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直接大気回収のCO2を植物工場に供給するシステム=都立大など

2024年02月14日 06時54分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京都立大学、ウシオ電機、大気社は共同で、太陽光などを使って大気中の二酸化炭素(CO2)を高効率・低コストで回収し、適切な濃度の二酸化炭素として植物工場に供給するシステムの開発に着手した。2030年までの事業化を目指す。

東京都立大学、ウシオ電機、大気社は共同で、太陽光などを使って大気中の二酸化炭素(CO2)を高効率・低コストで回収し、適切な濃度の二酸化炭素として植物工場に供給するシステムの開発に着手した。2030年までの事業化を目指す。 東京都立大学は以前に、アミン化合物の一種である「イソホロンジアミン」を用いて大気中の低濃度二酸化炭素を高速で吸収できるDAC(直接大気回収)装置を開発し、60℃程度の温度で吸収した二酸化炭素を最大数%まで濃縮できることを実証した。同装置を、大気社が保有する植物工場に実装し、気候変動対策だけでなく食料対策や豊かな生活を可能にする炭素循環型社会に向けて、研究開発や実証実験を開始する。 具体的には、イソホロンジアミンを固体化した二酸化炭素吸収材をウシオが独自に開発。同社が開発中の円筒型太陽光集熱器を使って加熱し、二酸化炭素を回収する。回収した二酸化炭素を植物工場に供給する際に気体の温度を低下させるのには、植物工場の排水を利用する。 ビニールハウスや植物工場では現在、植物の成長を促進させるためにボイラーや二酸化炭素ボンベなどを用いて高濃度(0.1~0.5%)の二酸化炭素を供給している。今回開発するシステムは大気中の二酸化炭素を10倍程度に濃縮して植物工場に応用するものであり、大気中の二酸化炭素を低コストかつ低エネルギーで回収して供給する国内初の試みだという。

(中條)

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