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温暖化進行で季節ごとの死者数に変化=長崎大・東大ら評価

2024年02月16日 06時11分更新

文● MIT Technology Review Japan

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長崎大学、東京大学、ロンドン大学、イェール大学などの研究グループは、地球温暖化の進行によって、将来の季節ごとの死者数が変化する可能性があることを発見した。現在は、寒冷な季節の方が温暖な季節よりも死者数が多い傾向が強いが、温暖化が進むとこの傾向が変化するとしている。

長崎大学、東京大学、ロンドン大学、イェール大学などの研究グループは、地球温暖化の進行によって、将来の季節ごとの死者数が変化する可能性があることを発見した。現在は、寒冷な季節の方が温暖な季節よりも死者数が多い傾向が強いが、温暖化が進むとこの傾向が変化するとしている。 研究グループはMulti-Country Multi-City Collaborative(MCC)共同研究ネットワークから、平均気温と死亡者数の日別時系列データを収集し、温室効果ガス排出量増加に従った気候変動シナリオに沿って、2000年から2099年までの日別死亡者数を予測した。気候変動シナリオは、共通社会経済経路(Shared Socioeconomic Pathways:SSP)のSSP1-2.6(排出を積極的に削減)、SSP2-4.5(気候変動対処のために穏やかなアプローチを採用)、SSP3-7.0(経済成長を重視)、SSP5-8.5(経済成長を優先)を使用した。 その結果、すべてのシナリオで温帯地域、大陸性気候帯、乾燥気候帯において、2000年代から2090年代にかけて温暖な季節の死亡率は上昇し、寒冷な季節の死亡率が低下すると分かった。この傾向は温暖化対策を重視しないシナリオほど強まる。ただし、寒冷な季節の死亡率が高い水準を維持することは変わらないとしている。 また、経済成長を優先を優先させるSSP5-8.5シナリオでは、死亡率のピークが寒冷な季節から温暖な季節に変わる可能性があり、その傾向は今世紀末に近づくにつれて顕著になり、気候帯によって影響の度合いが変わる可能性があるという。 研究成果は2月7日、ザ・ランセット・プラネタリー・ヘルス(The Lancet Planetary Health)誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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