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高速電波バースト前後にマグネターの双子グリッチ発見=京大など

2024年02月20日 06時51分更新

文● MIT Technology Review Japan

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京都大学、台湾国立彰化師範大学らの共同研究チームは、銀河系内の強磁場の天体(マグネター)をX線で高頻度に観測し、2022年10月14日に発生した高速電波バースト(Fast Radio Burst、FRB)の前後に、星の自転が急速に速くなる「グリッチ」が2回起こっていたことを突き止めた。

京都大学、台湾国立彰化師範大学らの共同研究チームは、銀河系内の強磁場の天体(マグネター)をX線で高頻度に観測し、2022年10月14日に発生した高速電波バースト(Fast Radio Burst、FRB)の前後に、星の自転が急速に速くなる「グリッチ」が2回起こっていたことを突き止めた。 高速電波バーストとは、宇宙の狭い領域で、数ミリ秒ないしそれ以下のごく短時間に強力な電波パルスが観測される現象である。その発生源となる天体や発生機構は現時点では未解明であるが、マグネターは発生源の有力候補の一つとされている。 研究チームは、マグネターとして知られる天体「SGR 1935+2154」が2022年10月10日にX線放射の活動性を増した時期に、国際宇宙ステーションのX線望遠鏡「NICER」とX線天文衛星「NuSTAR」で高頻度な追跡観測を実施。その結果、多数のX線バーストに加えて、10月14日に高速電波バーストが発生したこと、さらに、高速電波バーストが発生した約4時間前と4時間後に、この天体の自転が急激に速くなるグリッチ現象が起こっていたことを発見した。 このようなグリッチは、これまでにもいくつかの中性子星で観測されてきたが、高速電波バーストと付随して観測されたのは今回が初めてであり、短期間にほぼ同じ強度の2度のグリッチを連続して観測できたのも初めてであるという。今回の成果により、高速電波バーストが起こる際に、マグネターの自転が短時間で大きく変化していることが示され、マグネターの活動がどのように高速電波バーストを起こすかの機構の解明に一歩近づいたとしている。 研究論文は、国際学術誌ネイチャー(Nature)に2024年2月14日付けで掲載された

(中條)

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