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NTT・NIIなど4社、光1波長あたり1.2Tbpsでの336km伝送と1Tbps超のデータ転送に成功

2023年10月31日 16時45分更新

文● ASCII

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(図1)実証実験ネットワークの構成

 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)、日本電信電話(NTT)、東日本電信電話(NTT東日本)と富士通(富士通)は10月30日、光1波長あたり1.2Tbpsでの伝送では世界最長となる伝送環境を構築し、フルスループット(伝送環境で送受信可能な最大データ量)での伝送と、1組の汎用1ソケットサーバーを用いた世界最大速度の1Tbps超データ転送を10月17日に成功したことを発表した。

 本実験は、NTT東日本の敷設済み商用光ファイバー、NTTが開発したデジタル信号処理技術およびデバイス、富士通製の次世代光伝送システム「1FINITY Ultra Optical System」、およびNIIが開発したファイル転送プロトコル「MMCFTP」(Massively Multi-Connection File Transfer Protocol)を用いて実施したもの。各組織は10月に、東京都と神奈川県の間に光1波長あたり1.2Tbpsの伝送が可能な光伝送ネットワーク環境を構築し、2種類の実験を行った。

 本実証では、東京都千代田区を起点として、神奈川県横浜市で光ファイバーを折り返すネットワークを構成し、光1波長あたり1.2Tbpsの伝送が可能であることを確認した(図1)。1.2Tbps信号のフルスループットは、実験用テスターで確認した。光1波長あたり1.2Tbpsの光信号を、敷設済みの商用光ファイバーを用いて336km伝送できたことは、世界初としている。

(図2)世界最先端のデジタル信号処理技術、OTUCn技術、光デバイスの実装イメージ

 本実証において、NTTは、デジタル信号処理技術と最大400GbE(ギガビットイーサ)を3本多重可能なOTUCn技術を実装したチップ、および世界最大級の光-電気応答帯域を持つ光デバイスを開発(図2)。富士通は、NTTなどとともに開発したチップを活用し、150Gbaudで光1波長あたり1.2Tbpsの伝送レートを実現可能なトランスポンダーを開発。NTT東日本は、敷設済みの商用光ファイバーを用いた実験用の光ネットワークを構築した。

(図3)データ転送実験

 また、1.2Tbps伝送環境下にて、1組の汎用1ソケットサーバーを用いて、NIIが開発したMMCFTPによるデータを転送した(図3)。実験の結果、1034Gbpsのデータ転送速度でおよそ47TByteの大容量データを転送完了させることに成功した。1034Gbpsのデータ転送速度では一般的な25GByteのブルーレイディスク1枚を、およそ0.2秒で転送できることになる。47TByteの大容量データはブルーレイディスク1880枚分に相当し、およそ376秒で転送できる。

 本成果は、学術通信ネットワークをはじめとする様々な高速大容量通信サービスの実現を可能とし、低コスト化や低消費電力化にも寄与するという。今後、各組織はこの成果を活用した学術通信ネットワークの更なる高度化やIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想の実現に向けた研究開発を推進していく。

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