2026年、三河安城地域に誕生!!「シーホース三河」新アリーナの「つかい方」「過ごし方」をみんなで考えよう 第5回

「アリーナのつかい方を考える」第2回つかい方ワークショップ開催

シーホース三河新アリーナ計画、地元が燃える!異なる視点が生むユニークなアイデアとは?

文●初野 正和

提供: 安城市

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 愛知県安城市で11月4日(土)、「第2回つかい方ワークショップ~アリーナでできることを知ろう!生活のスパイスになるつかい方を想像しよう!~」が開催された。会場はJR東海道本線「安城駅」近くのアンフォーレで、B.LEAGUE所属のプロバスケットボールチーム「シーホース三河」の新しいホームアリーナとなる三河安城交流拠点(以降はアリーナと表記)の誕生に向けた安城市のプロジェクトの一環となる。

 アリーナの第一の目的はバスケットボールの試合だが、試合が行われるのは年に30から40試合ほど。その残りの300日以上をどのように活用していくのか。アリーナの活用方法を企業や自治体が提示するのではなく、安城市民・地域住民に考えてもらい、実際に市民が主体的になってアクションを起こしてもらおうとの思いからスタート。アリーナを「ジブンゴト」として、みんなでまちづくりを行っていくプロジェクトだ。ワークショップは来年2月まで毎月実施し、3月には「つかい方フォーラム」として、みんなでまとめたアリーナのつかい方のアイデアを発表する予定となっている。

 10月14日(土)に開催の「第1回つかい方ワークショップ」は、来年まで一緒となるワークショップ参加者の顔合わせの面も強かったが、続く今回は、いよいよアリーナをどう使いたいかの話し合いに。それも、「日常」と「非日常」の2つの視点からアイデアを出し合うこととなった。

 「日常」では、バスケットボールの試合のようなイベントが実施されていない日に、どこかのタイミング(学校から帰る途中、仕事へ行く前、休憩中にふらりと、移動中にふらりと、子どもをねかしつけてふらりと、家事を終えた後、何かを成し遂げた後ふらりと)で、「アリーナでどんなことが待っていたら(できたら)アリーナに行きたいと思うか」を考える。一方の「非日常」は、「参加者として行きたくなる(施設が企画を実施する)地域のためのイベント・雰囲気はこれだ!」を考えるというもの。

 ワークショップには49名が参加し、「小学生・子育て世代」「高校生+50代以上」など7つのグループに分かれた。今回はなんと当日見学の方もチーム「見学者」として参加し、和気あいあいとワークショップは開始。各グループでは活発に意見が飛び交い、アリーナ誕生の期待感が伝わってきた。

世代を超えた交流!今、安城市が面白い!

当日、飛び入りで参加した方もおり、会議室内は熱気に溢れていた

ケミストリーから生まれたユニークなアイデア

 ワークショップは、各自がアイデアを考え、「日常」は黄色の付箋、「非日常」はブルーの付箋にアイデアを記入する10分間の「個人ワーク」から始まり、グループ内で1人ずつアイデアを発表し意見を出し合って、似た意見を近くにまとめて付箋に貼っていく30分間の「グループワーク」へ移行。5分間の休憩を挟んで、グループ内の主な意見をグループの代表者が発表する「全体グループ発表」が行われた。

 グループには、参加者をサポートするグループコーディネーターも付いていたが、「全体グループ発表」の代表者は参加者から選抜されており、自ら出し合った意見を情熱的に発表。普段は交流することのない世代がグループとなって意見交換することで、まるで化学反応が起きたかのように、多種多様なアイデアが出てきていた。今回のワークショップで、各グループからどのようなアイデアが出たのか。一部抜粋し、グループの代表者へのインタビューと共に紹介しよう。

