長く連載をやってると、毎年おなじみのネタってのが出てくるわけで、夏になるとやりたくなるのが「今年の“にゃつバテ猫”」。暑い中、少しでも日差しが当たらなくて、風通しがよくて、涼しくて、人に見つかりにくい場所を選んで、へちゃっと溶けてる姿はなかなか愛らしいのだ。
ただ、今年は、猫を撮ってる人間のほうがダウンしそうな暑さ。猫目線で写真を撮ろうと這いつくばると、アスファルトにつけた肘がやけどしそうで、カメラ持って出かけるなんて健康によくない。と思いつつ、先日、仕事で外出したついでに、ついカメラを持って散歩しちゃうのはサガである。これはもうしょうない。
あまりに猛暑すぎて、猫も人もいないかと思いきや、人はけっこう出歩いてて、年齢によってよれよれだったり元気だったり、手にハンディ扇風機やアイスクリームを持って歩いてるのだが、私はそんな人混みを抜けて、とある公園へ。
夏は太陽が高くて日陰が少ないのだが、その少ない日陰を横目でチラチラ見ながら歩く。すると、塀の際のちょうど日陰に、何やら怪しげに潰れた物体がひとつ。誰がどう見ても、“にゃつバテ猫”である。やはり隠れていたかー。
これぞ紛れもない、”にゃつバテ猫”。少しでも涼しい日陰の土の上で、風通しがあって、なおかつ人間に見つかりづらい場所である。
正面から撮ろうとそっと近づいて、しゃがんでモニタを開いて猫目線にして猫AFをオンにすると、目を開けて「動きたくないからあんまし近寄るな」という顔をする。そのけだるさが夏の猫のたまらんところだ。ちなみに、時刻は12時半。めちゃ暑い時間である。
まあ、こういう暑い日の猫は、皆こんな感じ。次に見つけたのは黒猫……なんだけど、車の下に隠れてた。頭隠して足隠さず。
いつもなら、ここでしゃがんで車の下にレンズを向けるところだけど、公園と違ってここは足元がアスファルト。しゃがんだら、より温度・湿度が上がって、簡単に言えばもわっとして、これはやばいと断念したのだった。
住宅街の駐車場は、車や人の出入りが少ないので猫的にはいい場所。駐車場の一番奥の角っこ、無造作に枯葉や土が残ってるとこで寝てるチャトラを発見。日陰で丸くなって夜を待つ……いやきっと、夕方にやってくるであろう猫ボランティアの人を待ってるんだろな。
さすがに夕刻近く、日差しが少し傾き、日陰が増えてくると、いくらか過ごしやすくなるものの、公園を散策する人も、公園ではしゃぎ回る子供たちも遠慮するレベルの暑さであることに変わりはなく、猫的にはそれもありがたい。
冒頭写真は、そんな真夏の猛暑の夕刻、暗渠上に作られた公園のベンチ猫だ。暑くてしんどいのでそれ以上近づくな、という顔をされたのだった。あまりに暑い日が続くので、遊んでる子供たちもおらず、人がいないと猫も安心してへちゃっとできるし、私も安心して這いつくばって猫を撮れる。日陰だしアスファルトでもないので、肘もやけどしない。
で、この猫を撮っていたら、奥から黒猫がとことことやってきたのである。よく見ると黒猫じゃなくて、縞模様が混じってる。サバトラっぽくもなく、なんか不思議な模様だ。
この猫が人懐こいのか、すすすっと寄ってきたのだ。この日はどうせ近寄って撮れる猫なんていなかろうと望遠レンズしか付けてなかったので、慌ててちょっと距離をとって顔のアップ。キジトラと合流したときのカットだ。
さらに2匹揃ってカメラ目線をしてくれたので、這いつくばって撮ってみた。こうしてみると、この2匹は毛の色だけじゃなく、顔立ちも違ってるのがよくわかる。
なにはともあれ、”にゃつバテ猫”はかわいいけれども、まだまだ暑い日が続きそうなので、くれぐれも熱中症にはご注意を。猫と目線を合わせようとしゃがんだ途端に、地面からの熱でもわっときますからな。
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筆者紹介─荻窪 圭
老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/
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