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MRI画像から精神病発症リスクを機械学習で判別=東大など

2024年02月16日 06時09分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学、富山大学、カリファルニア大学サンフランシスコ校、マウントサイナイ医科大学などの研究グループは、機械学習で脳MRI画像データから精神病発症リスクを判別するシステムを開発した。テスト用データセットを対象とした場合で85%、独立した確認データセットを対象とした場合でも70%以上の正答率が得られたという。

東京大学、富山大学、カリファルニア大学サンフランシスコ校、マウントサイナイ医科大学などの研究グループは、機械学習で脳MRI画像データから精神病発症リスクを判別するシステムを開発した。テスト用データセットを対象とした場合で85%、独立した確認データセットを対象とした場合でも70%以上の正答率が得られたという。 従来の機械学習を利用して精神病発症リスクを判別するシステムは、MRI画像を撮影する機種の違いに起因する画像の差と、思春期に発生する脳構造の大きな変化により、精度が不十分だった。研究グループが今回利用したのは、国際コンソーシアム(Enhancing Neuro Imaging Genetics through Meta-Analysis for Clinical High Risk:ENIGMA CHR)に集積されたMRI画像。内訳は精神病ハイリスク群が1165名分で、健常対照群が1029名。精神病ハイリスク群のうち、MRI撮影後に精神病発症を確認できたのは144名、発症しなかったのは793名、追跡不能だったのは228名となる。 この画像群を対象に、neuroComBat法を利用してMRI装置間の差を補正し、健常対照群のデータのみを対象として一般化加法モデルを適用して、脳構造の年齢と性別による非線形効果、つまり男女別の健常思春期脳発達を解明した。その上で精神病ハイリスク群の画像データに結果を適用し、標準からの逸脱度を抽出。この値を利用して、精神病ハイリスク群のうち、画像撮影後に精神病を発症した群のデータと、健常対照群のデータに、勾配ブースティング回帰木という機械学習の手法を利用してシステムを構築した。 研究成果は2月9日、モレキュラー・サイキアトリー(Molecular Psychiatry)誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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