グループ名:「バスケ部~!」

<代表者のお話とグループ紹介>
 グループ「バスケ部~!」のハルさんとハルトさん。バスケ好きが集まったグループで、シーホース三河に関することはもちろん、空間を最大限に活用したアイデアも多かった。「リラックスできる場所として使いたいという意見が多かったですね。(ワークショップに参加してみて)大人も子どもも混ざったチームだったので、なかなかない体験でよかったです」(ハルト)「みんなで意見を出してまとめました。期待しているのが逃走中のようなイベントです。他のグループでも出ていましたが、そんな楽しいイベントが実現できたらと思っています」(ハル)

 「バスケ部〜!」は子育て世代が集まったグループで、メンバーの半数以上が小中学生。子どもたちも積極的に意見を出していたのが印象的だった。

<アイデア>
日常:『個室スペースの貸し出し』『カラオケ』『バスケット教室を定期的に』『映画を見る』『期間限定ショップ』『特産品の販売』 など
非日常:『婚活イベント』『ハロウィン』『選手との交流会』『ゲーム大会』『壁のぼり大会』『ドッヂボール大会』『アリーナ内で逃走中』『VR体験』 など

発表してくれたハルさん(右)とハルトさん(左)

バスケ好きの親子が中心となったグループ「バスケ部~!」

グループ名:めちゃホース

<代表者のお話とグループ紹介>
 「めちゃホース」を代表して発表してくれたのは、小学3年生のリクト君。「日常についての話題が多かったです。僕は電車が好きなので、アリーナの3階からドクターイエローが見えるスペースがあればいいなと思いました。あと、プールとか大画面のゲームとか実現したらうれしいです。学校も近いですし、友達を呼んで遊びに行くと思います。(ワークショップに参加してみて)知らない人と話せて、コミュニケーションが取れていいなと思いました」

 「めちゃホース」も子育て世代が集まったグループで、親子の視点からアリーナの活用法を考えていた。

日常:『YouTuberの撮影スポット(スタジオ)』『プール』『フリーWi-Fi完備』『トイショップ』『ミニお風呂』『コワーキングスペース』『ふらっと行けるカフェ』 など
非日常:『お祭り』『逃走中イベント』『謎ときイベント』『大道芸イベント』『鉄道イベント』『ポケカの大会』『フリーマーケット』 など

みんなの前で堂々と発表してくれたリクト君(左)

リクト君とパパ。親子で参加

親子での参加が目立ったグループ「めちゃホース」

グループ名:ハイスクール

<代表者のお話とグループ紹介>
 「ハイスクール」は、高校生と大人がミックスしたグループ。世代を超えた交流に思わずほっこり。価値観が異なるもの同士だからこそ、多様なアイデアが出ていたようにも思う。発表してくれたのは、安城市内の高校に通うソウマさんとユウリさん。

「日々の疲れを癒せる仮眠スペースや読書ができるスペースなど、ゆったりできる場所がほしいという声がありました。コスプレができる場所という意見もいいと思いました。(ワークショップに参加してみて)新しい視点を吸収することができてよかったです」(ユウリ)

「若い世代に合わせてくれる大人の方が多くて、うれしかったですね。僕たちの意見に共感してくれて、気軽に発言できる雰囲気のグループでした。カラオケができる空間があると高校生はうれしいと思います。(ワークショップに参加してみて)こういう経験は初めてで最初は緊張していましたが、司会の方を中心に盛り上げてくれましたし、リラックスして楽しむことができました。こうした活動は地域づくりにつながっていくと思うのでいいですね」(ソウマ)

<アイデア>
日常:『大浴場でまったり』『気功教室』『健康維持のための空間』『食堂』『カフェ』『フードコート』『安城の歴史を感じるスペース』『映画館』『仮眠スペース』 など
非日常:『のど自慢大会の会場』『ミュージカル』『ライブ』『コスプレイベント』『イルミネーション』『プロジェクションマッピング』『3×3バスケ』『コミックマーケット』 など

ソウマさん(左)とユウリさん(右)

