巨大壁画や市民参加型アートが東京のど真ん中に出現! 無料で楽しめる国際芸術祭・東京ビエンナーレ2023 大丸有アートアクションに行ってみた!

文●オシミリン(LOVEWalker編集部)

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東京ビエンナーレ2023 秋会期がついにスタート!

 東京のまちを舞台に2年に1度開催する国際芸術祭、東京ビエンナーレ。第2回となる東京ビエンナーレ2023は「リンケージ つながりをつくる」をテーマとしています。そんな東京ビエンナーレ2023ですが、9月23日(土)についに秋会期がスタートしました!

 「谷中・鶯谷・上野・御徒町エリア」「神田・湯島エリア」「水道橋・神保町エリア」「大丸有(大手町・丸の内・有楽町)エリア」「日本橋・八重洲・京橋・銀座エリア」「東日本橋・馬喰町エリア」「その他のエリア」の7エリアで開催される東京ビエンナーレ2023。大丸有エリアでは、アートプロジェクト「大丸有アートアクション」が展開されています。

 今回、「大丸有アートアクション」のプレスツアーに参加することができましたので、大丸有エリアで展示されるアート作品をご紹介します。プレスツアーではアーティスト本人から作品についての解説も聞くことができたので、そのあたりもご紹介しちゃいますよ!

オフィスビルにライブペインティングで巨大壁画が登場!

 まず訪れたのは、大手町ファーストスクエアの南側壁面。ここでは、ベルギーのアーティスト、シャーロット・デ・コックさんの作品「HYPERNOVA(ハイパーノヴァ)」を見ることができます。

 この日はまさにシャーロットさんが壁画を作成中! 高さ10mものクレーンの上で壁画を描いている様子を見ることができました。

クレーンの上でこんなに大きな絵を描くなんて、すごすぎる!

 また、制作の合間に地上に降りてきて、作品について語ってくれたシャーロットさん。人間が生きていくうえで、内なる炎や力をシェアしていくことが重要で、それは菌がもつ力が近しいという考えから、きのこをモチーフにした作品としたそう。また、オフィス街での制作について、エネルギーのある都市の熱を感じながらの制作を楽しんでいる、とお話しされていました!

シャーロットさん。制作を楽しんでおられるのが伝わってきました!

下から見上げても大迫力!

 壁画は3日間かけて完成。現在は完成したものが展示されていますので、ぜひ完成作品を皆さんの目で確かめて、この絵画のパワーを感じてみてください!

大丸有エリアで働く女性たちへのインタビューから生まれた作品

 続いては薄久保香さんの作品をご紹介します。今回、薄久保さんは大丸有エリアに働く女性へ、「彼女たちの手」を一つのキーワードにインタビューを実施。そこから作品「すぐ傍にみつけたあなたの分身」を生み出したそうです。

三菱商事ビルに展示の作品と薄久保さん

 こちらの作品は、インタビューで「あなたの手が得意なことはなんですか?」と尋ねた際に、女性が「私は日本で一番リボンを結ぶのが上手」と答えたところから着想したとのこと。その女性はパッケージングの仕事をしていたそうで、薄久保さんはリボンを結ぶ、パッケージングをする、という行為自体はささやかながらも、アイデンティティの宿る行為だな、と感じたそう。見過ごされがちな女性たちのプライドを、優しく拾い上げるような作品となっています。

 また、作品の制作のプロセスですが、薄久保さんはまず絵の元となる写真を撮影し、それに忠実に油絵を描いています。そしてこちらの作品の場合、その油絵がシールにプリントされ、今回の展示場所である三菱商事ビルに貼られています。こういった複数のプロセスを経ることで、リアリティの所在がどこにあるのかわからなくなるような不思議さを感じ、つい目が留まり、足も止まって、眺めてしまうような作品となっていました!

 また、薄久保さんの作品は国際ビルにも展示されています。

国際ビル入り口のガラス部分に作品が展示されています

内側から見ると、光に透けてとってもきれい!

 こちらは写真のコラージュ作品です 。撮影現場にはインタビューした女性たちにも立ち会ってもらい、協力しながら作品を作り上げたそう。この場所に合う作品にしたい、と考えた結果、写真そのものを使用した作品となったとのことですが、写真そのものを使用する作品を作るのは、薄久保さんにとっても初めての経験だったそう!

市民参加型のアートで文化を超えて繋がれる場を作る

 最後にご紹介するのは、Slit Park Yurakucho(新国際ビル)に展示されているSlow Art Collective(スローアートコレクティブ)の作品です。

 スローアートコレクティブは、オーストラリア・メルボルン在住の加藤チャコさんとディラン・マートレルさんが主宰する芸術グループです。

Slit Park Yurakuchoにて、加藤チャコさん(左)とディラン・マートレルさん

 こちらに展示してある作品は、子供たちや高校生、ボランティアの方たちと一緒に作り上げたものだそう。また、素材にはリサイクル品などを可能な限り使用しています。

 みんなで場所や空間を共有するためにアート活動を行っており、いろんな人と一緒に作品を作り上げ、また、その場所に来てもらうことを大事にしているそう。実際にこの日も、Slit Park Yurakuchoには休憩中のワーカーの方もいらっしゃっていて、作品の中で自然に過ごしていました。

 また、文化を超えて繋がれるような作品作りを大事にしているとのことで、この作品でもテキスタイルを編んでいたり、風が吹くと音が鳴るような仕掛けがあったりと、言葉を介さずとも感覚的に共感し、繋がれるような作品となっていました。

 スローアートコレクティブの作品は、このほかに東京サンケイビル でも展示されています。 また、日によって丸の内仲通り UrbanTerrace 丸ビル前、丸の内仲通り UrbanTerrace 二重橋ビル前でもリアカーによる移動式のワークショップの展開が予定されています。ぜひ参加してみてくださいね! 詳細は下記をご確認ください。 https://tokyobiennale.jp/tb2023/event/slow-art-collective-tokyo/?lang=ja

 このように充実した作品を鑑賞でき、しかもアーティストの方から直接作品や制作について聞くことができて、とっても貴重な機会となりました。みなさんもぜひ大丸有エリアに足を運び、直接作品を観て、体感してみてください!

東京の地場に発する国際芸術祭 東京ビエンナーレ2023
テーマ:リンケージ つながりをつくる
総合ディレクター:中村政人、西原 珉
会期:夏会期 2023年7〜9月
   【プロセス公開:作品が生み出される現場や過程に様々な形で参加可能】
   秋会期 9月23日(土)〜11月5日(日)
   【成果展示:完成した作品をめぐり東京都心を街歩き】
会場:東京都心北東エリア(千代田区、中央区、文京区、台東区の4区にまたがるエリア) の歴史的建築物、公共空間、学校、店舗屋上、遊休化した建物等
入場:無料(一部プログラムは有料※)※ 開催場所や時間、内容等の関係上、実現のために有料制とするプログラム群で、料金はプログラムごとに設定されます。特別鑑賞券購入先は、アソビュー!・ArtSticker・Peatixからお選びいただけます。
主催:⼀般社団法⼈東京ビエンナーレ