このページの本文へ

ガンマ線バーストの発生機構をスパコンで解明=京大など

2024年02月22日 06時42分更新

文● MIT Technology Review Japan

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

京都大学と東邦大学の共同研究チームは、スーパーコンピューターを使用して連星中性子星の合体時のシミュレーションを実行し、宇宙最大規模の爆発現象であるガンマ線バーストがマグネター(強く磁化された超大質量中性子星)に起因するという仮説を検証。その駆動メカニズムを解明した。

京都大学と東邦大学の共同研究チームは、スーパーコンピューターを使用して連星中性子星の合体時のシミュレーションを実行し、宇宙最大規模の爆発現象であるガンマ線バーストがマグネター(強く磁化された超大質量中性子星)に起因するという仮説を検証。その駆動メカニズムを解明した。 研究チームは今回、ガンマ線バーストの発生機構を調べるため、スーパーコンピューター「SAKURA(マックスプランク重力物理学研究所保有)」および「富岳(理化学研究所保有)」上で、独自開発の数値相対論コンピュータープログラムを用いて、世界最高レベルの空間解像度で第一原理シミュレーションを実行。その結果、連星中性子星合体が引き起こすガンマ線バーストが、「ダイナモ機構」と呼ばれるメカニズムによって駆動されることを明らかにした。 同チームによると、連星中性子星合体後に形成されたマグネター内部でダイナモ機構により高度に揃った強磁場が生成され、この磁場がほぼ光速で伝搬するジェットを駆動。さらにこのジェット駆動に伴い、中性子を過剰に含む物質が太陽質量の10パーセント程度放出される。このことは、金やウランといった鉄より重い元素が連星中性子星の合体で合成され、電磁波で非常に明るく光り輝くことを示唆するという。 今回の成果は、発見から50年以上にわたって未解決であったガンマ線バーストの駆動機構の一端を解明するものであり、原子核物理や素粒子物理学にも影響が及ぶことが予想される。研究論文は、ネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)に2024年2月15日付けでオンライン掲載された

(中條)

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