グループ「ハイスクール」。世代を超えた交流にほっこり

グループ名:今はバスケに興味ない

<代表者のお話とグループ紹介>
 「今はバスケに興味ない」からは、リホさんとミズキさんが発表してくれた。二人とも愛知学院大学の学生で、サポートのためにグループに参加してくれた。 「高校生と大学生と大人によるグループでした。学生が多かったので、スマホの充電スポットとかフォトスポットとか、学生目線のアイデアが多かったと思いました。あと、勉強ができるスペースもできるといいですね」(リホ)

「ファッションについて学んでいる高校が近くにあると聞いたので、頑張った成果を発表できる場所があったらいいなと思いました。文化祭だけでなく地域の方にも見てもらえる場所ですね」(ミズキ)

 このグループで印象的だったのが、日常において「困ったときに使える場所にならないか」という視点のアイデアが多かったこと。ここにアリーナ活用法のヒントが隠されているように感じた。

<アイデア>
日常:『ランチ』『ディナー』『ビアホール』『カフェ』『ファミレス』『シーホース三河のグッズ販売』『フォトスポット』『ドレッサー』『勉強できる場所』 など
非日常:『スポーツクリニック』『運動会など学校の行事』『映画撮影』『ライブ』『フードフェス』『ダンスパーティ』『七夕まつり』『イルミネーション』『ファッションヘアショー』 など

リホさん(左)とミズキさん(右)

おもに3つの異なる世代で構成されたグループ「今はバスケに興味ない」

グループ名:「学生も入った中年グループ」

<代表者のお話とグループ紹介>
 「学生も入った中年グループ」を代表して発表してくれたのはアヤさんとカオリさん。こちらも愛知学院大学に通う大学生。世代が異なるメンバーが集まり、多種多様なアイデアが集まった。「ライブやフェスなどのイベント系やグルメに関するアイデアが多かったです。あと、ストリートピアノとかもいいなと思っています」(カオリ)

「学生と大人では楽しく感じる部分が違うと感じました。それが個人的な発見でしたね。いいなと思ったのは運動会など学校行事での活用です。運動会でアリーナを使ったことがありますし、天候に左右されずイベントができる環境があると助かるだろうなと思いました」(アヤ)

 「学生も入った中年グループ」はグループ内で意見を出し合いながら、終始、盛り上がっていたように見えた。

<アイデア>
日常:『子ども食堂』『フットサル』『ラジオ対応』『ドッグラン』『シェアオフィス』『ゲームセンター』『映画館』『ホテル』『カラオケ』『スーパーマーケット』 など
非日常:『音楽フェス』『ライブ』『運動会』『マッチングイベント』『花火』『合同キャンプ』『BBQ』『試験会場』『インスタ映えスポット』『野菜の直売』 など

アヤさん(左)とカオリさん(右)

グループ「学生も入った中年グループ」。学生と大人、それぞれの視点からアイデアを出していた

グループ名:お酒大好き

<代表者のお話とグループ紹介>
 「お酒大好き」を代表して発表してくれたキョウさん。「小さな子ども連れが多いグループだったので、子どもを預けられるスペースや家族で遊べる環境についてのアイデアが多いように感じました。例えば、子どもを預けて大人は趣味を楽しめるような空間など。家族で安心して過ごせる場所ができるといいですね。(ワークショップに参加してみて)普段は交流のない方々とコミュニケーションを図るのは楽しいですね。自分の考えを伝えることも、みんなの考えを聞くこともできました。こうした交流を通して何かが生まれていくのかなと感じています」

 「お酒大好き」は家族で訪れた場面をイメージしたアイデアが多く、すぐにでも実用できそうなものもあった。

<アイデア>
日常:『コワーキングスペース』『DIYスペース』『ジム』『ウォーキング』『サウナ』『プレイルーム』『ボールなどの無料貸し出し』『子ども食堂』『子ども向け教室』『支援センター』 など
非日常:『ラーメンフェス』『フードマルシェ』『酒フェス』『お祭り』『リアル脱出ゲーム』『ビアガーデン』『屋内で花火大会』『BBQ』『キャンプイベント』 など

