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がん免疫療法の効果を増幅させる新技術、北大など開発

2024年02月16日 06時01分更新

文● MIT Technology Review Japan

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北海道大学、テキサスA&M大学、ミズーリ大学、東洋大学の研究グループは、がん免疫療法の効果を増幅させる新技術を開発した。

北海道大学、テキサスA&M大学、ミズーリ大学、東洋大学の研究グループは、がん免疫療法の効果を増幅させる新技術を開発した。 開発したのは、NLRC5遺伝子のメチル化を解除し、NLRC5遺伝子を活性化させる新技術「TRED-Iシステム」。がん細胞のNLRC5の発現レベルを特異的に回復し、MHCクラスI分子レベルを上昇させ、細胞障害性T細胞による腫瘍攻撃効果を高めるという。動物モデルで効果を検証した。 免疫系では、がん細胞を見つけ出し、攻撃する細胞傷害性T細胞が大きな役割を担う。細胞傷害性T細胞はがん細胞のMHCクラスIという分子によってがん抗原を認識するが、多くのがん細胞はMHCクラスIの分子量を減らして免疫機構から逃れることが分かっている。MHCクラスIの分子量を増やしてがん治療とするアイデアは以前から存在したが、MHCクラスIを増加させる薬剤は副作用が強く、実際に治療に使うことは困難だった。 研究グループは先行研究でMHCクラスIの分子量低下はNLRC5制御因子の減少が主な原因であることを突き止めており、多くのがん細胞ではNLRC5遺伝子がメチル化し、NLRC5を発現できなくなっていることが分かっていた。 研究成果は2月1日、米国科学アカデミー紀要(The Proceedings of the National Academy of Sciences)にオンライン掲載された。

(笹田)

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