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ファンデルワールス層状の「準結晶」で超伝導現象を発見=東大

2024年03月06日 07時31分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学と東京理科大学の共同研究チームは、結晶、アモルファスとは異なる第3の固体「準結晶」の構造秩序を持つファンデルワールス層状物質の低温電子物性を調べ、この物質が絶対温度1度(1K)以下の温度域で超伝導性を示すことを発見した。結晶とは本質的に異なる原子配列秩序を持つファンデルワールス層状の準結晶における超伝導の発見は初めてであり、発現機構を解明することで新奇デバイスの開発につながることが期待される。

東京大学と東京理科大学の共同研究チームは、結晶、アモルファスとは異なる第3の固体「準結晶」の構造秩序を持つファンデルワールス層状物質の低温電子物性を調べ、この物質が絶対温度1度(1K)以下の温度域で超伝導性を示すことを発見した。結晶とは本質的に異なる原子配列秩序を持つファンデルワールス層状の準結晶における超伝導の発見は初めてであり、発現機構を解明することで新奇デバイスの開発につながることが期待される。 研究チームは今回、準結晶の秩序を持つ「タンタル-テルル(Ta-Te)」系ファンデルワールス層状物質(ファンデルワールス層状準結晶)を作製。低温域における電気抵抗率、磁化率、比熱の温度依存性を測定した。その結果、電気抵抗率は転移温度Tc(≈1K)より低温側でゼロとなっていることがわかった。 さらに、磁化率には超伝導体のシールディング効果による反磁性、比熱には超伝導相転移に伴う「とび」がみられ、これらの結果から試料全体が超伝導となっていることが判明。超伝導が何らかの不純物相に由来するものではなく、ファンデルワールス層状準結晶自体の現象であることが示された。 ファンデルワールス層状物質は、構造の二次元性を反映した種々の興味深い物性を示し、次世代の電子デバイス・光デバイス開発への期待から近年盛んに研究されているが、結晶が主な研究対象となっている。今回の研究論文はネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)のオンライン版に2024年3月1日付で公開された

(中條)

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