2024年はインボイス制度導入後初の確定申告書の提出となります。令和5年(2023年)分の所得税の確定申告書の受付は3月15日(金)までですが、インボイス制度を機に新たに課税事業者になった個人事業主は、所得税の確定申告に加えて消費税の確定申告が必要。令和5年(2023年)分の消費税及び地方消費税の申告は、2024年4月1日(月)までです。
消費税の申告では、税負担と事務的な負担を軽減するために、簡単に納税額を計算できる負担軽減措置が用意されています。制度の概要と計算方式の違いについて、税理士の宮原 裕一先生に解説してもらいました。
負担軽減措置を使えば、
超面倒な仕入税額控除の計算を回避できる!
消費税の納税額は「売上で受け取った消費税額」から「仕入や経費で支払った消費税額(仕入税額控除)」を引いて計算します。消費税額は、標準税率(10%)と軽減税率(8%)の違いがあり、それぞれ国に納める消費税と地方消費税を分けて計算するため、非常に複雑です。加えて、インボイス制度が導入されたことで、仕入先や経費を支払った相手が適格請求書発行事業者かどうかを確認する手間もかかります。そこで、消費税申告の事務負担を軽減するために、救済措置が設けられています。ひとつは、仕入額や経費に関わらず売上税額の2割を納付する「2割特例」、もうひとつは、事業の種類ごとに一定の割合の税額を納付する「簡易課税制度」です。
それぞれ基準となる課税売上高や届け出などの要件と計算方法に違いがあるので、どの制度が利用できるか確認しましょう。
2割特例とは?
2割特例は、インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった人を対象にした制度です。そのため、もともと課税事業者だった方、つまり2年前の課税売上額が1000万円を超えている方は対象にはなりません。
2割特例では、売上にかかる消費税額の2割を納税します。仕入や経費にかかる消費税の計算の手間がかからず、納める税金も少ないのがメリットです。事前の届け出は不要で、消費税の申告時に2割特例の適用を受ける旨を付記することで適用を受けられます。
納税額=課税売上の消費税額-(課税売上の消費税額×80%)
2割特例はあくまで経過措置なので、適用期間が設けられています。個人事業主の場合、2023年10月1日から2026年9月30日までの日が属する課税期間に適用され、今回の2023年分から2026年分までの最大4回の申告に2割特例が使えます。なお、2割特例が使えるかどうかの判定は毎年必要になりますので、売上が増加しているときは気をつけましょう。
経過措置の期間終了後は、簡易課税か一般課税を選択することになるので、早めに準備を進めておくことも大事です。
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