このページの本文へ

Premium-Line B660FD-Mini/Tをレビュー

10.4LボディーでRTX 4070 Tiまで選べる、最強の小型ゲーミングPCは見た目も最高!

2023年08月19日 10時00分更新

文● 宮里圭介 編集●ジサトライッペイ/ASCII

提供: サイコム

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

気になるCPUの温度と性能をチェック

 小型PCはPCケース内温度が上昇しやすく、CPU温度が高くなりがちだ。となると、サーマルスロットリング(自動で動作クロックを引き下げる機能)が動作し、本来の性能が発揮できなくなる可能性が高い。

 試用機のCPUは「Core i7-13700F」で、高性能なPコアが8基、高効率なEコアを8基搭載した16コア/24スレッドCPUだ。とはいえ、時間平均消費電力となるプロセッサーのベースパワー(通常、PL1の設定値)は65Wと穏やかな部類となる。

10.4LボディーでRTX 4070 Tiまで選べる、最強の小型ゲーミングPCは見た目も最高!

CPUはCore i7-13700F

 標準構成の「Core i7-13700」との違いは、GPU機能を内蔵していないこと。つまり、映像出力には必ずビデオカードが必要になる。しかし、そのぶん価格が安いというメリットがある。実際、BTOメニューで価格差を見てみると、5630円ほど安くなっていた。

 上位にCore i9シリーズがあるとはいえ、Core i7シリーズはハイエンドなゲーミングPCで採用例が多い高性能CPUだ。それだけに、CPU温度がどこまで上昇するのか気になるところ。

 高負荷時のCPU温度を調べるため、「CINEBENCH R23」を試してみよう。CGレンダリング速度からCPUの性能を測ってくれるベンチマークソフトで、結果は独自スコアーとなる「pts」という単位で表示してくれる。この数値が高ければ高いほど、高性能なCPUとなる。

 テストは全コアを使用する「Multi Core」と、シングルスレッドテストの「Single Core」の2つだが、ここでは高負荷時の最大温度を見ることが目的なので、Multi Coreテストでチェックする。CPUの温度は内蔵センサーから値を取得できる「HWiNFO64 Pro」を用い、CINEBENCH R23のテスト実行中の温度変化を観察した。

10.4LボディーでRTX 4070 Tiまで選べる、最強の小型ゲーミングPCは見た目も最高!

テスト開始から約9分時点の各種数値

 上記のデータはMulti Coreテストの終了直前、開始から9分以上経ったときのもの。「Maximum」を見てみると、CPU Packageの温度は最大で100度まで上昇し、サーマルスロットリングも発動していた形跡がある。

 ただし、挙動を見ていると、100度まで上昇するのはほんの一瞬。サーマルスロットリングが発動した直後に80度台まで下がるため、性能への影響はほぼないといっていいだろう。実際、「Average」を見るとわかるように、平均温度は82度と十分抑えられており、CPUクーラーの性能に不足はない。

 では、なぜ一瞬とはいえ100度まで上昇してしまうのかというと、これはCPUの挙動と関係がある。CPUは温度や負荷に余裕があると、PL2で設定されている電力で動作する。しかし、この設定は電力効率が悪いため、長時間高負荷が続く場合はPL1で設定されている電力に引き下げられ、電力あたりの性能が高くなるようになっている。

 CINEBENCH R23は、同じCGを繰り返しレンダリングするというテストなので、この繰り返しの最初だけは、一瞬PL2で動作することがあるのだ。試用機の設定を見ると、PL1は65Wで、PL2は126W。瞬間的とはいえ、電力が126Wまで引き上げられるのであれば、CPU温度が急激に高くなってしまうのも当然だろう。

 しかしながら、サーマルスロットリングが発動していない場合と比べれば、性能は低くなっているはずだ。その差はどのぐらいなのか? ということで、CINEBENCH R23のスコアーをチェックしてみよう。

10.4LボディーでRTX 4070 Tiまで選べる、最強の小型ゲーミングPCは見た目も最高!

CINEBENCH R23の結果

 結果はMulti Coreが18975pts、Single Coreが2050pts。これだけでは十分な性能が発揮できているのか判断がつかないため、過去のデータから、簡易水冷クーラーを搭載したMini-ITXベースのミニタワーPC「Premium-Line B660FD-Mini」の数値と比べてみよう。なお、こちらのCPUはCore i7-13700となるため厳密な比較にはならないが、GPU機能以外の差はないため、性能の目安としては十分だと判断した。

 Premium-Line B660FD-Miniのスコアーは、Multi Coreが19738pts、Single Coreが2050pts。Premium-Line B660FD-Mini/Tと比べると、Multi Coreのスコアーは約4%ほど差があるが、Single Coreのスコアーはまったく同じという結果だ。

 さすがに、簡易水冷クーラー搭載機と比べてしまうと差はあるが、大きく見劣りするほどではない。超小型PCとはいえ、Core i7の性能をほぼ引き出せていると言っていいだろう。

 ただし、ベンチマーク実行中は、PCケースが触れないほど熱くなっていた。気になって非接触温度計で温度を測ってみたところ、なんと50度オーバー。試験は室温が30度を超える夏場の部屋で行った点も考慮に入れるべきだろうが、この表面温度はやや注意したいところ。PC周辺は荷物を置かず、なるべく風通しのいい場所に設置するように心がけたい。

10.4LボディーでRTX 4070 Tiまで選べる、最強の小型ゲーミングPCは見た目も最高!

ベンチマーク実行中のPCケースの表面温度は50度を超えていた

カテゴリートップへ