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名大などが中年太りの仕組みを解明、「MC4R」の減少が原因

2024年03月14日 18時04分更新

文● MIT Technology Review Japan

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名古屋大学、大阪大学、東京大学の共同研究チームは、加齢性肥満(中年太り)の原因となる脳の仕組みをラットで発見。抗肥満機能を持つ「メラノコルチン4型受容体(MC4R)」が脳の視床下部の神経細胞の一次繊毛に局在し、加齢に伴ってその一次繊毛が退縮することが加齢性肥満の原因であることを突き止めた

名古屋大学、大阪大学、東京大学の共同研究チームは、加齢性肥満(中年太り)の原因となる脳の仕組みをラットで発見。抗肥満機能を持つ「メラノコルチン4型受容体(MC4R)」が脳の視床下部の神経細胞の一次繊毛に局在し、加齢に伴ってその一次繊毛が退縮することが加齢性肥満の原因であることを突き止めた 研究チームは今回、代謝や摂食を調節する脳の視床下部のニューロン(神経細胞)に着目。抗肥満機能を持つメラノコルチン4型受容体(MC4R)の細胞内局在が、ラットの加齢に伴ってどのように変わるかを、MC4Rを可視化できる抗体を作製して調べた。その結果、MC4Rが視床下部ニューロンの「一次繊毛」というアンテナ構造に局在し、その一次繊毛が加齢に伴い退縮することを発見した。 さらに、MC4R局在一次繊毛の退縮は過栄養状態で促進され、摂餌量を制限すると抑制されることもわかった。遺伝子技術を使って、若いラットのMC4R局在一次繊毛を強制的に退縮させると、摂餌量が増えるとともに代謝量が低下して肥満になり、同時に、肥満患者で起こるレプチン抵抗性を示した。逆に、加齢に伴うMC4R局在一次繊毛の退縮を人為的に抑制すると体重増加が抑制された。 MC4R局在一次繊毛の長さが「痩せやすさ」を決定しており、加齢や過栄養(飽食)によって短くなることが加齢性肥満の原因になることを解明した今回の成果は、生活習慣病の未病段階での予防法や治療法の開発につながることが期待される。研究論文は、米国科学誌セル・メタボリズム(Cell Metabolism)に2024年3月6日付けで掲載された

(中條)

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