関心も高いし、たぶんですが、経営者のお財布もゆるい(笑)。こういう課題は、もっと情シスがリードしてもよいのでは?と思っています。

利用状況が見えないのは部門間の情報の分断

大谷:ジョーシスさんって、大企業(エンタープライズ)と中小企業を明確に分けていると思うのですが、両者のITの違いはなんだと思いますか?

高山:中小企業は明確に「効率化」がキーワードだと思います。リソースが少ないので、あれもこれもやっていられない。少ない人数で効率的に管理するのが目的です。

一方で、リソースがある大企業は、ITガバナンスを高めるのが目的。私たちは「唯一の真実はなんですか?」というフレーズでアピールしていますが、必要なシステムやサービスはすでに整っているけど、「システムはどうなっていますか?」への答えがみんな違う。ITが持っている台帳と現場のリスト、どちらを信頼したらいいのか?という話になるので、会社の規模が大きくなればなるほど、正確な数字を把握することにこだわる気がします。

今井:私もこの役職となって、「いまどれくらいSaaS使ってますか?」という質問を数限りなくお客さまにしていましたが、正確な数字をあてた会社はありませんでした。当社も、最初はSaaSの利用個数が過小評価されていて、「100だと思ったら、がんばって調べたら300だった」という経緯です。

大谷:なぜ利用数は把握できないんでしょうか? 私のイメージだと、有償版のSaaSだったら、なんらかのお金のやりとりは発生しているはずで、会社から見えないSaaSって使うのは難しいと思うのですが。

今井:部門間での情報の分断みたいな話だと思います。情シスの管理しているSaaSはもちろん把握しているのですが、それ以外のSaaSは、部門ごとの契約なので、よくわかりませんという話です。昔と異なり、今は営業部なり、マーケティング部なり、現場部門でバンバンSaaSを入れちゃいます。

大谷さんのおっしゃる「お金の流れ見たら、わかるでしょ」も確かにその通りなんですが、情シスと経理って普段から連携しているわけではないので、ここも情報が分断しています。

高山:うちのお客さまだと、全社員が使うようなGoogle、Microsoft 365、Zoom、Slackみたいなサービスは、当然情シスからも見えています。でも、たとえばChatGPTであるとか、DeepLみたいなサービスなどは各部門で個別に契約していたりします。

契約アカウントが多いわけでもなく、特にブロックもしていないので、どんどん増えてしまう。でも、把握していないと、重要な情報漏えいにつながります。把握しないと、手も打てないので、なにをどれくらい使っているのかをまず把握することがとても重要です。

情シスの悩みは季節変動がある

大谷:ユーザーって、どういう課題からそれぞれのプロダクトに行き着くんですか?

今井:「SaaS増え過ぎちゃったんです」も、「コスト下げたいです」もありますね。ただ、コスト下げたいですは、情シス以外の経営企画が多いですね。情シスの方が転職して、またAdminaを入れてくれるというパターンもあります。

サービス立ち上げたときは「SaaS管理ってなんぞや」みたいな話からスタートしていましたが、この半年でだいぶ認知度が違った気がします。課題も明確になっており、いきなりSaaSの利用診断からスタートするみたいなことも増えました。

高山:情シスの悩みは季節変動があると思っていて、最近は入退社というキーワードも増えています。期末にごっそり人が辞めてしまったので、デバイスのアカウントやデータ削除を済ませないとならないけど、4月に20人くらい入ってくるので、セットアップも済ませておかなければならない。こういう課題感で、たぶん「SaaS 管理」や「デバイス 管理」を検索した結果、ジョーシスなり、Adminaさんにたどり着くんだと思います。

大谷:確かに情シスの仕事って、そういう季節性は大きいですね。

高山:しかも入社はある程度読めるんですが、退社は読めないんですよ。だから、大量の人が辞めると、少ない人数で大量のデバイスのキッティングをやらなければならないんです。

ただ、面白いのは、ジョーシスなり、Adminaさんなり、いずれかを検討される方は、自分のキャパシティに限界を感じているので、真剣に検討して結局どちらかを導入してもらえるんです。どちらかしか検討していない方、一見の方は、「これなら自分で作業できるな」と思ってしまうらしく、導入しない。これがデータで出ています。

今井:それは面白いですねえ。

高山:同じようなトピックで増えているのは、建設会社の事例で、建築現場のプレハブにあるデバイスをコスト含めて管理したいというニーズですかね。こうした現場って、人事部のデータベースに載ってこない非正規雇用やアルバイトの方が働いているので、誰がデバイスを使っているのか把握できません。

大谷:なるほど。本社から遠い現場の状況は管理できないんですね。

高山:われわれからすると、デバイスというとPCやスマホなんですけど、ユーザー企業にとってはアルコールチェックのデバイスも含めて全部なんです。PCだったら、スプレッドシートでなんとか管理できているけど、その他のデバイスとなるともうお手上げというパターンですかね。

大谷:なるほど。AdminaはSaaS管理、ジョーシスはデバイス管理というイメージがあるのかもしれません。

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