内部はエアフローを最適化する仕組み
ハイエンドの大型パーツもサポート
続いて、内部の様子も見ていきたい。ProArt PA602のサイドパネルは、背面のボタンを押すだけで取り外せる。表側は強化ガラス製で、内部のパーツが透けて見えるようになっている。
前述したフロントの200mmファンで取り入れた空気は、天面と背面から排気することになるわけだが、ProArt PA602は天面に420mmのラジエーターを搭載できるスペースを確保しており、リアには140mmのファンも標準搭載する。排気用のファンは豊富に取り付けられるので、やはりエアフローは良好といえるだろう。
ちなみに、内部にある独特な形状のプレートは“風向板”らしく、エアフローがケーブルなどで阻害されないように整えてくれる役割があるらしい。ビデオカードとCPUクーラーの吸気口に冷たい外気を集中させることで、冷却効果を高められるとのことだ。ビデオカードなどと干渉する場合も簡単に取り外せるので問題はない。
また、内部には標準でビデオカードステーが搭載されている。折り畳みが可能なので使わない場合でも邪魔になりにくいというのが利点だ。
E-ATX対応だけあり内部のスペースは広く取られているので、ビデオカードも長さ450mmまで、垂直設置で高さ125mmまでサポートしている。プロレベルのクリエイティブ作業となると、ビデオカードも大型のものが必要になるので、しっかりそれを見越した設計になっているのがわかる。
裏側は、クリエイター向けモデルらしく豊富なストレージ用スペースを備えているのが印象的だ。3.5インチ/2.5インチ両対応のスロットを3基搭載しており、さらに3.5インチなら1基、2.5インチなら5基、追加で固定できる。
つまり、3.5インチHDDで最大4基、2.5インチSSDなら最大8基も搭載できるというわけだ。画像や動画データによるストレージ容量の圧迫に悩まされがちなクリエイターも、これなら安心だろう。
また、細かい部分ではあるが、フロントパネルのコネクターが細かく分かれていないので、ちまちまと1ピンずつ挿す手間が省けるのは嬉しい。
ProArtのパーツを組み込んでみる
では、このケースで実際に組んでみたらどうなのか。他の「ProArt」シリーズパーツなども使い、実際に自作してみた。
マザーボードには、「ProArt Z790-CREATOR WIFI」を使用。最新のインテル Core プロセッサー(第14世代)にも対応するインテル Z790 チップセットを搭載したマザーボードで、クリアカバーやシンプルなデザインが印象的だ。
ビデオカードには、GeForce RTX 4080 SUPERを搭載した「ProArt GeForce RTX 4080 SUPER 16GB GDDR6X OC Edition」を使用する。
また、CPUクーラーにはProArtシリーズの簡易水冷CPUクーラーである「ProArt LC 420」を使用した。このCPUクーラーは、140mmファンを3基取り付けられる420mmラジエーターを採用しており、ラジエーターの厚さも30mmと厚めに作られているため、高い冷却能力を誇っている。
高発熱のCPUでも対応しやすい強力なCPUクーラーだが、簡易水冷CPUクーラーのラジエーターは360mmまでのものが多く、そのためかPCケースでも420mmラジエーターに対応できるモデルは少なくなる。
その点、ProArt PA602は天面に420mmのラジエーターを問題なく搭載できる。十分なスペースがあるので、簡易水冷だけでなく本格水冷環境を組むという選択肢もアリだ。