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可視-近赤外光領域における高量子収率の光触媒=東工大など

2024年03月15日 15時43分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京工業大学、台湾国立陽明交通大学工学院などの国際共同研究チームは、励起波長2200ナノメートル(nm、1nmは10のマイナス9乗メートル)で世界最高の量子収率を持つ「Au@Cu7S4」新型光触媒を開発し、可視光および近赤外線照射下で顕著な水素生産を達成した。量子収率は、光エネルギーをどれだけ効率よく化学的なエネルギーに変換するかを表す指標であり、太陽エネルギーの効率的利用を可能にする技術として、脱炭素社会の実現に貢献することが期待される。

東京工業大学、台湾国立陽明交通大学工学院などの国際共同研究チームは、励起波長2200ナノメートル(nm、1nmは10のマイナス9乗メートル)で世界最高の量子収率を持つ「Au@Cu7S4」新型光触媒を開発し、可視光および近赤外線照射下で顕著な水素生産を達成した。量子収率は、光エネルギーをどれだけ効率よく化学的なエネルギーに変換するかを表す指標であり、太陽エネルギーの効率的利用を可能にする技術として、脱炭素社会の実現に貢献することが期待される。 研究が開発したAu@Cu7S4は、可視光および近赤外線励起下で長寿命の電荷分離状態を維持。さらにヨーク-シェルナノ構造(ナノサイズの核と殻からなる構造体で、核と殻の間に空隙があることが特徴)の利点を生かし、励起波長500nmで9.4%、2200nmで7.3%と、共触媒を必要としない水素生産において記録的な量子収率を達成したという。 半導体光触媒を用いたソーラー水素生産は持続可能なエネルギー開発の中核的コンセプトとして注目されている。なかでも太陽光のエネルギー分布の50%超を占める近赤外線は未利用のエネルギー源として重要であり、近赤外光照射に反応できる光触媒の開発が求められてきた。 研究論文は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に2024年1月9日付けで掲載された

(中條)

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