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アップルついに他社ストア容認「EU規制対応」日本への影響は?(西田宗千佳)

2024年01月29日 08時00分更新

文● 西田 宗千佳 編集●飯島恵里子/ASCII

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「クラウドゲーミング」「ミニアプリ」開放も大きな影響あり

 ただ個人的に見るなら、EU圏向けのルール改正と同等以上の影響がありそうな変化が同時に起きたことも見逃せない。

 それは「全世界のApp Storeで、ストリーミング・ゲームやミニアプリ、チャットボットなどの提供を認める」というルール改正だ。

 これまでアップルは、「アプリ内で別のアプリ動作環境が生まれる」ことを良しとしてこなかった。Xbox Cloud GamingやGeForce NOWのようなクラウドゲーミングアプリが認められてこなかったのもそのためだ。

 だが話はそれだけにとどまらない。

 アプリ内で「ミニアプリ」「チャットボット」などを提供する場合、それを発見しやすくし、サブスクリプションなどの提供も可能になる。

 そうすると、「アプリ内にミニゲームのマーケットプレイスを作る」ことや「チャットボットによる複雑な処理系」をウリとしたアプリ・サービスの構築が容易になる。結果として、いわゆる「スーパーアプリ」や「ミニゲームアプリ」などのビジネスを活性化しやすくなる。

 ここに「外部決済可能」という要素が加われば、「App Store経済圏を守りつつ、ビジネスの自由度を上げる」ことが可能になってくる。

 これもまた、外部ストアへ流れる事業者を減らす策の1つだろうし、それがEU規制対応の前に全世界(すなわち日本も含まれる)でオープンになるのは、なかなか象徴的なことだという印象を受けているのだが、どうだろうか。

 

筆者紹介――西田 宗千佳

 1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。取材・解説記事を中心に、主要新聞・ウェブ媒体などに寄稿する他、書籍も多数執筆。テレビ番組の監修なども手がける。主な著書に「メタバース×ビジネス革命 物質と時間から解放された世界での生存戦略」(SBクリエイティブ)、「ネットフリックスの時代」(講談社)、「ソニー復興の劇薬」(KADOKAWA)などがある。

 

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