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名大など、有機EL材料の発光効率を増幅する量子機構を発見

2024年02月08日 06時41分更新

文● MIT Technology Review Japan

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名古屋大学と九州大学などの共同研究チームは、次世代有機EL発光材料の発光効率を増幅する新しい量子機構の理論的発見に成功した。今後の研究により、同手法が明らかにした新原理に基づく高性能な有機EL発光材料の創出が期待される。

名古屋大学と九州大学などの共同研究チームは、次世代有機EL発光材料の発光効率を増幅する新しい量子機構の理論的発見に成功した。今後の研究により、同手法が明らかにした新原理に基づく高性能な有機EL発光材料の創出が期待される。 有機ELにおいて電気的に励起された発光分子は、25%の励起一重項状態と75%の励起三重項状態を形成する。非発光性の励起三重項の蓄積は発光量子効率低下の原因となるため、スピン反転により、これを励起一重項へと変換して発光させる「熱活性化遅延蛍光(TADF)機構」が注目されている。研究チームは今回、TADFの律速過程であるスピン反転を飛躍的に高速化する新しい量子機構を発見。TADF機構におけるスピン反転の効率が低いという課題を克服することに成功した。 同チームが発見した量子機構は、分子の振動が誘発するスピン反転効果と、高次の励起三重項状態を用いるスピン反転効果とが協調し合うことで、スピン反転が飛躍的に高速化するというもの。この機構に基づく新理論を導き出し、従来理論での見積もりと比べて約1000倍以上のスピン反転速度をもたらす加速効果を生み出すことを、シミュレーションで確認した。 研究論文は、サイエンス・アドバンセズ(Science Advances)に2024年1月31日付けでオンライン公開された

(中條)

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