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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第340回

対米関係悪化後も米国のトップ大学や研究機関に支援を続けるファーウェイの巧みな戦略

2024年05月11日 10時30分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

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極秘だったファーウェイによる出資

 報道では、ファーウェイとの契約、その内容などは極秘情報になっており、Bloombergが問い合わせたChallengeコンペ関係者や選考委員はファーウェイが出資していることを知らなかったという。

 もっとも完全に隠されていたわけでもない。Challengeの選考委員会10人の中には、ファーウェイのXiang Liu氏の名前がある。ファーウェイのウェブサイトを見ると、Liu氏はファーウェイで最高光学標準エキスパートを務めるほか、IEEEフェローでもあるようだ。

 しかし、賞金のスポンサーは明記されていない。同団体はほかにもコンペがあるが、そこにはスポンサーが明記されている。スポンサーの明記がないのはChallengeのみ。しかも最も授与金が高いものだ。

 なお、Foundationのサイトには「Annual Donner」として、「10万ドル以上」の枠にファーウェイの名前がある。ほかにも、グーグル、インテル、Meta Platformなどの社名や個人名での寄贈者もいる。

 企業が研究に出資することはよくあることだ。だがファーウェイの名前が伏せられていたこと、受賞者の中にはファーウェイとの共同研究を禁じられている米国などの大学の研究者がいることなどにショックが走ったようだ。

 財団に年10万ドル以上を寄付する寄付者でもあり、OpticaのCEOを務めるElizabeth Rogan氏は、この一件は、「Optica Foundationだけでなく、コミュニティー全体に重要な課題を提起している」と語っている。

 ファーウェイはBloombergに対し、「社名を表に出すと宣伝と受け取られるから」などと話している。だが、Bloombergは米国の大学がファーウェイとの共同研究を停止しており、最先端の研究に入れなくなったことから、コンペの形で加わることを選んだと分析している。

 なお、ファーウェイは2023年、米国の特許付与数は2290件、ランキングでは10位だ。これは2022年の7位から下がった格好となる。


筆者紹介──末岡洋子

HarmonyOS 4

フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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