「VALORANT」部門と「ロケットリーグ」部門の勝者が決定!
大人も胸が熱くなる青春の対決! 「全国高校eスポーツ選手権」2部門の決勝戦をレポート
2024年02月15日 16時00分更新
NASEF JAPANは2月12日に「NASEF JAPAN 全国高校eスポーツ選手権」の「VALORANT」部門と「ロケットリーグ」部門の決勝戦を開催した。この記事では、12日に実施された「VALORANT」部門、「ロケットリーグ」部門の決勝戦の様子をレポートする。
「NASEF JAPAN 全国高校eスポーツ選手権」は、NASEF JAPANが主催する、eスポーツを通じて仲間と共に成長することを目的とした、高校生のためのeスポーツ選手権大会。
全国から多くの高校生チームが参加し、多くの試合を勝ち抜いた、最後の2チームが雌雄を決した。
対照的な強さを持つ2チームがぶつかった「VALORANT」部門決勝戦
「VALORANT」部門では、全国136校、194チームがエントリーし、激戦を繰り広げてきた。その激戦を乗り越えて、決勝の舞台に立ったのが「ルネサンス高等学校横浜キャンパス」の「芳醇きのこの焦がしバター」と、「ルネサンス大阪高等学校梅田eスポーツキャンパス」の「イナザワジャパン」だ。
アナリストのRetloffさんは、この試合のポイントとして、どちらのチームがより戦略を練ってきたかという点はもちろんだが「フィジカル面(撃ち合いの強さ)」に注目したいと話した。
というのも今回の2チームについて、「芳醇きのこの焦がしバター」は「個人個人の判断能力が非常に高く、とくにリーダーの赤マントRadiant選手が操る『ブレードストーム』の精度の高さが脅威になる」と話す。
試合前に、赤マントRadiant選手は、「3年生が2人いるチームなので、彼らに花を持たせて卒業させるために、ここで結果を残したいです」と意気込みを話した。
一方の「イナザワジャパン」についてRetloffさんは、「試合前に入念に戦術を練り、その戦術を試合の中で発揮するチーム」と分析していた。とくに攻撃側の時に相手を揺さぶる能力が秀でており、芳醇きのこの焦がしバターとは対照的なチームと分析していた。
試合前に意気込みを聞かれたリーダーの「キャプテンイナザワ」選手は「別の大会で負けてしまい悔しい思いをしたので、そこから負けないために練習してきました。今日も優勝を狙ってがんばります」と気合十分だった。
「VALORANT」は12ラウンド毎に攻守を交代し、最大で25ラウンド行わわれる。その中で13ラウンドを先取したチームが勝利するというルールだ。前半12ラウンドでアタック側だったのがイナザワジャパンだ。
この試合でとくに記憶に残ったのがイナザワジャパンのチーム全体の連携力と、アグレッシブな姿勢だ。個人レベルの撃ち合いの強さももちろんだが、チーム全体の戦術が長けており、決勝戦の全体をとおして試合のペースを握っていた。
序盤のラウンドでは、芳醇きのこの焦がしバターの「金で愛は買えないが俺を買収できる」選手がトリプルキルを見せるなど、個人レベルの撃ち合いでは両チームともさすがという強さだった。だが、全体の立ち回りで差をつけたのがイナザワジャパンだ。
見所は13ラウンド目で、盤面的に有利だった芳醇きのこの焦がしバターに対し、イナザワジャパンは最後の最後まで諦めることなく、チームの立ち回りと、個々人の撃ち合いのスキルを絡めて勝利をもぎ取った。この試合展開には実況・解説陣も驚きを隠せない様子だ。そうして最終的に1試合目を勝ち抜いたのはイナザワジャパンだった。
続く第2試合でもイナザワジャパンの戦術が刺さった。序盤はラウンドを取ったり取られたりという展開だったが、イナザワジャパンの「cat cute」選手が1人対5人状況からの4人を倒す見事なプレイを魅せ、チーム全体を勢いづける。続く7ラウンドでもキャプテンイナザワ選手が4人抜きを果たし、フィジカル面の強さも見せ、チームの士気を上げていく。
そして、13ラウンドを迎えた攻守交代のタイミングでも、勝利ラウンド数でかなりリードしていたイナザワジャパンはかなり安定しいるように見えた。芳醇きのこの焦がしバターも粘り強さを見せて、イナザワジャパンがマッチポイントの状況から2ラウンドを取り戻したが、勢いに乗るイナザワジャパンを止めることはできなかった。イナザワジャパンが20ラウンド目で勝利を決め13ラウンドを先取、優勝の座を勝ち取ったのはイナザワジャパンだった。