代表して発表してくれたキョウさん

グループ「お酒大好き」は家族を中心に考えられたアイデアが多かった

グループ名:忘れがちでゆかいな仲間たち

<代表者のお話とグループ紹介>
 「忘れがちでゆかいな仲間たち」を代表して発表してくれたタニさん。タニさんはIT関係の仕事に就いており、他にも教育関係や介護関係など、このグループは専門的な仕事をしている人たちが多かった。まるで異業種交流会のようで、アイデアの幅広さや独自性という意味では、ここが一番だったかもしれない。

「シーホース三河に関するアイデアが多かったですね。あと、専門職の方が多かったので、介護関係の方からは『この周辺は処方箋の受付ができる場所が少ない』との指摘や、教育関係の方からは『最近は公園の遊具が減っていて困っている』などの声が出て、それを解決するようなアイデアも出ました。個人的に実現できそうに感じたのは、アウェー戦のパブリックビューイングや、シーホース三河の佐古賢一シニアプロデューサーを迎えた解説付きの観戦ですね。(ワークショップに参加してみて)違う業界の方と話すことで、自分には思い付かないようなアイデアをたくさん聞くことができ、個人的に刺激を受けましたね」

<アイデア>
日常:『アリーナでヨガ』『相談Bot』『PCゲームセンター』『医療クリニック』『処方箋受付ができる薬局』『市役所で行う手続きの代行』『ボルダリング』『スポーツ教室』 など
非日常:『映画上映会』『文具博』『ガンプラ展示』『室内アリーナで巨大迷路』『合コン会場』『クリスマスイルミネーション』『ドローンレース』『ビールフェス』『キャンプ』 など

IT関係の仕事に就いているタニさん

専門性の高い仕事に就く大人たちならではのアイデアが寄せられた

アイデアを実現することで「超複合化」になる可能性

 「全体グループ発表」を受けて、内容をとりまとめたのが、ゲストとして招かれた愛知学院大学の内藤正和准教授。「逃走中や花火大会など、多くのユニークな意見が集まりました。『充電がない』『化粧直しがしたい』など、ピンチという視点から見つけたアイデアも素晴らしいと思います。今後に向けたポイントは4点。ひとつが『交流』です。みんなが集まる場所として考えてみること。続いて『空間』としての視点です。『表現』も大切です。今回も何かを発表するという視点から生まれたアイデアがたくさん紹介されました。そして『普段はできないこと』です。家では怒られてしまうこともアリーナなら実現できる可能性があります。とにかく素晴らしいアイデアがたくさん発表され、こうしたことを実現できれば『超複合化』の施設が誕生すると感じています」と講評を述べた。

みんなの意見を踏まえて講評を述べる内藤正和准教授

 今回のワークショップでは、最初にお互いを知るために共通点探しのアイスブレイクや、アリーナプロジェクトを担当する株式会社アイシンの佐藤さんから、アリーナについて情報提供なども行われた。名古屋産業大学の今永典秀さん、Café&delica NEJIの村澤有紀子さん、株式会社夢花の代表を務める都筑拓さんもグループコーディネーターとして参加。アリーナ完成を「ジブンゴト」として捉えている参加者も多く、生き生きと意見を発表する姿が印象的だった。

アリーナの施設概要、つかい方(案)を紹介する株式会社アイシンの佐藤さん

 今回の意見をもとに、次回はアリーナのつかい方の「テーマ」について検討していく。今回はキーワードによるアイデア出しが多かったが、今後はさらに掘り下げて、より具体的に考えていくことになる。アリーナ計画を通して、行政や企業、市民が手を取り合い、さまざまな活動で盛り上がっている安城市。「第3回つかい方ワークショップ」は、12月2日(土)に開催予定で、当日の参加も受け付けている。アリーナに興味を持った安城市に在住、在学、在勤の皆さん、飛び入り参加してみてはいかがだろうか!