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ゲノムDNAの機能を制御する遺伝子を同定、ゲノム編集を効率化

2024年02月27日 06時51分更新

文● MIT Technology Review Japan

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金沢大学の研究チームは、DNAの機能制御に関与する遺伝子として「TFDP1」を同定。さらに、TFDP1の機能を阻害することで、ゲノム編集やiPS細胞(多能性幹細胞)のリプログラミングの効率を上げることに成功した。ワクチン開発や再生医療分野など幅広い研究分野に活用されることが期待される。

金沢大学の研究チームは、DNAの機能制御に関与する遺伝子として「TFDP1」を同定。さらに、TFDP1の機能を阻害することで、ゲノム編集やiPS細胞(多能性幹細胞)のリプログラミングの効率を上げることに成功した。ワクチン開発や再生医療分野など幅広い研究分野に活用されることが期待される。 研究チームは今回、「クリスパー(CRISPR)スクリーニング」と呼ばれる手法を用いて、ヒトの全ての遺伝子を一個ずつ破壊していった。その結果、転写因子であるTFDP1を破壊すると、ゲノム全体のアクセシビリティが顕著に上昇することを発見。TFDP1によるアクセシビリティ制御の分子メカニズムを分析する過程で、TFDP1がヌクレオソームの構成因子であるヒストンタンパク質群の転写調節に深く関与していることを見出した。 同チームはさらに、TFDP1阻害によるゲノムDNAへのアクセシビリティ上昇というユニークな現象を技術展開することを検討。「Cas9」や「Oct4」などのタンパク質が効率よくゲノムDNAにアクセスできることを利用し、ゲノム編集およびiPS細胞の作成効率を上げることに成功した。 今回の研究成果は、ゲノムDNAのアクセシビリティが細胞内でどのように制御されているのかという謎の一端を明らかにするものであり、今後、アクセシビリティの異常によって起こる様々な疾患の原因究明につながる可能性がある。研究成果は、ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)のオンライン版に2024年2月15日付けで掲載された

(中條)

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