キャプテンイナザワ選手は試合後に「この大会に出てよかったです。この大会のおかげでみんなも成長できたし、自分にとっても大きな一歩だったと思う。これからもっと上まで行くので応援してください」 と話した。
N高等学校の「N小町」が絶好調だったロケットリーグ部門
ロケットリーグ部門の決勝戦は、前日の準決勝でも相手を圧倒する強さを魅せた、N高等学校の「N小町」と、「haru122012_155cm」選手を中心とした士気を上げる声掛けが印象的だった、飛龍高等学校の「HEST:Majide」の試合となった。
アナリストのValtaNさんは、N高等学校の「N小町」の前日のハイライトから「furlashh」選手と「Rarara」選手の連携プレイがディフェンスを崩していったのがポイントだったと振り返る。また「Lunatic」選手がダブルタッチと呼ばれるテクニックで空中からシュートを決めるなど、強い個のスキルを見せられたという。またオフラインの場でパフォーマンスを出せていたこともポイントだと話した。
試合前に、意気込みを聞かれたN小町のリーダー「Rarara」選手は「前回の試合では力を出し切れたので、今日の試合ではそれよりも力強く、カッコイイプレイを魅せていけるように頑張っていきたい」と話した。
続いて、飛龍高等学校の「HEST:Majide」についても前日の試合を振り返り、1ゲーム落としたときに、「『haru122012_155cm』選手がボイスチャットで『いつもどおり攻めていこう』という声がけをし、そこからリズムを取り戻していった」点がポイントだと話す。その結果、第2ゲームもかなり接戦だったが、連携プレイの完成度がさらに上がり勝利に繋がったと分析した。
試合前に意気込みを聞かれたHEST:Majideのリーダーの「itochanTT_175cm」選手は、「昨日以上の声出しと、チームワークで会場を盛り上げていきたいと思います」と話す。
全体の試合展開は「N小町」が圧倒的な力を見せる形になった。第1ゲームでは序盤からスピードの速い展開で、N小町のRarara選手がファーストゴールを取る。そこから流れを作り、2ゴール目、3ゴール目をfurlashh選手が決めていく。
ボイスチャットを聞く限りでは、HEST:Majideもチーム内の空気は悪くはなさそうだったが、実況・解説陣は、先行して3ゴールを奪われているチーム内の焦りを感じ取っていた。
そのまま、N小町の勢いは止まらず、最終的には8ゴールという大量得点を決めた。HEST:Majideもけっして攻められていないわけではないが、N小町のディフェンスが固く、最後までゴールを奪えない形だ。
続く第2ゲームでも、ボイスチャットを聞く限り、HEST:Majideの雰囲気はよく、情報共有もできていた。だがN小町の勢いを止めきれず一方的な展開が続き、N小町が2ゲーム続けてパーフェクトゲームを決めた。
第3ゲームもN小町の勢いが止まらなかった。HEST:Majideもチャンスを掴めそうなシーンもあったが、なかなかN小町の固いディフェンスを抜けられない。粘った末、HEST:MajideのitochanTT_175cm先取がなんとか1ゴールを奪った。
ようやく流れを変えられそうに見えたが、最終的にはN小町の勢いの方が上回った印象。順調にN小町がゴールを重ねていき、最後の最後にLunatic.選手がダメ押しの1ゴールを決め、優勝したのはN高等学校のN小町だ。
Rarara選手は「強いメンバーに囲まれて部活動をやってきて、自分がついていけるかは不安だったのですが、チーム力を発揮して勝てていい経験ができました」と話し、チーム内の結束力について話した。Lunatic.選手は「来年もあるのでがんばっていきたい」と来年への意気込みを語る。そして今年卒業する「furlashh」選手は「この2年間の経験は本当に面白かったです、ありがとうございました」と感謝の気持ちを表していた。
「VALORANT」部門、「ロケットリーグ」部門の両方を見て共通して感じたのが、高校生らしい若々しさを感じた。学校で仲間を見つけ、練習し、腕を磨く。そういった全国の高校生達の積み重ねが、こういった大舞台でぶつかり合う、それは1人の観客としても胸が熱くなる展開だった。
今回レポートした2つの試合は公式チャンネルにアーカイブがあるので、ぜひそちらもチェックしてほしい。