このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第324回

中国の政府職員iPhone禁止と中国製半導体搭載のファーウェイ製スマホが同時期に話題になる

2023年09月16日 09時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 9月といえばアップルが新作のiPhoneを発表する月だ。いつもなら新製品の情報で盛り上がるところだが、今年は良くない情報も話題になった。中国がiPhoneの利用を規制するという動きだ。

中国の政府職員iPhone禁止

中国では約20%のシェアを持つアップル。富裕層であれば、そのシェアはさらに高くなるだろう。当然、最新のiPhoneも手に入れたいと思っているはず

政府機関や国営企業の職員に業務でのiPhone利用を禁止

 中国政府が政府機関の職員らにiPhoneを使わないように命じているとWall Street Journalが報じた(https://www.wsj.com/world/china/china-bans-iphone-use-for-government-officials-at-work-635fe2f8)。職員に対し、業務で使用していいスマホについて指示をするなどの動きがあるという。この報道では、国外の技術への依存を弱めること、機密情報が国外に流れるのを懸念していることなどが理由に挙げられている。

 その翌日には、Bloombergが、政府機関の職員だけでなく国営企業の職員も、iPhoneを使用しないようにというお達しが出ていると報じた(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-09-07/S0LLXVT0AFB401)。

 両報道はともにソースを情報筋からとしており、中国政府の正式な発表ではない。なお、禁止対象なのはiPhoneだけでなく、国外ブランドのデバイスとのこと。iPhoneが代名詞になっている格好だ(13日になって、中国外務省の報道官は、iPhoneなど外国ブランドの携帯電話の購入と使用を禁止する法律や政策文書を発行していないと報道内容を否定した https://www.fmprc.gov.cn/eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/202309/t20230913_11142374.html)。

 たまたま取材で一緒になった中国の通信分野のジャーナリストに聞いてみたところと、「(そのような制限が)あったとしてもおかしくない」とのこと。「残念だが」と付け加えた。

 Reutersも、省庁の職員の話としてiPhoneの利用を控えるように言われたものの、具体的な期限については指示がないなどの話を紹介している(https://www.reuters.com/technology/china-moves-widen-state-employee-iphone-curbs-sources-2023-09-07/)。また、2年前からiPhoneをファーウェイなど自国ブランドのものに変えるように伝えられていたという話も紹介している。

売上の約2割が中国のアップル
中国でもiPhoneはもちろん人気

 アップルと中国の関係は少しばかり複雑だ。

 1つ目として、アップルにとって中国は大きな市場だ。売上高の19%が中国からであり、人口でも経済力でも簡単には切り捨てられないだろう。iPhoneの出荷台数で、中国は2023年第2四半期、米国を超えてトップになっている。

 アップルの中国でのシェアは2023年第2四半期16%、第1四半期は20%(Counterpoint調べ)。ハイエンド市場におけるシェアはもっと高いだろう。

 なお、今回の禁止対象になる政府職員などは、平均的な中国の労働者に比べると収入が多い。つまり、アップルにとって魅力的なターゲットであると言える。

 2つ目が、アップルにとって中国はiPhoneが製造される最大の国でもあるということ。中国でそれなりの人数を雇用していることになり、中国政府としては大切な雇用主とも言えるはずだ。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン