クリエイティブ系処理だとよりRX 7800 XTに近くなる
ゲーム検証の次はクリエイティブ系アプリでの検証だ。まず「Blender Benchmark」を使用する。バージョンは“4.0.0”を指定した。
今回用意したGPUの中ではRTX 40シリーズが安定して強く、RX 7900 XTであってもRTX 4070 SUPERに遠く及ばない。だが問題はそこではなく、RX 7000シリーズにおけるRX 7900 GREの立ち位置だ。ゲームにおいてはRX 7900 XTとRX 7800 XTの中間あたりに着地することが多かったが、BlenderではRX 7800 XT寄りの位置に着地している。メモリーバス幅を含めた足回りの低コスト化や消費電力の抑制がパフォーマンスに強い影響を与えていることがうかがえる。
動画エンコードテストその1は「Premiere Pro」でのエンコード速度を見る「UL Procyon」の“Video Editing Benchmark”だ。約1ヵ月前、RTX 4080 SUPERのレビューを実施した時はCPUでエンコードするテストが4本中2本存在したが、今回は4本すべてがGPU側でエンコードでされている。そのため1ヵ月前のデータとは完全に別モノになっている点に注意していただきたい。
最も高評価(処理時間短)なのがRTX 4080で、2番手と3番手がRX 7900 XTとRTX 4070 SUPER。肝心のRX 7900 GREはトップ3からやや離れ、RX 7800 XTと僅差の戦いを展開している。この点はBlender BenchmarkやHELLDIVERS 2の検証結果に近い。
もう一つの動画エンコード系は「DaVinci Resolve Studio」を利用する。再生時間約2分の8K動画のタイムライン(ProRes 422HQ)を用意し、それを1本の8K AV1動画(CBR、80Mbps、High Quality)にエンコードする時間を計測した。エンコードに使用するパラメーターのうち、Presetに関してはVery SlowからVery Fastまで7段階あるうちの“Medium”および“Faster”(真ん中と速い方から2番目)の設定を選んだ。
Radeon勢のプリセットは段階が4つしかなかったため“Prefer Speed”“Prefer Quality”としている。ここまでプリセットが違うと速度比較もなにもないので、GeForceはあくまで参考値としてご覧いただき、Radeon勢の中でRX 7900 GREはどういう位置にいるのかを見てもらいたい。
RTX 40シリーズのハードウェアエンコードはRTX 4080はデュアルエンコーダー構成なのに対しRTX 4070 SUPERはシングル構成であるため、Fasterプリセットの場合エンコード時間に大きな差が付いている。しかしその一方でRX 7900 XT〜RX 7800 XTはすべてデュアルエンコーダー構成であるため、エンコード時間にまったく違いは出ていない。
DaVinci Resolve Studioが出たところで、AIを利用して動画から被写体を自動的に切り抜くMagic Maskの処理時間を比較しよう。ここでは再生時間約16秒の4K動画に写っている被写体にマスクをかけ、そこから動画の最後まで被写体をトラッキングしつつ連続でマスク処理をする時間を計測した。
この処理ではRX 7900 GREはRX 7900 XTとRX 7800 XTのちょうど中間に着地している。CU数を考えるとRX 7900 GREはRX 7900 XT寄りになりそうだが、動作クロックやメモリー帯域ではRX 7800 XTよりも下になるため、結果として中間に着地したということだろう。

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