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AIとデータで生産性の高いオフィスを実現できるのか? 

AIでオフィスデザインを自動化 イトーキとスタートアップの燈が共同開発

2024年03月13日 15時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 オフィス家具メーカーのイトーキは、AIスタートアップである燈(あかり)と生成AIの共同開発契約を締結した。建設業界のDXでさまざまな実績を持つ燈のAI技術とイトーキのオフィスデータを活用し、オフィスデザインを高速シミュレーションできるアプリケーションを実現する。

データドリブンなオフィスを提案するイトーキと、建設業界のDXを支える燈

 創業から130年以上の歴史を持つイトーキ。長らくオフィス家具の製造・販売を手がけてきたが、昨今はオフィスの課題を解決するソリューション事業にフィールドを拡大している。また、テレワークの隆盛やオフィスの再定義をもたらしたコロナ禍以降は、オフィスデータを活用したオフィスDXを手がけるための「ITOKI OFFICE A/BI SERVICE」のビジネスを展開。2月には第一弾となるコンサルティングサービス「Data Trekking」を発表している。

 発表会に登壇したイトーキ 代表取締役社長の湊 宏司氏は、「人件費を上げるより、オフィスのようなファシリティに投資し、社員のやる気を促した方が効率がよい」とコメントし、業績、生産性、採用、離職率などさまざまな指標の向上に寄与するオフィス投資の重要性をアピールした。また、同社が「Office 3.0」と謳うデータサービスITOKI OFFICE A/BI SERVICEについても説明。オフィス家具のIoT化や空間センシングによって、データドリブンな働き方やオフィス空間の提供が可能になるとした。

イトーキ 代表取締役社長の湊 宏司氏

 今回の提携では、工場や倉庫、ビルなどで培ってきた空間認識やシミュレーションの技術を持つ燈と、年間1万件あまりのオフィスレイアウト、家具、オフィス設備、働く人のデータを蓄積するイトーキがタッグを組み、オフィスの生産性向上に挑戦するもの。まずはAIとデータを活用したオフィスデザインの自動化を推進し、アジャイルなオフィス構築を可能にしていく。

 「日本を照らす燈となる」を掲げる燈は、東京大学・松尾研究所の野呂侑希氏が2021年に創業したAIスタートアップで、「Akari Module」と呼ばれる50以上の独自AIを用いて、おもに建設業界でのDX課題の解決に寄与してきた。

 燈の野呂侑希CEOは、「データを持っているのに、まったく科学的でないオフィス移転を二度もしてしまった」という過去の経験を披露。今までの建設業界の事例ではあまりフォーカスされなかった生産性とオフィスデータの関係を解き明かし、生産性の向上に寄与していきたいと抱負を語った。

燈の野呂侑希CEO

アジャイルなオフィス構築を実現するためのAIとデータ活用を模索

 今回の提携では、生成AIによって、さまざまなパターンのオフィスを自動でデザインできるオフィスデザイン自動生成AIを開発する。今まで膨大な時間を費やしていたオフィスの寸法測定などを、燈の空間スキャン技術で効率化し、高速にデジタルツインを構築。家具の種類と内装のテイストを瞬時にシミュレーションできるアプリを開発する。まずは空間スキャンとデジタルツイン構築からスタートし、その後シミュレーション、オフィスデザインの自動生成へと開発ステップを進めていく。

空間スキャン技術で3Dモデルや現場図面の生成を効率化

BIMを用いた学習データで家具の位置や型番を推定

 これによりイトーキは市場や働き方の変化に対応するアジャイルなオフィス構築を実現。ユーザー企業はショートスパンで、機動的なオフィスリニューアルが可能になる。現状調査や要件の整理、デザイン作成、関係者との合意形成で最短でも1ヶ月かかっていたオフィスデザインを将来的には1時間・1回の打ち合わせで完了させるという。

オフィスデザインも1時間・1回の打ち合わせで実現

 建設業界で実績を持つテクノロジーとリアルオフィスのデータを掛け合わせた今回の共同開発は、データドリブンなオフィスが生産性に寄与できるのかを検証する絶好の場となる。湊社長は、「まさにそこを解き明かしたい。営業成績やエンゲージメントなど生産性の定義は企業によってさまざまだが、それらとデータとの相関関係を見つけたい」と意気込む。また、燈の野呂CEOは「リアルタイムなデータを定常的にとれるというのが今回とても重要。アジャイルなオフィスを作るというビジネスとも相性がいい」と協業の意義を語った。

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