走りは静かでトルクフル
バッテリーをリアに搭載が功を奏した
こうした設定後、ディーラーからプリウスで買い物中だった妻を迎えに行く。この時はもちろんEVモードで走行。ロードノイズ以外はほぼ無音状態で走り出す。電動車らしいトルクフルな走りはさっそく発揮され、アクセルを踏み込めばその量に応じてスムーズに加速していく。この最初の走りだけで「おおぉ!」となった。
しかもトルクが緩やかに出るため、その加速の仕方は極めて上品。エンジンがけたたましく起動して、速度が後からついてくるハイブリッド車とは大きな違いだ。
コーナーでのハンドリングの追従性も素晴らしい。走行音は極めて静かだし、少し堅めではあるもののサスペンションの反応も適度で快適。やはりリアにバッテリーを積んでいることが功を奏しているのだろうか。プリウスPHEVでは「バッテリーを多く搭載したことによる重量アップをネガティブにはしない」ことを開発目標にしたとのことだが、それを見事に実現したということになるだろう。
この日は30kmほど走行するとバッテリー残量は60%ほどに。停止中にいろいろ動作を試したので、少し多めにバッテリーを消費したようだ。自宅の充電システムは少し古いこともあって3kW/hのローパワー。これで満充電までどのぐらいかかるのか。すると2時間半ほどで満充電となった。思ったより時間はかからなかった。
翌日は父の日の祝いに来てくれた娘と食事を楽しむ。食事が終わった後は、新車でのドライブをかねて片道30km弱のところにある娘の自宅まで送り届けることになった。この間もすべてEVモードで走行。ここでは高速道路での快適な加速もしっかり楽しんでおり、ここでもBEVとして使った満足度は極めて高かった。この時点で電動車に対する圧倒的なパフォーマンスに、かつてない喜びを感じている自分がいた。
【まとめ】近所の移動だけならEVモードで問題なし
家で充電もできるPHEVは現状での最適解
そしてもう一つ、プリウスPHEVでの見つけた驚き。それがブレーキ制御の素晴らしさだ。実はハイブリッド車では制動時に回生ブレーキと摩擦ブレーキを併用し、通常の減速では回生ブレーキが作動する。しかし、最後は摩擦ブレーキとなるわけだが、今までのハイブリッドシステムではこの受け渡しに違和感が出ていた。それがこのプリウスPHEVではそのフィールが極めて自然に停止できるようになった。これは感動ものの素晴らしさと言えるだろう。
こうして納車後、約半月が経ったわけだが、実は遠乗りをしていないこともあり、ガソリンはほとんど使っていない。なので給油もしていない。近所の移動はすべてEVモードで賄えているからだ。このままではガソリンが劣化してしまわないか心配になるほどだ。
つまり、PHEVは満充電なら普段使いではBEVとほぼ同等の走りを楽しめ、いざ遠方まで出掛ける時は走りながら充電してバッテリー残量を気にすることなく走れるのだ。その意味でPHEVは現状でもっともバランスに優れたパワーソースであると言えるのではないだろうか。