大阪大学と英インペリアルカレッジロンドンの国際共同研究チームは、電解液のピーエイチ(pH)が、水の電気分解による「グリーン水素」製造の効率の低下要因となる、酸素発生反応速度に与える影響とそのメカニズムを解明した。
大阪大学と英インペリアルカレッジロンドンの国際共同研究チームは、電解液のピーエイチ(pH)が、水の電気分解による「グリーン水素」製造の効率の低下要因となる、酸素発生反応速度に与える影響とそのメカニズムを解明した。 水から水素を製造するグリーン水素製造の実現には、酸素発生反応の性能の低さが障壁となっている。これまで主に電極材料に着目した研究開発が進められ、ニッケル鉄合金や酸化イリジウムなど、多くの高活性材料が開発されてきたが、効率向上は頭打ちになりつつある。 研究チームは今回、反応中間体と電極表面から極めて近い位置に存在する電解液(水分子)との相互作用、さらには電解液により媒介された反応中間体同士に働く長距離相互作用に着目。各種オペランド解析により、電解液のpHの違いによってこれらの相互作用が変化し、電極表面上の反応中間体の安定性に影響を及ぼすことを明らかにした。 これまでほとんど考慮されてこなかった「電解液」を設計因子とすることで、酸素発生反応速度のさらなる加速が可能となり、水の電気分解によるグリーン水素製造の高効率化が期待される。研究論文は、米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society:JACS)に3月25日付けで公開された。(中條)