クラシック音楽の祭典『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024』を最大限に楽しむ方法

丸の内LOVE Walker総編集長・玉置泰紀の丸の内MEMO

まだまだ、これからが面白い! 大盛況のうちに幕を閉じた「ラ・フォル・ジュルネ2024」のネクストをディレクターのマルタン氏とKAJIMOTOの梶本社長が熱く語った

文●玉置泰紀(一般社団法人メタ観光推進機構理事)

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 5月3日から5月5日までの3日間、東京国際フォーラム、大手町・丸の内・有楽町、東京駅、京橋、銀座、八重洲、日比谷にて開催された「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024」(LFJ)は、4年ぶりの開催だった昨年を2万人上回る約20万人の入場者を数え、中止を余儀なくされていたコロナ禍の時期を越えて、確実に前に進み始めた。これは、クラシックのみならず、音楽フェスとしても世界最大級の数字だ。これからのLFJについて、会場で、ディレクターのルネ・マルタン氏と主催の音楽事務所KAJIMOTOの梶本眞秀氏に話を聞いた。

ラ・フォル・ジュルネ

左から筆者、LFJのディレクターであるルネ・マルタン氏、主催のKAJIMOTO・梶本眞秀社長

ラ・フォル・ジュルネ

―昨年に続いて開催することが出来たが、今のお気持ちは?

ルネ・マルタン氏「とても嬉しいです。何といってもLFJのスピリッツが感じられます。家族連れや、多くの子供たちがあふれ、東京国際フォーラムも、元に戻ったような活気が感じられます。丸の内地区全体も、LFJによって、活気がもたらされていると思います。今回の「オリジン」というテーマで今まで以上に、強くLFJのコンセプトが打ち出されたと思います。ただ、これが最高潮ということではなく、もっと先には、もっともっと何かがあり、出来ることがあると感じています」

―「オリジン」というテーマで、非常に数多くの作曲家を取り上げているが、その意図は?

ルネ・マルタン氏「このテーマは、音楽史を旅するようなイメージなのです。LFJはフランスのナントでは30年続き、日本でも、ここ丸の内で20年やってきました。常にテーマを探してきたのだけど、今回は日本での20年で取り上げてきた作曲家を全員並べてみようと思いました。そうすると集めることによって、それぞれの音楽のつながりが見えてきて、ルーツをたどるオリジンというテーマが見えてきたのです。つまり、個ではなくシーンなのです。不思議と一堂に会する事が出来るフェスならではの、音楽の多様性が楽しめるのです」

―東京国際フォーラムなどがある丸の内について、どう感じておられますか?

ルネ・マルタン氏「LFJの期間中の日課は散歩です。あちこちのビルなどで開催されているコンサートを見るために、回っているのです。丸の内にはアートと文化がありますが、LFJが、そういった街のスタートを切るエンジンになっていると感じるのがとても嬉しいです」

ラ・フォル・ジュルネ

プログラムによってはマルタン氏はが舞台に上がることも。Photo by Makoto Nakagawa

―今のマルタンさんの話を聞いて、梶本さんはどう感じられましたか?

梶本眞秀氏「僕が強く感じるのは、マルタンさんが、日本人が持っていない切り口を持っていることで、例えば、出演者の人選でも、僕が思いつかないようなアーティストを連れてくるのが嬉しいです。ただ、まだ、彼はやりたいことをすべて実現できてはいないのです。コロナ禍から完全に立ち直ったわけではなく、様々な制限やファイナンシャルの限界もあります」

―LFJの独自性はどこにありますか?

梶本眞秀氏「LFJの様子で楽しいのは、例えば、参加アーティストが会場をうろうろ歩いているところ。アーティストやお客さん、スタッフやスポンサーが、ごちゃごちゃに同じ平面にいることなんです。クラシックのコンサートだと夜7時から9時とか、午後の2時間とかが多いのですが、LFJでは、皆が同じ空間でコミュニケーションが取れます。通常のコンサートでは、サイン会ぐらいしか接する機会がありませんが、LFJなら、皆が同じテーブルで食事をすることもありますし、そこでマルタンさんが聞いたアイデアが翌年に生きたりする。そういう意味では食事スペースなど、まだまだ十分回復していません」

―まだ、戻っていませんか?

梶本眞秀氏「まずは音楽を回復するところから始めましたが、皆がフラットに、コンサート以外の空間でもコミュニケーションがいっぱいあった状態には戻っていません。例えば、国や企業がLFJを通じて、人々にいろいろなものを還元して音楽が大きくなっていき、そうなれば人々も幸せになれる。特に、今のように世界に争いがある中で、こういうものをやっていかなければいけない、と強く思います」

ラ・フォル・ジュルネ

筆者と梶本氏

ルネ・マルタン氏「スポンサーがアーティストと直接会うことも意味がありますし、スポンサーが生のお客さんに会うことも大事です。ここで起きていることを感じることができるのですから。一方通行ではなく出会いの場になることで、よりよくなると思います」

―日本では急速に、インバウンドが回復をしていて、海外から多くの旅行客が来ていますが、LFJに来る人も増えるのではないでしょうか。実際、多くの外国の方を見かけました。

ルネ・マルタン氏「この時期に来日しているインバウンドの旅行客に、LFJに気がついてほしいですね。旅行代理店に、この時期の東京国際フォーラムでLFJが開催されていることに触れてほしいし、ガイドブックでも紹介してほしいと思います」

梶本眞秀氏「自然にそうなっていくと思いますね。インバウンドの旅行客は滞在期間が長いですし、ホテルに案内があれば、足を延ばす人もいるでしょう。また、LFJには中国や台湾などからも視察が訪れています。また、自治体からも、市長さんとかも来ています。LFJを海外や、国内でも別の自治体にもっていくこともできるでしょう。そのためには、この丸の内が大きなショーケースになるでしょう」

■ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024 開催報告

1.来場者総数(延べ人数)約20万人
   東京国際フォーラム 約15万7千人
   周辺エリア 約4万3千人

2.チケット販売数 9万1004枚

3.出演者総数 1737人

4.総公演等回数 242公演(回)

■ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024 公式写真

 子供たちが参加できるコンサートや、楽器を作るところが見られるワークショップ、打楽器など世界中の様々な楽器、ジャズ・ミュージシャンなどを楽しめるプログラムなど、まさに、丸の内の3日間は祝祭空間となった。

ラ・フォル・ジュルネ
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Photo by Shun Itaba

■LFJ公式サイト
https://www.lfj.jp/lfj_2024/

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