元週刊アスキー編集者、現フリーライター兼プラモマニアのアカザーです。週刊アスキー(以下、週アス)で連載していたレポート漫画「カオスだもんね!」の3人のうちのひとり、ガンタンク担当アカザーが「水口幸広追悼原画展」の模様をレポートします!
全国からコアなミズグチファン
カオスだもんね!ファンが集結
開催場所となった京王多摩川にあるBookCafe「ヨミヤスミ」は、カオスチームの顔の長いほう担当のシャクライさんのお店。カオス本編でも何度か紹介しているのでご存じの方も多いかもしれません。
お店は1階がカフェスペース、追悼原画展は2階イベントスペースで開催されました。しかし、このイベントスペースは定員10名ほどの、あまり大きいとはいえない空間。さらに1階のカフェスペースもシャクライさんがひとりで賄っている事もあり、6~7名でほぼ満席というこぢんまりとしたお店です。
普段はかなりのんびりした空気が流れ、懐かしい昔の週アスやシャクライさんセレクトの漫画などを読みながら、美味しいコーヒーやカレーに舌鼓をうてる、癒しのブックカフェなんですが、この追悼原画展の3日間は、全国からミズグチさんとのお別れを惜しむファンで大混雑。
「ねえ、5分前だけど、もう中に入ってもらわない?」とシャクライさんに提案するも、「いや、開けちゃうともう(僕の)余裕がなくなると思うので、ギリギリまでカフェの仕込みをやらせて!」とのこと。アンタどこまで頑固一徹カフェマスターなんだよ!(笑) ちなみに「当日、一緒にミートクラブTシャツを着ようよ」と提案してみるも「いや、この白シャツにエプロンが正装なんで!」と秒で却下されました。ミズグチさんがこの場に居たら「シャクライはそういうとこあるよ!」と笑ってそう。
でも、このタイミングでミズグチさんの追悼原画展を開けたのも、シャクライさんがお店を会場として提供してくれたおかげ。さらに、これまでのミズグチさんの作品を丁寧に保管しておいてくれたが故のスピード開催なんです。
さらに、ご家族からの過去原稿の借り受けや展示の設営など、追悼原画展の仕込みのほぼすべてを、ひとりでこなしてくれていたんですヨ。片付けや整理整頓がめっちゃ苦手なオレには、望むべくもない芸当なワケで。
そんな“仕込みが命”のシャクライさんのおかげで、「水口幸広 追悼原画展」が無事、オープン!
「水口幸広追悼原画展」で展示された作品を一部、ご紹介
ここからはザックリとですが展示作品の紹介を。
部屋に入ってすぐ、皆さんを出迎えるように展示してあったのは、ミズグチさんの自画像のイラスト。これは、「カオスだもんね! PLUS」3巻の折り返し用に描かれたもの。
彩色は水彩絵の具。ミズグチさんは紙への着色に水彩絵の具を使うコトが多かったのですが、「水彩の一発塗りでよくムラにならずにこの透明感出せるな~」と、いつも感心していました。
実際に原画を目にされた方が「小さいサイズなのに描き込みが凄くてビックリしました」と驚かれていましたが、ミズグチさんは小さいサイズに描き込んでいくのが好きな作画スタイルでした。
続いて単行本「カオスだもんね!」の表紙シリーズです。新装版「カオスだもんね!」1~20巻の表紙は、線画と共に色鉛筆の彩色見本がミズグチさんから送られてきて、その指示をもとに表紙のデザイナーさんが線画をデータ化、それに指定色で彩色していくというスタイルで製作していました。
その隣には「カオスだもんね!PLUS」2巻の表紙に使われた原画。実はもう1枚カラーパターン違いのものが存在したんですヨ! ミズグチさんがどちらにするか決めかねたので、最後はカオスチームの3人で決めた思い出のある表紙イラストです。
続く4枚は「カオスだもんね!」の連載が始まる前にビクターから発売されたCDドラマ「コンディショングリーン」の設定イラストです。ミズグチさんからは「あんまり売れなかったんだよ~」と聞いていたのですが、展示会に来てくださった女性ファンの方からは「当時はコミケで二次創作が出回るくらい大人気で、女性ファンも多かったんですよ~」とのことでした。
時代は遡って、ミズグチさんが1989年に大友克洋ファンクラブ「KITANO PROJECT」から出したイラストレーション集「MOON CHILD」 に描かれたイラスト原画も展示されていました。この原画はシャクライさんが今回の展示会用に、ミズグチさんの奥さんから借り受けてきてくれたもの。今回の展示会での、シャクライさんお気に入りの3枚でもあります。
ちなみにオレのお気に入りはというと、その隣に展示してあった、ジョナサンの紙ナプキンにゆるいタッチで描かれたイラストたちです。
単行本のあとがきがわりの“だらだらトーク”用などに、サインペンを使ってミズグチさんがさっと描いたものなんですが、この紙ナプキンによる微妙な線のニジミがお気に入り。カオスのラフ画が作品よりも好きなオレは(オイw)、生き生きとした線で、のびのびと描かれたこの絵が超好きなんすよ~!
そんなオレの好みを知ってか知らずか、ミズグチさんがオレの机にきてサラッと描いていったのが、ガンプラ製作回などに出て来るオレのなりきりキャラ“プラモさん”。ミズグチさんの、こんなふうにイラストで会話するようなところが大好だったなぁ。